大人達の心配。
「幸色のワンルーム」という漫画作品が、実写映画化されるのだそう。これについての、否定的な記事をいくつか見た。
毎日新聞の記事によると「ドラマはウェブマンガサイト「pixiv(ピクシブ)コミック」で連載中の同名マンガが原作。誘拐犯の「お兄さん」と、お兄さんから「幸」と名付けられた14歳の被害者少女のいびつな関係を描く。」ものらしい。
「両親から虐待を受け、同級生からはいじめられ、行き場を失った14歳の少女が、マスク姿の男に“誘拐”されるが、それは少女にとって、生まれて初めて「幸せ」を知っていく生活の始まりだった……というストーリー。」ということで、そこに『危険性』を感じている大人達がいるようだ。
この作品自体を読んではいないけれど、ダウンロード数をみると、すごい数字。絵もかわいらしく、ヒロインも魅力的。誘拐犯であるところの「お兄さん」も綺麗なビジュアル。人気が出るのも解る気がした。
非現実的な中での愛や恋は、平和に暮らす時、何かしら憧れることがあると思う。10代の始め頃、奇想天外なことに憧れたり、夢中になったりしていた時の自分を思い出したりした。
ただ。
この作品が実写化されることに対して、問題視するひとたちにも、共感するのよね。
フィクションとして、「あり得ない奇想天外なこと」を楽しむことができる、なら、まだ、いいのかもしれない。例えば、私は『クリミナルマインド』というアメリカのTVドラマが好きだ。子どもには見せられないくらい、恐ろしい犯罪が毎回繰り広げられる。しかも、実際に起きた事件が元になっているものもある。シリアルキラーが多く描かれるため、「真似する人間がいるのでは?」と思う部分がある。
けれども、起こる事件は全て「あってはならないこと」として描かれ、否定的に描かれる。
今回のこの作品は、どちらかというと「誘拐」という「お兄さん」の行動が、「結果として肯定的」に描かれているように見える。なぜなら、主人公はその「不幸」な背景のために「誘拐され」る事で「幸せ」を感じるのだ。
そうい意味では、こういう内容のものが、ティーンに向けてメジャーになるのは、大人としてはとても「怖い」と感じるわけだ・・・。
自分視点で「相手は不幸な状況にある。自分といることで幸せにすることができる」と錯覚してしまう人間が、現れるのではないか?
実際、ちいさな子どもを誘拐し、監禁し、結果として命を奪ってしまったり、という事件は起きている。心配し、問題視するひとたちが現れるのは当然だよな、と。実写映画化されることで、素敵な俳優が演じることで、その行為がさらに「肯定」されたかのように思うひともいるかもしれない。
アンリアルとリアルは、実はとても近いところにある気がする。
こういう大人達の心配を、子ども達はウルサいなと思うのかな。
毎日新聞の記事はこちら https://mainichi.jp/articles/20180528/dyo/00m/200/037000c