外部進学のすゝめ (東工大建築学系 【都市・まちづくり分野】 受験記)
数ある体験談の中からこちらをご覧いただきありがとうございます。
先日、第一希望の大学院から合格をいただいたのでそれについての体験談(備忘録)をまとめておこうと思います。ボリューミーな内容となりますが、一助となれば嬉しいです。
1 なぜ外部進学を考えたのか?
1-1 地方大学ならではの“特殊性”
建築系(特にデザイン系)というものは概ね、大学が所在する土地を主なフィールドとして研究することになりますよね。私は北海道の大学に通っており、そこでのテーマは軒並み「積雪寒冷都市」「人口激減都市」などといった北海道ならではの特殊性を内包しています。
しかし建築を学んでいく中で、都市空間全般におけるマネジメントなどといった分野に興味を持つようになりました。そこで、今所属している大学よりも、実地でのまちづくり活動に関わっていたり、建築の枠組みを超えて幅広いカリキュラムを持つ大学院の方が、自分の興味についてを深く学べるだろうと考えました。
学部3年の1月、設計演習に苦しみながら、ふと、建築だけではなく都市について幅広く学びたいと感じた瞬間があり、課題そっちのけで猛烈に調べ始めました。それが本格的に行動する最初のきっかけになったと記憶しています。
地方に位置していることで、そこの特殊性・地域性をがっつり探求できることは大きなメリットです。一方で、大学院では学べる環境・プログラムを学部と変えるチャンスとも捉えられるので、もっと俯瞰して都市・まちづくりと接していきたいという思いが強くなりました。
また、よく「地方都市⇔中央」という構図が批判的に語られます。しかし、地方で生まれ地方で学んできた立場からすると、「中央」に移動することで地域性に関する、俯瞰的で新しい視点を得られるのではないかという期待がありました。都市系の人間として、どの土地で学んでいくのかはかなり重要です。就職のタイミングではなく、自由な身である“学生”として上京することに大きな学びの意味があると思い、決意を固めました。
1-2 研究室の方針とのズレ
私は都市・まちづくり系に興味があったために、学部4年時には自分の大学で都市デザイン関連の研究室に選択肢を絞りました。
その研究室は研究テーマを学生に与える方針を取っているために、先述した「積雪寒冷都市」「人口激減都市」などに関連した研究をほぼ必ずすることになります。長年の蓄積があるテーマばかりで、研究環境やサポート体制は万全です。そのために、卒論からレベルの高い研究が行われている印象があります。
しかし、自分の本来の興味と照らし合わせたときに、その研究室に居続けることでどうしてもズレが生じてしまうと考えました。もしそのまま内部進学をすれば、レールを敷かれた修論テーマを与えられ、本当に学びたいことはその片手間でやるのか、それとも環境を変え、修論テーマとして自分で方針を立てながら学んでいくのか、かなりの差であると思ったことも外進を決意する大きな動機となりました。
そのため、研究室サーベイにおいては自らで研究テーマを決定できる方針を取る研究室についてを中心にあたっていきました。
1-3 専門性を深める/挑戦するチャンス
自分の興味が湧いた分野についてを深く学びたいと常日頃思っていましたが、継続的かつ効果的に習得するには起爆剤やモチベーションが必要だと感じます。実は、大学院試験は学生生活の上で良い目標になり得ました。あくまで研究するために進学することが大前提ですが、院試には副次的に以下のメリットも挙げられます。
1-4 大学院決定の決め手
ここまでのプロセスを経て外部進学を決意しました。次に、どの大学院を志望するかですが、決定要因は4つありました。
東大も考えましたが、入試の難易度・出題科目・TOFEL縛りなどを考えると4年前期の超多忙スケジュール(7月に卒業設計を提出)で対策しきることは難しいと考えました。そこで、東工大の都市・環境学コースを志望することとしました。
2 どう外部進学の準備をしたのか?
2-1 スケジュール
結論から示すと、以下のスケジュールで進めています。
先述しましたが、自分の大学は4月に研究室配属なので、それを待って準備を始めても手遅れとなります。春休みの2ヶ月を使って研究室の情報収集をして、できれば研究室訪問も済ませておくことで、進級してからの負担が大きく減ると思います。なお、研究室訪問は原則6月の出願までに済ませる必要がありますが、5月頃に行く人もいたので、自分と研究室の予定などを考慮して計画しましょう。
2-2 研究室訪問
研究室の情報収集をした結果、興味のある研究室が3つに絞られてきたので、それぞれにメールでアポをとりました。全く形態が違ったので3研究室それぞれの流れを軽く紹介します。
これらの経験を通して、重要そうなことをまとめました。
(1)やりたい研究テーマを考えて持参すべし、でも意外と大雑把で大丈夫
(2)自己アピールできる資料(下書きでも大丈夫)があると話の叩き台になる+先生の印象に残しやすいかも
(3)Zoomだけでなくできれば対面でも訪問して、研究室の雰囲気を掴むべし
院試会場の下見を兼ねることにもなる
(4)研究室の先輩と連絡先交換をして、仲良くなるべし(対策資料提供の他、試験のことや学生生活の疑問などを後々質問できる)
2-3 TOEIC対策
自分の場合は、春休み期間を使って対策を行いました。まず、模試として2月に受験をして現時点での弱点や必要な対策を洗い出しました。そして、3月受験を本番に見据えて、3週間かけて本格的に対策を行いました。
問題集と単語帳のみを使って、単語力を固めつつ時間配分の練習とリスニングの耳慣らしを主に行っていきました。王道とはいえど、3週間で90点も伸びたので、確実なやり方ではあったと思います。
募集要項にはTOEIC換算の扱い方が明記されていませんが、600点で平均、700点で有利、800点で満点扱いという伝統的な噂もあるので、とりあえず700点台を目指して対策をすれば問題はないと思います。
2-4 Portfolio
どうこう書けることはあまりありませんが、面接で教授が回し見する(30秒以下/人)ためとにかくパッと見て伝わるビジュアルにまとめることが最重要です。また、A4の冊子版として製本しましたが、バラよりはまとめて製本することをおすすめします。
自分は、運良くバイト先(まちづくりコンサルティング)のデザインに詳しい方に添削してもらえる機会がありました。つれづれなるままに作った下書き版に対して大量にダメ出しをいただき(喰らい)、骨格が整ったものにブラッシュアップすることができました。必ず誰かに見てもらうといいと思います。
長くなりましたが、外部進学の心得としては以上のような感じになります。
続いて、具体的に院試対策についての記事を執筆していこうと思います。
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