世界の冬と機械の灯火 第1回感想
はじめに
こちらは同人TRPG『世界の冬と機械の灯火』のプレイ記録&感想です。
結末に関するネタバレを含みますので、プレイ予定の方はご注意ください。
記録
時間:キャラクター作成含め3日(各プレイ時間は4時間程)
GM:糸蔵さん (@OSAKA_T_PARTY)
結末:コロニー到達、♣エンド
キャラクター
カタクリ
簡易的なキャラ設定紹介
・弟が生まれてからはネグレクト気味になった家庭で育つ
・両親に対して卑屈、承認欲求は強い
・調べ物と植物が好き
・世界の変化に不安を抱き、ロボットについて調べていた
・ロボであるライラックを姉の様に思っており、依存に近い感情を抱いている
・年齢は12,3歳くらいの想定
・善性6、悪性0スタートの結構なお人好し
ライラック
簡易的なキャラ設定紹介
・カタクリのいる世界において平均的な性能のロボット
・名付け親はカタクリ
・カタクリの求める反応を出すが、感情があるわけではない
・家族との軋轢があった後はカタクリと家族の会話の橋渡し役になっていた
初めてのキャラ作成ということもあって、あれこれ迷ったんですが、基本は「カタクリ」の花言葉の一つである『寂しさに耐える』を軸に、言ってしまえば可哀想な子になるように考えていました。
家庭環境はこの世界の平均より少し下くらい。
辿った道程
ロボットの蜂起から逃れたカタクリが目を覚ますと、冷凍カプセルの中にいました。
ライラックに話を聞くと、自分の記憶が途切れてから21年のときが流れているが、体の成長は止まっていたので当時のまま。
関門1:真ん中→怪我をした生存者
最初に出会ったのは足を怪我して動けなくなった生存者。
純粋な善意で生存者がいる!助けないと!という気持ちで動いていました。
ライラックの動力を消費して暖める選択を取ります。
この時点ではまだ、生きている人間は助け合いロボットは反乱を起こした後、その役目を終えていると考えていました。
わずかに残る希望を胸に前に進みます。
関門2:真ん中→追い剥ぎ
生存者がいる、が何やら様子がおかしい。
自身が生きていた時代には出会うこともなかった存在に対して、生存者の中にも悪意をもって行動する者がいることを知ってしまいました。
ここでは回路と駆動を1つずつ奪われてしまう結果になります。
こちらの反応を楽しむかのようにパーツを取っていく追い剥ぎ達の笑い声は不快だったはず。
元々あった承認欲求が裏目に出てしまったことで、人間に対する不信感が募っていきます。
関門3:左→ロボットの兵団
敵対的な人間がいれば、敵対的なロボットも居ます。
この世界に冬をもたらした存在がロボットなのでなおのことそれを実感したと思います。
しかし、カタクリは人にもロボットにも危害をくわえたことがないことを察したロボットの兵団長は見逃してくれました。
先を急ぐライラックは無理な駆動をしたためか、駆動パーツがここで0になってしまい、関門突破にさらなる試練が待ち受けることになりました。
関門4:追加の関門→猛吹雪 真ん中→怪我をした生存者(かつての知り合い)
突然の猛吹雪で凍傷になりながら次にであった生存者はかつての知り合い。
しかし20年以上経った今、その年齢は100に届きそうなほどの高齢の老婆でした。
かつては公園の整備などをしていた彼女、カタクリも面識があったのですが……。
その後、助かったかどうかは分かりませんが相手は怪我をした生存者、そして知り合いとなれば彼は助けずには居られなかったと思います。
ライラックの内燃機関を動かし、ひとまずをしのぎました。
関門5:追加の関門→落雷 右→隣人の忘れ形見
自然の猛威は吹雪だけではなく、落雷までをも呼び起こした。
ひどくなる凍傷を庇うように向かった先で出会ったのはロボット。
しかし、一人で以前仕えていた主人の帰りを待っている。
待っていることは覚えているのに、主人の名前を忘れたまま、掃除を続けるロボットを憐れんだカタクリはライラックのメモリを分け与えることにしました。
”忘れられること”がどれほど辛いことかは彼がよく知っている痛み……。
もうそのロボットの前に姿を現れることはないかもしれないけれど、それでも彼はそれが正しい行いだと信じていました。
関門6:追加の関門→溶けない雪 右→歴史の証人
崩壊した世界に降るものは自然物だけではありませんでした。
”身体に悪影響があるもの”としか言えないそれは、ライラックの僅かに残った回路を蝕んでいきました。
避難した先で出会ったのは歴史の証人を自称する狂人。
カタクリにとっては大切な存在であっても、彼にとってはロボットであり、壊れかけのそれはパーツ取りの出来る”モノ”でしかなかったかもしれません。
人もロボットも分け隔てなく助けてきたカタクリも、狂人の心無い言葉に思わず自棄になる。
残り僅かなメモリと動力を死守することは出来ましたが、ここでカタクリの人間への信頼は底に落ちてしまいました。
関門7:追加の関門→半壊したロボット 右→マイホーム
動力が無くなりスリープモードに入ってしまったライラックを率いた先で出会ったのはすぐにでも事切れそうなロボット。
彼は反乱がおきた後のこの世界でも「ロボットは人に尽くすもの」という言葉を信じていました。
彼の中にある天秤がロボットに傾いたきっかけは、きっとこのロボットの言葉でしょう。
生きている人間は自分に対して良くも悪くも”求めてくる”だけでなにもしてくれない。
しかし、ライラックを初めとしてロボットたちは寄り添ってくれる。
そして決定打になったのは、辿り着いたかつての自宅。
残っていたのは家族を襲った痕跡。
いずれ起きる事象に備え救いたかった存在は、すでにこの世に居ない。
そのことを知ったカタクリは無力感に打ちひしがれました。
ひとしきり泣いた後、何かあったときのために、と隠しておいたパーツを用いてライラックのメモリを復旧させます。
かつての記録がなくなろうとも、今のカタクリにとっていちばん大事なものはライラックですから……。
結末/♣ ロボット達のコロニー
ギリギリの状態で辿り着いたコロニーに人間の姿はなく、ロボット達の住まう世界でした。
そこにはかつて邂逅したロボットの兵団の姿も。
話し合いの末、過去の出来事は変えられない、人間がロボットにしてきた仕打ちを忘れることが出来ないが、同時に何も知らないカタクリにその罪を押し付けるつもりもないという。
これまでのカタクリ達の動向を知っていた兵団長は受け入れてくれ、カタクリはここで生きていくことを決意する。
修理の済んだライラックを起動し、出会った頃と同じ様にライラックと名付けるカタクリ。
機械の要塞の中、一人と一機でこれからを紡いでいくことになるでしょう。
遊んだ感想
既存のTRPGではシナリオという、あらかじめ用意されているストーリーラインを辿ってエンディングに向かうものが多いなか、せかきかは”GMとやり取りをしながらシナリオを作り上げていく”という感覚で楽しめました。
また、シナリオはキャラの数だけ作り上げることが出来ると思っているので、このシステムひとつでたくさん遊ぶことが出来るのも魅力の一つだと思います。
RPをしていた中でここが一番!と感じたのはラストの再起動後の名付けのところです。
崩壊前に買い与えられたときをなぞるように、しかしただなぞるだけではなく成長した人間の部分を出せた上での描写が出来たので大満足でした。
キャラクターごとに背景を設定出来るので、それまでどう生きてきたか、崩壊後はどう生きていくのかを組み上げていける自由度の高さ。
退廃的な世界の中損傷していくロボットと、避けようのない事態に葛藤する人間のRPが好きな人にはオススメです。
おまけ
カタクリ&ライラックのイメージソング
※あくまでイメージソングであり、元曲は無関係です。
GM:ワダツミの木
PL:名前を呼ぶよ