【感想】Voicecore Reading Poetrium『花 羽 音 』
2023年2月17日〜19日の3日間、ILLUMINUSの主催する朗読劇Voicecore Reading Poetrium『花 羽 音 』を観劇しました。
人それぞれ感じるものは違うはず、正解なんてない、ということだったので思ったところを書き記します。
正直なことを言うと実際に観に来た人としか共有できない話題だと思います。
共有できるだけで共感できるとは思ってません。ほとんどの人には理解されないとも思います。
公演概要
これをまとめるだけで労力がかかりすぎるので及び腰になっていたのですが、もっきぃさんがいろいろ調べた上でまとめてくださってました。
https://ameblo.jp/plot-of-prot/entry-12790100269.html
事実を改めて書いても仕方ないので公演についての解説はもっきぃさんに任せます。
所感
「自分が何か悪いことしましたか?」と言いたくなるくらい身につまされるエピソードが多く、責められに来たような気分になりました。
初演が終わったときの率直な感想は「気分が悪い」でした。
それだけ言い放って一人で帰ったのでだいぶ態度が悪かったと思います。すみません。
とりあえず自分の中で特に重苦しかったサリィの花束について感じたところを書きます。
今後よっぽど気が向くことがあったら他の花束についても追記するかもしれません。
サリィの花束
「困った人がいたら、助けられる人になりなさい」
この言葉を拠り所として生きていた者のエピソード。
誰かを助けられる、役に立てることに価値がある。
助けられるから人との繋がりを維持できる。
言い換えれば人の役に立てなくなった自分には価値がない。
自分自身に魅力があるのではなく、自分が生み出すアウトプットだけが価値である。
とても身につまされる話で耳を塞ぎたかった。
最初は要求水準が低いからいいけど徐々にエスカレートしていくんですよね。
相手もそうかもしれないけど、それ以上に自分の中でここまでやらなきゃっていう水準が上がっていって窒息しそうになるんですよ。
で、気がついたら身動きが取れなくなっている。
これを相良茉優さんが演じるんですよ。
最初に観たときはまるで自分が責められているような感覚に陥ってとてもつらかった。
初演でボコボコにされて、2公演目でだいぶ耐性をつけたつもりだったんですけど3公演目でダメ押しの死体蹴りをされました。
耐性をつけたつもりで臨んだ結果、自分の見え方が変わっただけかもしれない。
相良さんの芝居から感じるものが変わりました。
「困った人がいたら、助けられる人になりなさい」
この言葉の投げかけ方がとても穏やかになったように感じました。
結果として力の及ばない自分自身の不甲斐なさに落胆しているように聴こえ、サリィ自身の無力感や諦めを嫌というほど感じさせられました。
自分自身に失望して閉じこもってしまうような、そんな雰囲気を感じました。
千穐楽でもその印象は覆るどころかいっそう酷くなったように思います。
ここからは理解してもらうつもりはないんですけど、自分は相良さんを見ているときにふと「諦め」や「割り切り」を感じることがあるんです。
自分の感性がおかしいだけということにしておいて、一体どうしてというのは置いておきます。
ただ、そんなふうに感じている人がこれ以上ないくらい真に迫って「諦め」る芝居をするんですよ。
心を殺されるかと思うと同時に強い憤りを覚えました。
あくまで芝居であるということは頭では理解しています。
ただ、一切の共感なくあんなに真に迫った芝居ができるのかと考えてしまってダメなんです。
ダメ押しが今回の朗読劇にあたっての相良さんの行動です。
相良さんにしては珍しく、観に来て欲しいって強く言っていたんですよ。
最近ずいぶん変わったと思いますけど、相良さんってあまり「来て」って言わない人だなというのが自分の中の印象です。
現に昨年のバースデーイベント後の後夜祭配信では相良茉優としての数字(集客力)の話をして、直接足を運んでくれる人がいることのありがたさを語っておきながら、できる範囲で来ればよい、アツくなると病むと言っていたくらいです。
そんな人がああもハッキリと現場に来いと言ったんです。
しかも千穐楽翌日のFFFで感想を取り上げるから送って欲しいと、そこまで求めてきた。
そこまでされて出てきた芝居がこれです。とてもつらかった。
これは事前にちゃんと調べなかった自分が悪いのですが、いつかのFFFだったかで今回の作家さんだったか監督さんが百合を得意としているような話をされていたので、もっとわかりやすいエンタメを想像していました。
正直心構えをした上で臨みたかったです。
何の前触れもなく人の心の奥の方に土足で踏み込んで来ないでほしい。
以上、思ったところを書き記しました。
こんなだから締め方もわかりません。
正直に言うと、こういうエンタメがあることは理解しますが女性声優を集めてオタクを釣るような演目ではないだろうと感じました。趣味が悪い。
あと、音を聴かせることを売りとするのにカルカルはどうなんでしょう。
会場の規模感から見たら妥当だとは思いますが、音に重きを置くならもっと音響のしっかりしたホールを選ぶべきだと思いました。
何というか、素直に褒められるのが役者の怪演だけで、あとはクセが強過ぎて評価の難しい公演だったと思います。
需要と供給を一致させれば一定の評価は得られるとは思います。
というのを無事に全公演終えた相良さんがホグワーツで好き放題やってるのを見ながら書いていました。
自分の抱えてる悩みがただの杞憂かもしれないと思わせてくれることには感謝しています。
一方で、その切り替えができるくらい何事にもドライな人なのではないかとも感じています。
次はこんなに重苦しくないテーマで相良さんの本気の芝居が観られたら嬉しいです。
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