【朗読】ある博士の最期、世界崩壊の日

こえ部 過去作品 2009/2/13投稿

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親愛なるもう一人の天才へ。

君がこのファイルを見つけたと言うことは

君もこの事件を・・・ある程度理解した、と受け取るべきかな。

そう、このウイルスを生み出したのは私だ。

「何のために?」君はそう思ってるだろう。

「理解出来ない」、と。

しかし理屈は単純だ。私は誰かに雇われたわけではない。

全ては自分の意思だ。お金のためでも地位や名誉のためでもない、ましてや私は世界征服や人類滅亡を企むような、おかしな夢も見ていない。

全ては偶然だよ。

私は…私は娘を助けたかっただけだ。

娘の病気の事は君も知っているな?妻と同じ、特殊な遺伝病なんだ。現代医学では治せないと、もう諦めろと言われた。何が医者だ何が医学だ!だが私は諦めたくなかった。来る日も来る日も研究を続けたよ。そして見つけたんだ、ウイルスを!

「メシア02」そう名づけたウイルスは、娘の病気を遺伝子レベルで修復し、救ってくれる画期的なものだった。まさにゼロツーは救世主だった。

だが、コンピュータのシュミレーションは救世主の裏の顔も同時に明らかにした。そう、悪魔としての顔だ。

正常な遺伝子を持ったほとんどの人間にとっては脅威となりうるんだ。しかも感染力が異常なほど強く、あっという間に世界中に広まる。これを使えば地球から9割の人間が、一週間で消える。

だがそれがどうしたと言うんだ。

愛する者をどんな手段を使っても救いたい、そう思うのが異常かね?私はただ…うぐッ、あぁ、どうやら私も発症したらしい。む、娘を救うためには、人類を犠牲にするしかなかったんだ!悪意はない、全ては偶然だ!ふふふ…傲慢だと思いたけれ、ば…思ってもらって結構だッ!

私は…娘が助かれば、

それでいい

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