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スコープ1、スコープ2の削減策~マテリアルフローの見直し

前回の記事で、温室効果ガス(GHG)排出量算定の優先順位や範囲について、説明しました。
【過去の記事】全スコープ・全カテゴリーを算定しないといけないの?

初年度の目標をある程度設定した上で、担当者の方が次に着手することは、スコープ1 ・2の具体的な削減策を検討する事です。そこで欠かせない業務といえば、現在の「マテリアルフロー」・「エネルギーフロー」の分析です。
企業として、現在から大きく異なる「将来像」を目指すのであれば、各フローを抜本的に見直す必要性があります。

本記事では、2回に分けて「マテリアルフロー」・「エネルギーフロー」両方の解説を含め、見直しを進める際のポイントを具体例を交えて説明します。


マテリアルフローについて

温室効果ガス(GHG)排出量算定における「マテリアルフロー」とは、自社の製品・サービスの製造・取組・提供等の過程において、どれだけの資源を採取、消費、廃棄しているかという「ものの流れ」(物質フロー)を指します。

マテリアルフローを見直すポイント

マテリアルフローを見直す際には、以下のような視点があります。
 ● マテリアルフローの上流:原材料の種類や量、調達先について、より環境負荷が小さいものへの変更を検討する。
 ● マテリアルフローの下流:製品から出る廃棄物を減らす/活用する余地を検討する。

環境省:SBT等の達成に向けたGHG排出削減計画策定ガイドブック(2022年度版)資料

マテリアルフローの見直し~具体例~

例えば、「原材料の量を減らす」ことをテーマにした場合の項目と具体例を以下に紹介します。

【原材料の量を減らす】ために見直す項目
1)ビジネスモデルを見直す
2)製品設計を見直す
3)プロセスフローを見直す(廃棄物を活用するなど)
4)個別のプロセスを見直す(歩留まりを改善する)

1)ビジネスモデルを見直す

製品を販売し対価を得るのではなく、製品の利用による対価を得るビジネスに転換する。これにより、販売量ではなく、サービス提供による顧客満足を得ることを重視した製品製造へとシフトすることとなり、製造量を減らすという選択につながります。

2)製品設計を見直す

環境省:SBT等の達成に向けたGHG排出削減計画策定ガイドブック(2022年度版)資料

製品製造というビジネスモデルは変えずに、製品の小型化や長寿命化などの製品設計の見直しという手段もあります。中には原材料の変更を伴う見直しも含まれるでしょう。上記の例では、製品を小型化することで、原材料の量を減らすことができ、原材料製造から輸送までにかかる排出量を削減できます。また、加工する原材料の量が減るため製造工程における排出削減や、製品重量が低減することで製品輸送・廃棄による排出削減も期待されるでしょう。

3)プロセスフローを見直す
製品製造に必要となる原材料を新たに調達するのではなく、使用済みの製品自体から調達するなど、(バリューチェーンも含めて)プロセスフローを見直すアプローチもあります。下記の例では、これまで廃棄されていた製品から、製品製造に必要な原材料を取り出す技術を開発し、製品に活用することで、原材料の新規投入量を減らし、廃棄物及び廃棄による排出量を削減できます。

環境省:SBT等の達成に向けたGHG排出削減計画策定ガイドブック(2022年度版)資料

4)個別のプロセスを見直す
個別の製造プロセスを見直し、歩留まりを向上させることで、これまでより少ない原材料でこれまでと同じ販売量が確保できれば、原材料の量を減らすことにつながり、マテリアルフロー全体に波及する排出削減が期待できます。

まとめ

このように、マテリアルフローの上流に着眼し、全体への影響が大きい「原材料の量を減らす」ことを目的に、 全社的で大きな視野から個々のプロセス等小さな視野へと順に検討を進めることで、抜本的な排出削減が期待できます。
このほかにも、「原材料の調達先を変える」ことで原材料製造や輸送に伴う排出を削減できる可能性があります。 また、「製造拠点を変える」ことで、納入先までの輸送距離を短縮し排出削減が可能となる場合もあるでしょう。 なお、マテリアルフロー下流の見直しの視点については、例えば販売からサービス提供へとビジネスモデルを転換することで「廃棄の量を減らす」ことができる、製品設計を長寿命化することで「廃棄の頻度を減らす」ことができる、といったように、上流を見直した結果として見直されることがほとんどでしょう。
したがって、やはりマテリアルフロー上流の視点から見直していくことが重要だと言えます。

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