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ベルギー外にいる日本人にベルギーの現状を(ネットで)教えてもらった

今朝イチでメールチェックしていて発見した記事:
欧州から帰国の医師「日本はイタリアの医療崩壊から学んでいない」

(日経ビジネス有料記事なので、結構とっととリンク切れとか読めなくなるとかになりそう、という危惧もあり、ポイントを以下に抜粋する。引用の範囲を逸脱している、との咎を受ける可能性は否定しない。その時はその時で真摯に対応する気でいる)

澁谷泰介医師(以下、澁谷氏):3月中旬までベルギーのルーベン・カトリック大学で心臓外科医として勤務していました。ルーベン大学はベルギーの新型コロナ対応指定病院なので、欧州を中心に様々な情報が入ってきます。3月中旬にベルギーがロックダウンになり、新型コロナ対応から心臓外科の手術も減り、子供たちの学校再開のメドも立たないため、日本に一時帰国しました。
(中略、以下略)ベルギーから帰国する際は、日本の新型コロナ対策は既に成熟していると思っていました。欧州に比べて感染者は少ないですし、各国の事例を見ており、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の新型コロナ患者に対応した経験もあるからです。しかし、実際に医療現場に入ると、様々な問題点があることが分かり、感染を抑制してきた期間を有効に使ってきたのか非常に疑問を持っています。
欧州ではイタリアの医療崩壊の状況を注視しており、ベルギーでも3月くらいから急速に様々な対応を進めてきました。新型コロナ対策で大事な点は、感染者や感染が強く疑われる患者を、感染していない患者から隔離するゾーニングです。イタリアではこれが不十分で、院内感染が広がってしまいました。それを受け、ルーベン大学病院は敷地内にある精神科病棟を重症コロナ患者の専用病棟とし、新型コロナ専用の集中治療室(ICU)も増設しました
日本も新型コロナ対応病院を増やそうとしていますが、ベルギーとは事情が異なります。ルーベン大学病院は2000床のベッドがある大規模病院で敷地に余裕があるのですが、日本で500床を超える大規模病院は全体の5%ほどしかなく、一般的な病院は規模が小さいため、大胆なゾーニングは難しい状況です。特定の階を新型コロナ専用とし、そこに至る通路なども一般患者用と隔離しなければならず、非常にコストと手間がかかります。
当初、新型コロナ患者はルーベン大学関連の付属病院に送られていましたが、その能力を超えそうになったので、今は大学病院が新型コロナ患者を直接受け入れるようになりました。それまで大学病院は新型コロナの「研究施設」としての役割を担い、すべてのサンプルが大学病院内に送られ、多くの知見を積んできました。状況を見ながら病院の役割を柔軟に変えていったように見えます。
1つは人手不足への対応です。ルーベン大学病院ではビデオや電話相談の専用窓口を開設し、付属大学の看護学生に常駐してもらっています。ここに現場の医師や看護師のリソースを取られることを防ぐためです。
また、特徴的なのは新型コロナに関する心理的なサポートが充実している点です。今回のウイルスとの戦いにおいて、患者と医療従事者は共に隔離による孤独感や死への恐怖など精神的なストレスを抱えています。
ICUを含むすべての新型コロナ部門には最低1人の精神科スタッフが任命され、患者やその家族向けに必要に応じて精神面のケアやサポートを行います。さらに、ストレスのかかる医療従事者向けの心理的なサポートも重視しており、そのための専門部署を作りました。

ルーベン大学病院は確かに、病院というよりはそれ自体が1つの町、と言っても良いぐらいのものすごい規模感を擁する。

かつて小児心臓外科の先生が日本から単身赴任で来られ、2ヶ月間ひたすら手術しかしてないです、と仰有られていたのを思い出す。心臓外科については、その頃(15年ぐらい前?!)から協力関係があるのだろう。

3月中旬に日本へ帰国、ということは、ロックダウン直後の、国境封鎖直前のギリギリのバタバタでのことだったろうと拝察される。うわー大変だったろうなあ。
そして帰国後も、一息つく間もなく医療の現場に出ておられるのだろう。

医療関係者の皆さんには、本当に頭が上げられない。

そしてもう一つ、YouTubeで「オススメ」されていたので知った動画:

(↑リンクを貼ったのは、ベルギーについて話されているところからです。この方が引いておられる資料が何なのかが気になってます)

ベルギーで死亡率が高くなっている理由は、介護施設(本稿では老人保健施設と表記)での死亡者が非常に多いこと、介護施設での医療環境が褒められたものではないこと、現場からの要請があるにも拘らず、政府が医療機関での対応を優先せざるを得ず、この傾向に歯止めがかからないこと、が指摘されている。

本稿でも、老人ホームがトリアージュの最前線に(!)コロナウィルスは現代の姥捨て山ということか?老人保健施設等を「1人だけなら見舞ってもいい」方針がもたらす波紋と、複数回取り上げて来た。

驚いたのは、上記YouTube動画のコメント欄に、「素晴らしい指摘」というのが相次いでいたこと。

何度でも書くが、ベルギーでは老人保健施設が既に主戦場になっている

他国の報道を追ってないのでコメント出来ないが、近隣諸国であれば、状況は多かれ少なかれ似通っているはずであろうと管見する。

2020/04/16(木)19時のニュースから

感染が判明し入院している人の数: 5.309(前日比+310)
のべ感染者数:34.806
新規感染者数:1.236
ICU収容患者数:1.182(前日比-22)
のべ退院者数:7.526(前日比+455)
のべ死亡者数: 4.857(+127が病院、+289がWZC、家などが+1:計+417)

ベルギーのコロナ禍死者数が、対人口比で多くないですか、というのは、数字に強い日本の友人からも夙に指摘されて来たことではあった。

実に今日、そこらへんの話はニュースでも取り上げられていたのである。曰く、

ベルギーのコロナ禍死者数は、WZC(老人保健施設)の死亡者で、検査が間に合わなかった方々も、症状から類推して陽性だったという見込みカウントをして含めている。一方、近隣諸国のオランダもドイツもイギリスも、世界的には中国もアメリカも、死者数のカウントは「陽性と判明して入院していた患者のうちで亡くなった人」のみに局限している。
国際的なカウント方法が現時点で確立していない以上、ベルギーの現行の死者数カウント方法は(結果として数が大きくなり過ぎるので)遠からず是正され、ベルギーのコロナ禍死者数は下方修正されべきなのではないか?」

と、ニュースキャスターWim De Wilderが問いかけた。

これに対し専門家会議筆頭、ファン・フフト教授(ヘッダ画像参照)は、
「あ、全然そんなことないです。コロナ禍死者数についてはむしろ、他の国がベルギーのやり方を、遠からずモデルとして参照することもあるのではと考えています。いずれにしても報告の類は、状況が落ち着いてからでないと出て来ないし、今はまだ落ち着いてすらいない。目の前の状況に、全力で取り組むしかないです」と答えた。

かっこいい。惚れてまうやろ(^^;。こういう人がコロナ禍対策最前線に専門家トップの1人として日々メディア対応をしてくれている。頼もしいことである。



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