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老人ホームがトリアージュの最前線に(!)

助かる見込みのない患者あるいは軽傷の患者よりも、処置を施すことで命を救える患者を優先するというものである。日本では、阪神・淡路大震災以後知られるようになった。

知らなかった…。
そしてこの単語を想起せざるを得なかった本日のニュースの中でも、この「トリアージュ」という表現は出て来なかった。

今朝イチのラジオで、ゲント大学病院のGeriater(老人専門医;和訳も英訳も見つけられない)が訴え、ルーバン大学病院の同様の担当医が、病院屋外会見場で語った内容は次の通り:

「コロナウイルス罹患で老人ホームから大学病院に搬送するのは、患者の生命の質(Quality of Life)および安全性の面からも、今後はもう続けない方が良い、と提言する。搬送が患者に与える悪影響のみならず、搬送スタッフも危険に曝すことになる。そのようにして搬入・入院したところで、その過程は既に過酷であり、病院内でも対応可能な医療機器の数は限られている。このような声明を出すのは非常に苦しいが、感染が判明しても、老人ホームに留まる方が老齢患者本人にも周囲にとっても、"まだまし"であるし、結局のところ、「より人道的な残りの人生を過ごすことが出来る」と結論付ける」

ゲント、ルーバンの大学病院は、ベルギー(フランダース)の両巨塔というか、日本で言うと東大京大、的な存在感である。(ちなみに国家危機管理委員会の医療専門家の先生はアントワープ大学教授なのだが、これについては稿を改めたい。)

早朝明けやらぬラジオ放送にゲント大学の医師が、午前中の会見にルーバン大学の医師が、それぞれ出張って来て、言いにくいことをきっぱりと忌憚なく言った、ということは、それがもう方針として確定した、と理解すべきだろう。

どの時点でどのように老人ホームでコロナウイルス感染試験をしているのかが分からないのだが、ベルギーが事実上のロックダウンになるかならないかの頃、ブリュッセル郊外の老人ホームで30人超の感染が伝えられたことが、ロックダウンの推進力として作用したのは否めない。

ただ、上記報道でも、老人ホームの運営者は「搬送するかどうかを決めるのはホームではなく、あくまでも本人だ」と強調している。つまり、老人ホームで感染判明したらそこでゲームオーバー、という流れ作業にはしないんだからな、という立場表明である。

それにしても、だ。

ベルギーは既に、本人の意志による安楽死を合法化している。一連の報道で、「安楽死」という言葉が、(今までのところ)ちらりとも出ていない、というのは、これもまた某かの政治的忖度が少なからず作用しているのだろうか。

私は個人的には、安楽死の合法化は国家としての英断だと捉えている。
コロナ禍と安楽死、という文脈での議論すら現状では為されていないが、今週以降はこれも議論のテーブルに上がって来る、その予兆と見るべきかも知れない。

2020/03/24(火)13時のニュースから

感染が判明し入院している人の数:1859(前日比+216)
のべ感染者数:4269
そのうち、ICUに収容された人の数:381(前日比+59)
退院者数:410
死亡者数:122(前日比+43)
新規感染患者の地域別分布 
フランダース:381 
ワロン:87
ブリュッセル首都地域:38 
起源不明:20
合計:526

感染者数が、微減なんである(!)
けども、そこで喜ぶのは、文字通りの本当に単なるぬか喜びなんだからね、アホか浮かれんなボケ、というのを、もっとうんと上品に国家危機管理委員会と国営放送が繰り返し言っている、気がする。

イタリア、スペインの状況を知れば、ごめん&ありがとう俺ら以て他山の石とする!以外の気持ちは湧かない。

そして日本が、もうオレらピークアウトしたぜ?的なスタンスに見えてしょうがなく、それ、絶対ちゃうんとちゃうん?という、老婆心だけがわらわらと(略

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