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自分のリアル心音をVRChatに持っていく

VRChatで自分の心音を録音して設定して使っているという話題を見かけて、興味を持ったのでやってみます。

使用するもの

  • 聴診器
    安物で大丈夫だと思います。逆に高級品だと耳管部が金属で繋がっていたりして、マイクを接続できなくなるおそれがあります。
    自分は実家に転がっていたものを拝借しました。

  • ラベリア型コンデンサーマイク
    いわゆるピンマイクで、テレビとかで服に付いてる小さいやつです。
    安すぎるとノイズが酷かったり音割れするので、Amazonの700円くらいのやつはおすすめしません(1敗)。
    自分が買って使えたやつがこれです。

  • 聴診器とマイクを接続する部品
    聴診器のチューブにマイクを埋め込みますが、聴診器のチューブは細すぎるので太いものに変換する必要があります。
    ホームセンター等で材料を買って自作しても良いですが、ここではニッチすぎるものを売っているこちらを使わせていただきます。
    単品では660円ですが、聴診器とセット割でなんと220円になります。聴診器本体も1500円未満で買えてしまうので非常にお得ですね。
    古めかしい味のあるサイトですがしっかり届きます。

  • Audacity
    録音した心音を加工するのに使います。フリーソフトです。
    余計なものを入れたくない場合は、Downloadの下の「Download without Muse Hub」を選んでください。

  • なめらか心音ギミック(VRChat)
    録音した心音を単純なループ音源として使用するなら不要です。必須ではありません。
    指定した心拍数に応じて心音のBPMを変化させることが出来るギミックです。通常は音源のスピードを変化させるとピッチ(音の高さ)も同時に変わってしまい少し不自然になってしまいますが、このギミックではそれが起こりません。
    さらに心拍計からOSCを通じて自分のリアル心拍数をアバターと同期させることも可能です。
    おすすめです👍👍(逆ステマ)

心音ギミック抜きで3000円ちょいに収まると思います。
ここでは聴診器を使用しますが、マイク性能の良いスマホなどをお持ちの場合でもAudacityでの編集は同じ手順が使えるはずです。

今回はなめらか心音ギミック用に音源を加工するのを目標にします。(一応ループ音源用の手順も書きます)

手順

1. 聴診器とマイクを接続する

聴診器の耳管部を取り外し、Y字変換チューブを取り付けてマイクをはめ込みます。
今回は太いチューブは使いませんでしたが、マイクのサイズによっては必要になります。

こうなる

2. 録音準備

  1. Audacityを開き、「オーディオ設定→録音デバイス」からマイクを選択

  2. 同様に、「オーディオ設定→再生デバイス」にお手持ちのヘッドホンまたはイヤホンを指定

  3. 「編集→環境設定→録音→オーディオ入力をモニタリング」を有効化

こんな感じ

これで心音を確認しながら録音することが出来ます。
次に心音のテスト録音を行います。

  1. 赤い丸🔴を押して録音を開始

  2. 聴診器を自分の胸に当て、音割れせずに心音がしっかり聞こえるいい感じの場所を探す

  3. 見つかったら一旦録音を止め、トラックを削除

3. 録音(本番)

同じように録音をし、先程見つけた場所で息を止めながら心音を録音します。6~8ループほど録音できれば充分です。
衣擦れや聴診器のチューブを触ったりしないように気をつけてください。
なお、後のノイズ処理の都合上、心拍数は70以下の低い方が望ましく、瞑想したり寝る前などのなるべく落ち着いた環境での収録がおすすめです。

うまくいくと大体こういう波形になる

4. 音源の加工(カット)

心音が録音出来たら、必要な部分のみを残して削除します。録音場所が決まっていれば、録音開始と終了のタイミングのみ削除すればいいと思います。削除は範囲を選択してdelキーで出来ます。(または残したい部分を選択してCtrl+Iで反転)
カット端は心音の無音部分(ドクンとドクンの間)になるようにしてください。

5. 音源の加工(ノイズ低減)

心音の無音部分を選択します。その状態で「エフェクト→ノイズを低減」を選び、「ノイズプロファイルを取得」をクリック、次にトラック全体を選択し、再び「ノイズを低減」を選んで今度は「OK」をクリックします。
なお、挟範囲の選択はトラック上でCtrl+マウスホイールで拡大するとやりやすいです。
プレビューで加工を確定せずに聞くことが出来るので、ノイズ低減のパラメーターは各自で調整してください。完全に消さなくても大丈夫です。

無音部分の選択の目安

うまく行けばノイズが消え、心音だけが残るはずです。何かがおかしい場合は、鼓動ではない部分の選択からやり直してください。
(Ⅲ音や心雑音は消してしまいます。医療従事者の方々には申し訳ないです。)
次のステップ6では目的に合わせてどちらかを実行してください。

6_A. 音源の加工(ギミック用)

なめらか心音ギミックでは心音1ループ分だけ、さらにⅠ音Ⅱ音に分けて使用するため、それ用の加工を行います。
いい感じの1ループ(Ⅰ音Ⅱ音が綺麗に分離している方がやりやすい)を選択し、大雑把に切り取ります。Ⅰ音とⅡ音の無音部分を左クリックし、右クリックで「クリップの分割」をします。

クリップの分割

ここでついでにⅠ音の始点とⅡ音の終点の無音部分を少しだけ余白を残して切り詰めておきます。
分割できたらⅡ音のラベルをドラッグして右に少し離して、全体を再生します。まだノイズが完全に除去しきれておらず、クリップ間で若干プツプツというノイズが発生するはずです。
クリップの始点をフェードイン、終点をフェードアウトします。2箇所ずつ計4箇所作業を行います。

Ⅰ音の終点をフェードアウトする例

加工が出来たらそれぞれのクリップをogg形式でエクスポートします。クリップを選択し、「ファイル→オーディオをエクスポート」で適当な名前と場所にそれぞれ保存します。エクスポート範囲は現在の選択範囲にしてください。

エクスポート例

6_B. 音源の加工(ループ化)

ループ音源として使用する場合は、始点と終点がなめらかにループしなければなりません。
まず、ループを跨いだときにもBPMが維持されるように始点と終点の無音部分を切り詰めます。
その後、始点をフェードイン、終点をフェードアウト加工します。

フェードイン加工例

最後にループ再生してループ時にプツっというノイズがないか確認します。
問題が無ければogg形式でエクスポートします。

7. Unity設定

Unityに先程のoggファイルを放り込んで、少しだけ設定を変えます。

設定例

なめらか心音ギミックの場合は ギミックプレハブ/AudioSources にある0と1にそれぞれⅠ音とⅡ音をセットすれば完了です。
音量が物足りない場合は、Audacityに戻って音割れしない範囲でゲインを上げてください。

お疲れ様でした。
ここで設定した心音は世界に一つのあなただけのものです。
是非フレンドに聞かせてあげてください!


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