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会社を辞める勇気|製造業20年の管理職が副業を本業にするまでのリアルな話
「辞めたい、辞めたい。」このフレーズを何度心の中で唱えたかわかりません。
でも、実際に「辞めるための行動」を起こしてから辞めるまでに7年かかりました。その理由は簡単で、会社を辞める勇気が持てなかったからです。
この話は、僕という一人の男が、製造業20年を経て副業から本業にシフトした物語です。
「辞めるためのノウハウ」や「成功する副業術」ではなく、ただ一つの人生の歩みとして、読み物として楽しんでいただければ嬉しいです。
※起業やフリーランスという生き方をオススメする内容ではありません。
1. 僕が製造業で働き続けた理由
製造業で働き続けた理由は、夢や情熱ではありませんでした。
「家から近い」「いつでも募集がある」「経験があった」という消極的な理由が主でした。
ものづくりが好きだったわけでもなく、実際に製造業での転職も3度しています。
僕が関わった企業がたまたまそうだったのかもしれませんが、「働く人の表情がみんな死んでる」し、「”生産性”という名のもとに管理される」し、「誰の何に役に立っているかわかりづらい」状況でした。
こういう言い方が適切でないのはわかっていますが、僕の中で製造業は「働き先に困った人が行く、最後の砦」でした。今でも製造は不人気ですよね。
ではなぜ20年も製造業に携わったのか?
それは、辞めづらかったからです(笑)いや、笑えないんですけど、本当に会社を辞めるってエネルギーが要りますね。
管理職としての責任、「辞めてどうするの?」という周囲や”内なる自分”からのプレッシャー、さらには辞めた後の生活への漠然とした不安。
これらが重なり、次の一歩を踏み出せずにいました。
会社の仲の良い仲間とも、そして会社の外で会う友人とも「会社辞めたいよね〜」というフレーズが合言葉に。
今の働き方に不満を持っている人は僕だけじゃない。
そんな一体感みたいなものも、「会社を辞めるための本気の行動」にブレーキをかけていんだろうと思います。
2. 辞めたい理由と葛藤
辞めたい理由は「人間関係」でした。
人間関係のトラブルを避けるため、何があっても感情を出さず、波風を立てないように立ち回る日々。
この精神的な消耗感は、人生そのものを浪費しているように感じさせました。
ちょっと趣旨は違いますが、上記の動画で税理士のスガワラさんがおっしゃっている”問題社員” みたいな方の一部が、組織の【悪い風土】を作り、働きづらい職場を作り上げているという実感があります。
これは、それを放置する社長の責任でもありますけどね。
「会社とは、仕事とは、我慢することなのか?」
この問いが頭を離れず、答えが見つからないままの毎日。
決定打となったのは健康面でした。定期検診で3度目のポリープが見つかり、医師にこう言われました。
「良性だから良かったけど、悪性だったらガンですからね。」
先回りして人間関係のトラブルを避け続ける気の使い方に、体にダメージを蓄積してしまっていたんですね。
人のために自分の体壊すって何やねん!!
と、関西弁でツッコんでみても、健康を取り戻すには決断するしかありません。
医師の忠告を受けて、心の中で決めました。
「子ども達の成人を見届けるまでは死ねん!だから、辞めよう。」
今振り返ると、あのような状況で20年もよく頑張ったと思いますね😨
3. 副業との出会いと自信の獲得
「辞めよう」と決めたものの、何から始めたらいいかわからず、、、
ただ、もう人間関係でしんどいのが嫌だったため、「転職はナシ」。起業=フリーランスになることを1つの目標に定めました。親しい人にだけ打ち明けて。
何かを決めて、心がそのことに集中するとチャンスは訪れるものですね^^
コロナ禍の一時帰休が、副業との出会いのきっかけでした。
ネットで見つけたHP制作の副業案件に挑戦し、初めて収入を得たときの感覚は忘れられません。「自分にもできる!」という自信が芽生えました。
それからは試行錯誤の日々。
いくつかの案件をこなしながら、「本当にフリーでもやっていけるのか?」と自問し続けました。
最終的に、自分のスキルが通用するという確信を持ち、退職を決断しました。
副業を始めて辞表を出すまで3年が経っていました。
4. 辞めて感じたこと:新しい働き方のリアル
副業時代から感じていましたが、フリーランスになってから確信したことがあります。
それは、「仕事はこんなにも感謝されるものなのか!」 ということです。
製造業時代には、単に自分の役割をこなすだけで終わっていました。
しかし今は、クライアントと密にコミュニケーションを取り、一緒に課題を解決していくスタンス。
その過程で「ありがとう」と言われるたび、仕事の本来の楽しさを実感します。
製造業時代との働き方の違いを振り返ってみると、
仕事のための仕事をしていたのが製造業時代。クライアント企業の課題解決を直接支援するのが今のフリーランス時代と明確に違いを感じられます。
感謝されたくてやっているわけではありませんが、「何のためにこれをつくっているのだろう?」「誰の役に立っているんだろう?」の答えが無いまま何十年も働きつづけるのはやっぱりしんどい。そりゃ人間関係もカオス化します。
現在の働き方は「仕事が人間関係を壊す」と思っていた過去とは真逆の状況。今は、仕事が「人間関係を築くもの」になっています。
5. 副業を本業にするまでに必要だったこと
副業で得た経験は、単なる収入以上の価値を持っていました。
僕はWEB制作から副業スタートしましたが、クライアントの真のニーズに応えるために、マーケティングや提案力といったスキルを掛け合わせる必要があることに気づきました。
このスキルの積み重ねが、フリーランスとしての基盤を作り上げました。
「資産」としてのスキルを築くことで、自分の価値をさらに高めることができたのだと思っています。
自分の製造業就業経験を「暗黒時代」にしないために、製造業時代に積み上げたスキルはなんだろう?と真剣に自分のスキルを棚卸ししてみると、僕にはコミュニケーション能力が備わっていることがわかりました。
社内での人間関係を円滑にするために、相手の背景・状況を察知し、相手の理解度に応じて話す力がついていました。この能力を獲得するために、3度のポリープができたことを思うと、皮肉ですね(笑)
逆境と言われる環境の中でも、自分に備わっていくスキルがあるのだと、改めて感じています。
6. 終わりに:辞める勇気の先にあるもの
最後に。
もし今、辞めて起業するかどうか迷っている人がいるならば、一つだけ伝えたいことがあります。
「仕事を取り続けられるかどうか」で判断してみてください。
自信がないなら転職を考えるのも一つの選択肢です。
フリーランスの道は決して簡単ではなく(1年以内に3割が廃業)、性格・市場・実績的な向き不向きがあります。
それでも、この記事を読んで「こんな働き方もあるんだ」と知ってもらえれば幸いです。
あなたの人生に少しでも新しい視点を提供できたのなら、それだけで僕は嬉しいです。
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