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「よく食べる子が好き」とか言わないで
昔から、「細いね」って言われてたタイプの女でした。
夫といっしょに暮らし始めるまで、体重37kgぐらいをキープしていました。
身長が148cmだからさ、すごーく軽いわけじゃないけど、結構、細いでしょう?
でも、正直なところ、わりと無理をしていたんです。知らず知らずに。
***
大学生のころ、本屋で手に取った恋愛本や、雑誌のコラムで
「よく食べる女は愛される」
って、書いてあったんです。
うん、わかる。
美味しそうにパクパク食べてる女子は可愛いよね。
それに比べて私はどうだろう?
私はいわゆる「少食」だった。
***
デートで、よく食事に行く。
いつもハラハラしていた。
頼んでも、食べきれないから。
ごはんを小盛にしてもらっても、やっぱり残してしまう。
そんな様子を見て、相手の男に「ダイエットしてるの?」って聞かれる。
「ダイエットなんかしなくてもいいのに」って。
はぁ?違うんだ。ほんとうに食べきれないだけ。
***
私は、「こんな量も食べきれないなんて、ダメだなぁ・・・」と思うようになっていった。
よく言われるじゃん。フードロス。
この廃棄したごはんがあれば、恵まれない子供達が助かるとか、なんとか。
やっぱり罪悪感はある。
そもそもご飯を残すのって、よろしくはないよね。
***
食事のときに「おいしい〜〜!」って食べて、
「ああ、この子には、おごった甲斐があるなぁ!」と思われるにはどうしたらいいのか。
(ぶっちゃけ、私は割り勘するぐらいなら、外食なんぞ食べたくなかったのだ、その当時。だから、奢ってもらうために必死だった)
愛されて、かつ気持ちよく奢ってもらうには、どうしたらいいか?
アホなわたしは思いました。
「デートが決まっている日は、ごはんを抜けばいいんだ」と。
ランチが決まっているなら、朝ごはんを抜きます。
ディナーが決まっているなら、当日の昼ごはんを抜きます。
もうね、飢餓ぐらいになるまでペコペコになれれば、さすがに食べれる。
しかも、ペコペコなときは「おいしい〜〜〜〜!!!」って素直に言える。
そんなにおいしくなくても!
それ、かわいくない?
「おいしい〜!」って食べる女、かわいいんでしょ?
そしたらモテるんだろ〜!????
***
この作戦、めっちゃよかった。
「細いのに、意外と、食べるよね^^」
って言われることに成功したのだ。
***
私は、「細いのに、意外と食べるね」という言葉が気持ちよかった。
なんか、ちゃんと人間扱いされてるような気がして、うれしかった。
本当は、昼ごはんを抜いただけだ。摂取カロリーはそんなに変わらない。
しかし、弊害もあった。
***
私は「人との外食」を楽しみにするようになった。
中には、当日に連絡をとるタイプの人もいて「今日夕飯どう?」のように、急にアポを取ってくる奴もいるのだ。
「今日も、◯◯くんから誘われるかもしれないしなぁ」
という願望だけで、私は昼ごはんを抜くようになってしまった。
いつも腹ペコでいないと、「細いけど、たくさん食べるんだね」って言ってもらえないじゃないか。
***
もともと自炊ができないタイプかつ、その日暮らしなタイプだったので、家にごはんのストックは全くない。
「お腹すいた」と思っても、どうにもならんのだ。
いつのまにか、家でご飯を食べる習慣がなくなり、
「あー、だれか、外食に連れてってくれないかな」って、思ってた。
***
結局のところ、私は、自分の空腹なときにどうしたらいいのか、いまいち分からないままだった。
そんな生活をしていたから、まぁ、痩せてガリガリなままだった。
だいたいの時間が腹ペコで寂しかった。
そう都合よく、毎日だれかが一緒にごはんを食べてくれるわけではないから。
***
誰かと「いっしょにご飯を食べる」というのは、私の中でのセーフティネットだった。
ひとりでご飯を食べるのは、とにかく面倒だった。
しかも私は食べるのが遅いのだ。
昼ごはんひとつに、40分も食べてたら時間の無駄。
ああ、点滴でもしてくれないかなあ?ってマジで思ってた。
だれかとご飯を食べるというのは幸せだった。
しかしまぁ、今思うと、昔やらかしたアホなこと全部、「空腹のせい」だったような気がするな。
***
会社にいくと昼ごはんが食べれる
常に空腹な大学生だったわたしは、社会人になりました。
そしたら、会社の昼休みに、ランチ時間があります。
私は、同僚といっしょに毎日のように外食に出かけていました。
「いっしょに働いている」というだけで、毎日ランチに誘ってもらえるのです。幸せでした。
しかも、ランチでおなかいっぱい食べておけば、夕飯は食べずに済むから。
***
しかし、普通に労働していると・・・。
たとえ、ランチを食べたとしても、夜20時ぐらいにはお腹がすきます。
しかし、その当時、わりと薄給だったので
「私に夕飯を食べる資格なんかない」と勝手に思っていました。
その当時、会社は副業も禁止していて、
金を稼ぐことと貯めることしか趣味がない私は、「ただぼんやりしているだけが、いちばんお得」と思ってたのです。
「夕飯なんて、もっと生産性がある人が食べればいい」と思ってました。
(というか、まぁ、作る気力もなかったわけですが)
そういうわけで、フルーツグラノーラやカロリーメイトだけを食べていました。
「自炊すれば?」という意見はごもっともですが
自己肯定感が下がっている人が料理しようとしても、「自分の作るもの全てがまずく感じる」「腐っていく食材を見てゲンナリする」という風になりがちで、わたしは心が折れていました。
あと、「料理は女がするもの」「お外でたくさん稼いでる人は料理しなくていい」という家庭で育ってきたので、反発心もあったんですよ。
空腹から助けてくれたのは現夫(93kg)
そんな生活を続けていた私を救ってくれたのは、まぎれもなく現在の夫。
職場にいた彼は、その当時93kgぐらいあったデカいプログラマー。
ラガーマンみたいな体型をしていて、非常によく食べる人でした。
いわゆる「動けるデブ」ってやつです。
会社のグループで、いっしょにランチを食べていても、
私だけ全部完食できなかったプレートを見て、
「あっ、もうおなかいっぱい?食べとくね」
と、こっそり私の残飯を処理してくれる姿が、気が利くしかっこいいなと思っていました。
「ダイエット中?」とか「よく食べる子が好き」とか、余計なことを言わずに、「残飯があってラッキ〜〜〜wもぐもぐ」ぐらいの彼といるのが心地よかったのです。
そんな彼は、なんだかんだ週末になると、ご飯に誘ってくれたりしてくれたので、いつのまにか私は「飢餓感を感じるレベルの空腹」までいくことはなくなりました。
付き合うようになると、「外食は高いよね」といって、毎日うちのキッチンでご飯を作ってくれました。
ちなみに、今もめっちゃ作ってくれています。
***
そして私はぷくぷく太り・・・いまや45kgぐらいあります。
もう一般人レベルですね。たぶん私の身長だと、「普通」だと思います。
わたしのこと、誰も「少食だね」とも言わなくなりました。
だって、わりと、ばくばく食べるし・・・。
ランチ1人前ならデザートまで食べれます。すごいでしょ。
***
まぁね…、出産したら、体重が戻らなくなったんですよ。
しかし、そんなに焦ってないし、少し太ってようと、どうでもいい。
結婚して子供ができて、やっと解放された思いがします。
もちろん…痩せたければ、あのころの私と同じ生活をすれば、確実に痩せるかと思いますが、
絶対に戻りたくない。
✳︎✳︎✳︎
旦那は勝手に、朝や昼や夜になるとごはんを作ってくれるので、神様がなにかだと思います。
もし私のように、食べれない系の女子は、騙されたと思って大食いかつ料理ができる人と付き合うといいんじゃないかなぁと思います。
でも、いちばんいいのは、自己肯定感を取り戻し、ひとりでも普通に食べることができるようになることですよね。
わたしも未だに、夫が家にいないと、食べるのが面倒になりますが
「つくりおき」や「サバ缶」を置いておいてくれるので、なんとか食べてます。
あと、子どもがいるので、倒れないようにしないとなぁ、って。
✳︎✳︎✳︎
結局、わたしが食べるようになったのは「守るべきものができた」っていうのが大きいです。
あと、安定感。
ぜっったいに夫は家に帰ってくるし、急なデートの誘いに怯える必要もなく、夕飯の前にポテチ食っても怒られない。
幸せ!!!!!!!!!!!!!
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