守ってあげたい系女子の信条
私は昔、とあるライティングゼミに参加していました。
毎週エッセイを1本書いて講評してもらうシステムで、私は毎週セッセと頭をひねりながら、身の回りのことを書いていました。
確か12回、講評してもらえるチャンスがあったのですが、私は5回目で、講評に腑に落ちないところがあって、提出するのを辞めてしまいました。
一体なんのことを書いたのか、って?
私の旦那についてです。
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ライティングゼミで添削をしていた方は、「人の自慢なんて聞きたくないですよ」という理由で、私の原稿を一蹴したんですね。
でもこれ、本当に、自慢に聞こえるんですか?と。
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私の旦那は、スペックだけ聞けば漫画の主人公のような人。
中学生の時にはテニスの全国大会に出場してるし、中高では生徒会長をしていて、大学院は首席で卒業…。
友達が多くてみんなから愛されている陽キャラ。しかも隠キャにも優しい。
彼は私の勤めていた会社に転職してきたのですが、入社して3ヶ月でリーダーになり、1年で課長になってしまうというスピード出世を果たしました。
そんな彼は、さぞかしハイスペックな女子と付き合うのかと思いきや。
会社で上司にビビりながら、ニコニコヘラヘラして、たまにやる気がなくて、ご飯もろくに食べず、不器用そうに生きている私のことが、気になっていたと。
私には、スペックにおいて、彼に敵うところなど1つもないのです。
まぁ、私の方が絵はうまいかもしれないし、ピアノは弾けるし、百人一首は全部覚えてる。
でも、別にそんなの日常生活や仕事で張り合うわけじゃないし、どうでもいいでしょ?
そう。私は、彼にとって「どうでもいい」部分しか優れていないんです。だから彼には絶対に敵わないんです。
だからこそ「この子と結婚しよう」という気持ちになったらしい。
つまり私は「守ってあげたい系女子だった」というわけですね!
・・・なんかモヤモヤしませんか?
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守ってあげたい系女子の悩みは、自慢なの?
果たして、これが自慢話に聞こえるのか。
夫とは仲良くしてますし、子供も1人いて、たぶん幸せなんだと思うんだけど、結婚した理由を聞くと、いつもモヤモヤするのです。
私は永遠に「守ってあげたい系女子」でいなければならない苦しさは、少しだけあります。
でも、そういう風に生きてきたのは私自身です。
ほかにどういう風に生きればいいのか分からないんですが。
私は今でも身長が148cmしかなくて、子供の時からずっと、「届かないから手伝って〜」「重くて持てない〜」などと、人に頼りっぱなしの人生を送ってきました。
フラフラしてたら皆が心配してくれて、助けてくれるんですね。
小さくて弱そうだからかなぁ。
母親になったから、キャラ変すべきなのか
母親になると、強くなるっていいますね。
本当に、強くなるべきなんでしょうか。それとも勝手に強くなるんでしょうか?わかりません。
でも、きっといろんなことを、旦那に頼って生きた方が夫婦円満になりますよね。男の人って、ちょっとしたことを頼られた方が喜ぶような気がしています。
私がひとりでできることが増えてしまったら、旦那はさみしがるかもしれません。
私は料理もしませんし、スーパーに買い物にも行きません。
たまーに料理するんですが、だいたい失敗する。
でも、失敗することが大事と思っています。
失敗した料理、「あなたが作ってくれた方がおいしいよね。」と言いながら出す。「どうしたらあんなに美味しくなるんだろうな〜〜?」と言いながらチラチラ旦那の方を見る。
スーパーに行って、「重くて牛乳買えなかった・・・いっしょに行けばよかった〜〜〜」って。
「あなたがいないとダメなんです」アピールを怠らない。
私の行動、これって、羨ましいんですかね。
「守ってあげたい系」は高くつく
守ってあげたい系女子になることは、ライフハックのテクニックとして全然おすすめしません。
いざ、旦那が病気になった時、どうするんですか?
赤ちゃん抱えて、重い荷物、ひとりで持たなきゃならないとき、めっちゃある。
守ってあげたい系女子にも、強くならなければならない日が来てしまう。
しかしその強さは、旦那に見せるもんじゃないんです。
これは「守ってあげたい系女子の信条」です。
本当のわたしは、8kgの子供を抱っこして、重いバッグを持ちながら牛乳パックも持てるのです。
旦那の前ではできないふりをしているだけ。
・・・あら、器用!って思う方もいるかも。
ただ、頼り続けてると、「重い荷物を本当に持てなくなる」のです。
パフォーマンスではなく。
「むずかしいことわからないから、やって」って旦那を頼れば、
次第にむずかしいことができなくなっていきます。
恐ろしいでしょう。劣化して劣化して、なーんにもできなくなったババアになったころに、捨てられたら、どうしよう。
「守ってあげたい系女子」になることで、「がんばってるけど、できないパフォーマンス」をすることで、自分がほんとうに劣化していく、そんな怖さを、27歳になるまで分かりませんでした。
どうやって生きていけばいいんでしょうね。
母親になると、強さも、ほしくなってしまったのです。どうしても。