現役プランナーが思う「これからの結婚式は変わらなければいけない」
ブライダル業界に入り、気が付けは約20年。
外資系ホテルのアシスタントマネージャーで日々VIPの対応やコンシェルジュ的な仕事を楽しく行なっていたが、ある日 以前勤めていた会社の同僚からの強い誘いでブライダル専門のフォトスタジオに転職。そこへ外資系ホテル時代の後輩からブライダル会社に勤めたと連絡があり、久しぶりに後輩に会いに向かった会社が今で言う「ゲストハウス」。
それは、ちょうど西暦2000年を迎える「Millennium Wedding」というブライダル業界が大きく変わろうとしている節目の時で、「結婚式ってこんなに楽しく、お洒落になるんだ」と感動し、その会社に入社して約6年間ブライダルの知識を学ばせてもらった。
今では当たり前の、ウェルカムボードを飾ったり、いろいろなデザインから招待状が選べるようになったり、お庭が併設されたりと、、、。誰もが経験のない欧風文化を取り入れた結婚式スタイルに大きく変わる時だった。
それから20年・・・。
少子化、結婚式に価値を持たない人の増加、予算的なハードル、親族との関わりの薄れなどの要因から結婚式を挙げる人が少なくなり、ブライダル業界は「供給過多」の時代に入り、今では入籍した人の約半数が結婚式を行わない「無し婚」の増加に歯止めがかからない。
そこに加えて自由度が低い結婚式、いわゆる____。
「持ち込み制限が多い」
という新郎新婦をはじめとする一般消費者の理解のしがたいブライダル業界のシステムが今でも根強く残り、そこがとっても大きな問題となっている。
持ち込み制限の何が問題?
自分たちの好きなウェディングドレスやカメラマン、引出物などを選べないという自由の制限はもちろん、さらに問題なのは、式場提携店の中から選ばなければならないことで、「新鮮味のないパターン化された結婚式」になってしまうこと。
結婚式を挙げた方ならわかるプランナーとの会話あるある。
①「このカタログから引出物を次回打ち合わせにまでに選んでおいてください」
②「写真アルバムはどのタイプにしますか?」
③「A社とB社のどちらかで衣装を選んでください」
______________________ などなど。
普通の人にとっては何も問題のない打ち合わせだが、webやSNSで簡単に、しかも世界中の情報をリアルに得られる今の時代では、式場プランナーの提供する情報よりもはるかに多くの、しかもトレンドのアイテムをゲスト自身が見つけ、購入することができるにも関わらず、自由を制限されることはかなりストレスに感じているに違いない。
持込みフリーの会場やプロデュース会社では・・・・、
❶ 出席者の年齢や性別に合わせた引出物を一緒に相談してくれるうえ持ち込み自由
❷ 写真の仕上がりはカメラマンさんによって違うので好みのカメラマンを選べる
❸ 結婚式のテーマや会場に合わせて好きなデザインのドレスがある衣装店で選べる
「この違いは何?」と考える人も多くはなっているのだが、すでに会場に申し込みを済ませている方は、考えれば考えるほどモヤモヤしてしまうのでスルーして気持ちを穏やかに保とうとしているのではないかと思う。
僕も数年前までは、ゲストハウスの管理職だったので、そんなオペレーションで普通に打ち合わせを行わせてきた。
持ち込み制限には理由がある
会場側とすれば、安定した商品の提供を行うために提携会社を持つ。その提携会社からはビジネスとして紹介・手配した分、手数料をいただく。(・・・その手数料の利率が大きいこともブライダル業界の問題なのだが。。。。)
持ち込み制限は、会場側のビジネスとしての利益確保もあるが、提携会社を保護するために一定のラインを決めているためだ。
ここまでだと「会場側の事情だけじゃん」と、さらに納得できない人もいるかもしれないが、提携会社もニーズに合わせた商品のラインナップや、カメラマン、フローリストもプロ意識を持って日々スキルアップの努力はしている。
担当プランナーも新郎新婦に寄り添えるようにと、無条件ではないにしてもまれに持ち込みを一部許可してくれる場合もある。
いずれにしても、ほとんどの方が「会場側の都合」でドレスからはじまり引出物までの様々なアイテムを指定された中で選ぶことになる事、そして打ち合わせを行う担当プランナーも指定するアイテムの中で選んでもらうことになるため「提案ができにくくなること」から、どれも似たような新鮮味のないものになってしまう。しかも指定された中でしか選ぶことができないため、高額になりがち。
結果的に・・・
「結婚式ってどれも同じ感じで、高いよね〜」
・・・と結婚式がテンプレート化しているように見えるだろう。
新型コロナウィルスの感染拡大から、当たり前だった通勤や通学、出張など、日本全体が日常を考え直す機会になり、「新しい生活様式」としてオフィスを持たない会社、テレワーク、オンライン会議・授業など、時間とお金を有効に活用しながら成り立つ社会へと変わろうとしている。
結婚式においても、テレビやネットニュースで取り上げられているように延期や中止による多額の違約金発生などが更にブライダル業界への不審感と不安となり、結婚式の開催自体が「誰のためで何のために行うのか」と考え直す方も多くなったようだ。
こんな時だからこそ、
「結婚情報誌に掲載されている会場以外の場所でも行えること」
「出席経験した結婚式だけが結婚式のスタイルでははないこと」
「ひと組ひと組に違う結婚式のストーリーがあり、それは具現化できること」
これらの事をこれから結婚式を検討するカップルに知ってもらい、プランナーもカップルの期待に応えられるよう真摯に向かい合う事で「二人らしいオンリーワンの結婚式」が必ず実現できる。そうしなければ、結婚式を挙げたい人ですら結婚式を行わなくなってしまう。
そのためには、結婚式を提供する側が、時代とゲストのにニーズに合った内容やアイテムを提供できるように大きく変わらなければならないと強く感じる。
では__________、
「時代に合った結婚式」とは?
次回以降に僕が思う時代とゲストのニーズに合った結婚式という考えを 少しづつ書いていこうと思います。
石川県金沢市にある「ウェディング専門サロン・ベージュ金沢」でウェディングプロデュースを担当。石川・富山・福井で結婚式を迎えるカップルには「もっと自由でふたりらしい結婚式を叶えられるように」、北陸でブライダル関連のサービスを提供するフリーのクリエイターとは「Wedding Closet」によるエンドユーザーへの発信を行い、北陸の結婚式のクオリティとセンスと自由度が上がる事を目指しています。