「ミステリー」ショート動画殺人事件
2023年の日本。人々は、ある恐ろしいショート動画の存在に怯えていた。 その動画を見てしまうと、なぜか人を殺したくなってしまうというのだ。一部の人々は、その忌まわしい力に取り憑かれ、無意識のうちに凶行に及んでしまっている。 被害は拡大の一途をたどり、警察も手を焼いていた。犯罪の背後にはどのような理由があるのか、いったい誰がこれを作り出したのか。それはまさに未解決のミステリーと化していた。 ある日、駅のホームで、さえない36歳の無職男性・田中健太は、偶然にもショート動画の作者の逮捕の懸賞金に500万円という驚きの金額がかけられていることを知った。 健太はこれまで一度も注目されることのなかった自分に、まさかのチャンスが訪れたことに胸を高鳴らせた。彼は懸賞金を手に入れるため、独自の捜査に乗り出すことを決意した。 まず、健太は動画が最初に拡散された場所である公園に足を運んだ。公園は人々の笑い声や楽しそうな会話が絶え間なく響いていたが、その陰には何か不穏なものを感じる。 健太は一人一人の顔を見渡し、その表情や様子に注目した。しかし、誰もが普通の人間に見える。彼らの中に、凶行に走る“魔の手”を持つ者がいるとは思えない。 次に、健太はショート動画を拡散させているウェブサイトを探し出した。そこには様々な動画がアップロードされており、閲覧数も多く、コメント欄は炎上状態だった。 健太はコメント欄をくまなく読み進めていく。しかし、コメントは単なる侮辱や挑発ばかりで、真相に繋がるような手がかりは見つからない。 捜査の行き詰まりを感じながらも、健太は諦めずに次なる手がかりを探し続けた。彼は被害者の家族や友人たちと接触し、彼らの思いや苦しみを聞き出すことに成功した。 被害者たちは、元々は温和で仲の良い家族や友人関係だったという。しかし、ある日を境に、彼らの間には不穏な空気が流れるようになったのだ。 健太は被害者たちの心情を思いながら、さらなる手がかりを探し続けた。彼は被害者たちが共通して利用していたSNSのアカウントを調査し始めた。 アカウントを辿るうちに、健太はある特定のユーザーに辿り着いた。そのユーザーはショート動画を拡散させていたウェブサイトでも活発な活動をしており、コメント欄でも大きな存在感を放っていた。 健太はそのユーザーを特定するため、彼の投稿やコメントを徹底的に分析した。すると、彼の投稿には特定のキーワードが隠されていることに気づいた。 そのキーワードは、被害者たちが共通して訪れていた場所や、彼らの思い出に関連するものだった。健太はこのキーワードを頼りに、ユーザーの正体を特定しようと試みた。 そして、ついに健太はユーザーの正体を突き止めることに成功した。それは、ある公園で出会った人物だった。 彼は笑顔で健太に近づいてきた。しかし、その笑顔には何か異様な光が宿っていた。健太は彼の目を見つめ、その目には狂気の光が宿っていることに気づいた。 「お前がショート動画の作者だな」と健太が問い詰めると、彼はにやりと笑った。 「そうだ。お前も見たか? その快感、たまらなくないか?」 健太は言葉を詰まらせながら、彼の手に握られたスマートフォンの画面を見つめた。 彼はショート動画を再生し、恐ろしい力に取り憑かれた瞳で健太を見つめた。 「お前もやってみるか? この快楽を味わってみたくはないか?」 健太は戦慄しながら、身体中に疾走する衝動に抗うように叫んだ。 「やめろ! お前の狂気を止めてやる!」 そして、健太は自分自身を奮い立たせ、ショート動画の作者に立ち向かう覚悟を決めたのだった。
つづく
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