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このとりとめのない世界で、いち家庭教師が思うこと  〜試行錯誤が未来を創る〜

この夏を通して少しずつ日常が戻ってきたような気がします。
移動中の電車の車内は、人が増えてきたように思います。
車で移動する際も、レジャーを楽しむ人を見かける機会が増えました。
今までとの違いは、街往く人々がみんなマスクをして歩いているという光景でしょうか。


大きなイベントは軒並み、中止または延期になっていますが、街から人がいなくなったわけではありません。
少しずつではありますが、こうした日常が戻ってきた背景には、沢山の人達の様々な試みがあったからだと思います。
営業を自粛した飲食店や販売店、サービス業も営業方法を工夫しながら、試行錯誤を繰り返してきました。
現時点では、感染症拡大にどれ程の効果があったかは知ることは出来ませんが、試行錯誤を繰り返すことで(今も沢山の人達が試行錯誤を繰り返しています)、人々の動きが少しずつ活発になっていることは間違いありません。

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この十数年、子供達の勉強を見ながら思うことは、学校の勉強や受験勉強はこの試行錯誤する体力を養うトレーニングにうってつけだということです。


家庭教師の依頼を受ける時、私の場合は勉強の習慣が付いていない生徒を受け持つ事がほとんどです。
勉強の習慣がないからと言って、勉強を心の底から嫌がっている子はひとりもいません。
「勉強きら~い」と言っている子も、今まで出来なかった事が出来ると、ものすごく嬉しそうな顔をします。そして、「本当は勉強出来るに越したことないけど、わからない事が出てくると嫌いになる」と細かい分析が出来るようになります。
そういう時先生は「そうだろ、そうだろう、しめしめ、これで勉強を教えるのが少し楽になる」などとイヤらしいことを考えるのですが、そうは簡単に物事は進んで行きません。


せっかく、解き方がわかった問題が、次回の授業まで練習をしないことが原因ですっかり解けなくなってしまうこともよくあることなのです。
そこからは、生徒と一緒に試行錯誤の繰り返しが始まります。


どうやったら、解き方を忘れずにいられるか?
→忘れないうちに練習をする→練習をするのを忘れてしまう→どうやったら練習するのを忘れないようにするか?→①毎日やることとセットにする②練習をして出来るようになった自分をイメージしてワクワクする時間を作る③家族の人に協力してもらう④出来なかった時の罰を考える⑤出来た時のご褒美を考える…
などなど、
生徒と一緒に考えて、上手くいった、いかなかったを繰り返していきます。
十人いたら十人モチベーションスイッチの場所やシステムが違うので、生徒と一緒に考えるしかないんです。
成績が上がる上がらないは別として、これを繰り返した生徒は、生活面でも様々な工夫をするようになります。


私はこれが勉強をすることの醍醐味だと思います。知識を増やしたり、煩雑な問題を論理的に整理して行く能力を養うのもとても大事なことですが、見通しが立たない問題に対して試行錯誤を繰り返しながら考えて行く能力を養えるということです。
今回の感染症もそうですし、自然災害も見通しが立たない問題を多く生み出します。
そこから希望ある未来に向かって行くには、試行錯誤を繰り返した経験がその人を応援してくれるのではないでしょうか。


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↑ 2019年長野の台風の被害に対して、ボランティアと住民と業者が一緒になって家屋の復旧について試行錯誤を繰り返した


この試行錯誤も、やみくもに繰り返すよりも自分で考えて自分で行動するということをしていくとより大きな効果が得られます。
いわゆる「自律」ですね。


他人に言われた事を試した場合、失敗してもその人のせいにしてしまいがちなので、分析力が養われません。失敗は失敗でしかなくなってしまいます。
自分自身で考えて行動した場合、失敗しても何が良くなかったかが、分析しやすくなります。
人間は身体も心も痛いのを嫌がりますから、どうしたら上手くいくかを、身体と心で考えます。
そのうち一見失敗に思えることも、実は失敗ではないのかもしれないとも思うようになります。
「失敗したらどうしよう?」よりも、「どうしたら上手くいくのか?」だけを考えるようになります。だから、試行錯誤を繰り返す事が出来るのです。
数々の発明家や、ノーベル賞を授賞した科学者達からこのような発言はよく出てきますよね。


4月頃に放送されたあるテレビ番組で、あるミュージシャンがこんな事を言ってました。
「先の見えない状況で、みなさん辛いとは思いますが、今は、不要不急の外出は控えましょう。国によっては、法律で外出を禁じている国もあります。でも、それは見方によっては自由を奪われてしまったとも言えます。私たちは、未来の自由を手に入れるために、今、我慢をしましょう。自分達の意思によって、感染拡大を阻止したのであれば、自分達の行動によって得られた結果なので、自由を手に入れたことになるんです」
みんながそれぞれ、協調性のある自律をし、常に未来の自由を感じていたいものです。


小林 克司

生まれも育ちも平塚市。
湘南と言われたり、言われなかったりの地域で過ごしたせいか、肩書きというものにあまり意味を感じなくなる。
サラリーマンを経て、海外放浪の後、学生時代ずっと苦手だった英語をいかした仕事に挑戦。
5年間海外引越の通訳を勤めた後、ひょんな事から教育関係の仕事に従事。
2009年より家庭教師として学習支援をする傍ら、不登校の高校生のサポート校に携わるようになる。
そんな中、2011年の東日本大震災が起こる。
現実を確かめるために、宮城県へ向かい災害ボランティアを始める。
仕事の合間をみて、現在も宮城県で定期的にボランティア活動を行う。
2012年、仮設住宅などの集会所で音楽が人を繋ぐツールになることを現地の方々に教えられ、14年振りに音楽活動を再開する。
その後、東京でも定期的に音楽イベントなどを開き、東北、関東で音楽活動を続けている。
現在は、家庭教師、数学講師、ギター弾き語りのライブ活動、市民活動支援、を行いながら出来る範囲内で災害ボランティア活動も続けている。

現在、鵠沼海岸にて有志と共に「くげぬま学びラボ」を開校。「塾長」として精力的に活動中。


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