''気づきがあったその先に…" 学びを考える子育て時間 〜鼻を鍛える〜
アロマから考える子育て
子育てをしていると「五感を育てよう」という言葉を聞く機会が幾度となくあります。
絵本も、はっきりした色(視覚)で音が出たり(聴覚)触って楽しめる(触覚)などがあり感覚を養うことができます。
嗅覚はどうでしょうか?
初めての食べ物を出した時、クンクン匂いを嗅ぐ子供。
「そんなことしてイヤね、変なもの出してないわよ!」と親は思いますが、
これは、食べても大丈夫なものか判断するとても原始的で本能的な反応ではないでしょうか。
五感の中でも、中継点を通過してから大脳新皮質に伝わる他の感覚と違い、嗅覚だけは「古い脳」と呼ばれる大脳辺縁系に直接伝わります。
これは腐敗や火事、敵の匂いなど危険を察知したり命に直結する情報が含まれるのでダイレクトにいち早く脳に伝わるのです。
4足歩行だった時代から進化し2足歩行になるにつれ、鼻で匂いを嗅ぐという行為が劇的に減ったという話も聞いたことがあります。
退化しつつある嗅覚を、敏感なものにするにはやはり子供の頃から
匂いを感じる習慣をつけておくのがいいな・・・
アロマを学んでから特にそう感じるようになり
子供達へ事あるごとに「どんなにおい?」という声かけをしています。
「同じミントでもパイナップルミントやアップルミントなんてのもあるんだって、匂い違う??」と比べてみたり。
子供はまだ語彙が多くないので
「臭い」か「いい匂い」の2択で表現しがちですが
そこから「ちょっと甘いパンケーキみたい!」とか、「お花の匂いみたい」とか
少しずつ表現を増やしていくことができます。
嗅覚を感じる脳のそばには、人の感情を司る場所(扁桃体)、また自律神経やホルモンに関わる場所(視床下部)があり、香りの刺激はこれらに働きかけるという仕組みがあります。
これを利用しているのがアロマテラピーということになりますが、
わざわざ「アロマ」と思わなくても、
家の周りに生えている草や空気、美味しいお料理など身の回りに「香り」は溢れています。
それらを都度、親子で共有することは感情を豊かにし、生活を豊かにすることにつながると思います。
その中には「ん?ガス臭い!」とか「あ!焦げちゃった!」などの匂いも教えていくと「これはまずいぞ!」という生きるための学びにもなります。
そして、嗅覚のもうひとつすごいところは、一瞬にして記憶や感情と結び付くところ。
畳の匂いを嗅ぐと、「あ、おばあちゃんの家こんなだったな〜」と情景をありありと思い起こさせてくれたり、、、
小さい時に嗅いだ香りは長い時を経ても、その人の根底にあり続ける、と思うとなんだか未来に思いを馳せてしまいます。
どんな匂いを覚えていてくれるだろうか、想像するとちょっとドキドキしますが、
いい匂いも嫌な匂いも香りの体験を積み重ねていくことが、子供の生活の幅を広げてくれると信じて、これからもクンクン親子で鼻を動かして過ごそうと思います。
ライター:Tommy
教育学専攻、社会教育主事任用資格を取得。
JAA認定アロマコーディネーター
企業の研修担当、公民館職員等を経て現在は2人の育児中。何らかの形でずっと「教育」と関わっている。
自分や家族、地域の「学びたい」気持ちを大切に、実現できる環境を整えていくために試行錯誤中。