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夕陽に答えは書いてない。

あれは二週間ほど前の火曜か水曜の午後だった。学生が一人、事務室にやってきた。学生が来ること自体は珍しくないが二時ごろ、チームの半分はまだ昼休憩から戻っていない静かな時間だ。

「退学届けください。」

静かにその子は言った。

「え?」 

退学届けってそんな簡単に窓口でもらうものだっけ?少なくとも私には大学を退学するなんて人生の一大事に思えた。 キムタクばりにあの一言が頭をよぎる。 ちょ、まてよ。

結論からいうと彼女は先週末で退学していった。理由は教えてくれたけど、ほんとのところは誰にもわからない。彼女は長い時間考えてはいたけど誰にも相談はしなかったという。これを見方が狭いとか、年上にアドバイスもらうべきという人もいるかと思う。実際、学内ではそういう意見が多かった。

実は私も先週いっぱい使って考え事をしていた。人にも意見を聞いたし、何かの歌詞のように夕陽も見に行ってみたけど、答えは出なくて結局心の中で多数決みたいな結果の出し方だったと思う。

彼女の退学のタイミングには間に合わなかったけど、もう一度会えたら自分の決断でいいんだって伝えたい。責任取るのは自分だし、選んだあとはそれが正解になるように頑張るしかないから。

だって夕陽に答えは書いてないんだもん。


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