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hokeniin_39
【ショートショート】秋の空時計#毎週ショートショートnote
彼は今日もそこにいた。
駅前の公園にある大きな時計の下。時計を囲う花壇のレンガの上。
赤茶色のタータンチェックのスーツにボーラーハットを被り、ヴァイオリンを弾いていた。
僕は学校からの帰り道、彼の前で立ち止まる。哀愁のある曲の後、田舎踊りのような速い音楽を奏でる。
時々ふと時計を見あげる人はいるが、僕以外の人は誰も立ち止まらない。足早に、逃げるように家路につく。
空が紅くなると、彼はふと演奏を止めた。
「さあ、君は帰る時間だ」
夕陽色の瞳が僕を見つめる。
「まだ夜じゃない」
時計の針はまだ夕方を示している。
「この時計は人間の時間を測っているだけだ。私の影が君に届く前に帰りなさい。逢魔時が来る前に」
足下を見ると、彼の影は日時計のようにまっすぐに伸びている。その影がゆっくりと僕の靴へと近づいてくる。
「さあ、帰りなさい。君はこちらに来てはいけない」
逆光で黒い影となった彼の瞳が太陽よりも紅く輝く。
(410字)
たらはかに(田原にか)様のいつもの企画への参加です。
今回のテーマは「秋の空」「時計」。
実に一か月以上ぶりの参加でして、410字の書き方に戸惑いまくっております。
どうだっけ、どうやって書くんだっけ? と必死に記憶をたどっていましたが、もともとどうやって書くのか分からないまま書いていたことを思い出しまして、じゃあいいやこんな感じで、というクオリティです。はい。すみません。がんばります。
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