【ショートショート】ジュリエット釣り#毎週ショートショートnote

　昔々、あるところに露美男という名の心優しい漁師が住んでいました。

　ある日、浜辺で子どもたちにいじめられている亀に出会います。大人が甲羅に乗れそうなほど大きな亀です。

　かわいそうに思った露美男は亀を助けてやりました。亀を海に放すと、亀が沈んだあたりが泡立ち、女神様が現れます。

「あなたが落としたのは亀ですか？それとも延々と塩を出し続ける石臼ですか？」

　女神様は右手に亀、左手には自動で回る石臼を持っています。

　大人一人が乗れそうな大きな亀と屈強な男性でも片手では持てない石臼を軽々と持ち上げる女神様に、露美男は一目で恋に落ちました。

「貴女は大切なものを奪っていきました。私の心ですよ」

　女神様は満足そうにうなずきます。

「正直者にはこの身を捧げましょう」

「そうして出会ったのがバアさんじゃ」

　嬉しそうに語るおじいちゃんに相槌を打ちながら、ため息をつく。

　亀で寿梨ばあちゃんを釣った話じゃなくて、「海老で鯛を釣る」の意味を訊きたかったのに。

（４１０字）

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前回に引き続き、たらはかに（田原にか）様の企画に乗っかっています。

今回のテーマは「ジュリエット」「釣り」。

釣りと言えば浦島太郎、と思い書き始めましたが、途中で何の話をしてるかわからなくなりました。