【ショートショート】だんだん高くなるドライブ#毎週ショートショートnote

　モーターショーの抽選で、特等の試乗チケットが当たった。憧れのスーパーカーだ。

　試乗日。指定された場所へ行く。ソワソワして待っていたらハスキーなエンジン音を上げながらやってきた。ランボルギーニ、青のウラカン。

　目の前まで運転してきた男性が、運転の仕方を教えてくれる。はやる気持ちを押さえながら、座席に身を沈めた。

　僕はハンドルを握り、アクセルを踏む。あの素晴らしい音を響かせぐんぐんとスピードが上がる。

　100km/h。

　150km/h。

　200km/h。

　未体験のスピード感に恐怖よりもワクワクが勝る。速度は上がり続け、なだらかな山をまっすぐに上がる。

　やがて300km/hで到達した山頂で僕はウイングを伸ばす。

　空へ進むと、カモメを追い越し、雲の中へ。氷の粒が窓ガラスに当たるがやがて雲の層を抜ける。

　スピードが落ちてきたところで、もうひとつのボタンを押しジェット噴射へ切り替え、成層圏を抜けた。

　暗い宇宙で月を追い越し、太陽系をまっすぐに外へ向かって突き進む。

（４０７字）

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前回に引き続き、たらはかに（田原にか）様の企画に乗っかっています。
（ファーストクラスには乗りそびれました……残念）

今回のテーマは「だんだん高くなる」「ドライブ」。
裏というか表というか追加お題が「星屑ドライブ」。

ちなみに幼い頃、スーパーカーというのは、いざというとき合体して怪獣と戦うやつだと思っていました。