【ショートショート】乾燥ブンブン部#毎週ショートショートnote
釣り部は部員数6名の不定期開催だ。だが悪天候の日は、部室の人口密度が高い。主に文化部男子。主に陰キャ。
僕は朝の天気予報を思い出し、部屋の隅に置いていた機械を引っ張り出す。
「お、山上、さすがわかってるねー」
勝手に入ってきた将棋部の木本が話しかけてくる。見ると、坂上も井上も相田もいる。
やがて、パタパタと廊下を走る足音が近づき、大きな音を立てて部室の戸が開く。
「山上くん! ごめん。また貸してもらえる?」
野球部のマドンナ橘さんが洗濯カゴを抱えて飛び込んでくる。
「そうかなと思って準備してた」
俺は爽やかな笑顔を浮かべ、回転式干物製造機をポンと叩く。
「ありがとー。ほんと、助かる」
彼女はほっとした顔で俺に笑顔を向ける。最高にかわいい。
洗濯物を干し終わると、後で取りに来ると言い残して帰っていった。
その一部始終を部屋の隅でカードゲームをしながら見ていた奴らに話しかける。
「いい加減帰れよ。ここ釣り部だぞ」
「いや、乾燥ブンブン部だろ」
(410字)
前回に引き続き、たらはかに(田原にか)様の企画に乗っかっています、のパート2。
今回のテーマは「感想文」「部」ですが、裏テーマは「乾燥ブンブン部」です。
乾燥ブンブンで思いつくのはイカ干しマシーンしかなかったので、こんな話に……。
あ、イカ干しマシーンとはグルグル回転する↓のことです。
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