【ショートショート】行列のできるリモコン#毎週ショートショートnote
「ありがとー! これで絶対うまくいくわ」
クラスのアイドルのミキが、うるんだ瞳でとびきりの笑顔を見せる。
「うまくいくと良いね、告白」
私は、嬉しそうにDear Yuto, From Mikiの文字をなぞる彼女に微笑んでみせる。
私の家は洋菓子屋だ。この高校で私より上手にチョコレートを作る女子はいない。
「あ、私がキイちゃんと一緒に作ったってことにするから、口裏合わせてね」
アイドルはウインクをして駆け足で去って行った。
裏サイトで知ったリモコンの取引場所は、着いた時には行列ができていた。周囲に身バレしないよう、誰もが顔を隠して並ぶ光景は異様だが、品物も予想以上に小さかった。ビタミン剤みたいなカプセルとスマホみたいなリモコン。
カプセルを体内に摂取すると、中の物がやがて脳へ侵入し、二十四時間後にはその人物の思考を操れるようになるらしい。
怪しい話だが、試してみる価値はある。
放課後、人気のない校舎裏でミキがユウトにチョコレートを差し出すのを、私はそっと見守った。
(410字)
たらはかに(田原にか)様のいつもの企画への参加です。
今回は【行列のできるリモコン】のお題で、【青春の香る】ショートショート。
最近フィクション書いてなーい! というフラストレーションから珍しく日曜日に書いてしまった。
青春の香りといえばバレンタイン。ってことで #バレチョコ小説 をプラスです。でも絶対主催者さんの望む展開じゃないよねぇ……誰か受け取る小説を書いてください。青春っぽい方向で🐤
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