【ショートショート】アメリカ製保健室#毎週ショートショートnote
絶対、昼に食べたマックアンドチーズのせいだ。ジェイクとロニーが俺を見ながらニヤニヤしていたのは気になっていた。きっと目を離したすきに下剤を入れたに違いない。ジェシーに保健室の場所を尋ねると、俺は下腹を抑えて壁を伝いながら歩き出す。
保健室まではいくつもの扉と指示がある。
「ここで身なりを整えなさい」
それどころじゃないがポマードを塗った。
「ここでガムを捨てなさい」
書き置きのある机の裏に、ガムをくっつけた。
「ここで危険物を置きなさい」
護身用のサバイバルナイフとジェイクの彼女の浮気写真をボックスにしまった。
「ここで着替えなさい」
GAPの上下のスウェットになった。
「ここで体中にクリームを塗りなさい」
ピーナッツクリームを体に塗った。
やっと保健室だ。
扉を開けると、YouTubeを見ていた女性が、あからさまに嫌そうな顔を向ける。
「ずっと腹が痛いんだ。下痢が止まらなくて」
女性は机の上の時計の長針をぐるりと回して見せる。
「今日の業務時間は終わり」
(410字)
たらはかに(田原にか)様のいつもの企画への参加です。
今回は「アメリカ製保健室」というお題で、【どんでん返し】なショートショート。3年目はこんなハイレベルなお題で行くのでしょうか。
ショートショートですから「どんでん返し」が書けないと、たらは道場への扉は開かないのでしょう。でもいつになっても書けません。「でんぐり返し」だってできないのです。「どんでん返し」なんて夢のまた夢。
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