【ショートショート】サラダバス#毎週ショートショートnote
朝の通勤。
代り映えの無い顔ぶれにため息をつき、イヤホンの音量を上げる。
「あ、有働さんおはようございます。今日も爽やかな白いシャツがお似合いですね。あれれ、聞こえてますかー、有働さーん、また塩対応ならぬ酢対応ですかー?」
聞こえないふりをしたまま座席に座ると、わざわざ横の席へ移動し顔を覗き込んでくる。俺は睨み返し低く呟く。
「うるせぇぞ、那須。刻んで海に浮かべてやろうか」
「あははー。塩水はヤですねー」
突然サイレンみたいな泣き声が大音量で響く。武さんとこの子供だ。天才らしく開発チームの一員として特別枠待遇されている。武さんが周囲に謝りながら子供をあやす。泣き止まないうちに職場に着いた。
俺より先に、金髪に染めた赤いワンピースの女、福来が席を立つ。
「ほんと煩い。あの子いつかヌカ床に沈めてやる」
ドレッシング会社のバス停で、福来、有働、那須、武の子の順に降りていく。
アクの強い、食えない人たちだなと、運転手の佐藤は頭を掻いた。
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前回に引き続き、たらはかに(田原にか)様の企画に乗っかっています。
今回のテーマは「サラダ」「バス」。
サラダになりにくい、ちょっと面倒な方々にご出演いただきました。
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