学生が勉強会を始めた
I’m a man of my word.
有言実行の男です。
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ある学生からオンライン勉強会に誘われたので参加した。テーマを設定し、海外の資料なども見ながら考えて、気軽に意見交換するという会である。主催者の学生本人が朝早く起きられるようになりたいということで、月曜の朝6:30開始らしい。早いなあ。学会や締切や校務やアウトリーチ系の仕事がない日曜日は深酒するとスケジュール帳に書いているので、「月曜日の早朝」と聞くと条件反射で「人類は火星を目指す」と言われるのと同じくらいのハードルを感じてしまう。奇しくも当日のテーマは宇宙ビジネスについてだった。
僕の授業を真面目に履修している優秀な学生から誘われたので「行けたら行く」ということにしておいた。僕の「行けたら行く」は行かないことをオブラートに包んだ言葉ではなく、本当に行けたら行くという意味である。誓って本当にそうなのだ。かくして当日、二日酔いの体にムチを打ち濃いめのコーヒーを淹れ、眠い目を擦りながら、これは自らの選択だと自分に言い聞かせパソコンの前に座った。
朝早いのに東京の大学生も含め、そこそこの人数が集まっていた。「こんなに勉強熱心な学生たちが、いる所にはいるもんなんだな」と思った。僕が勤務する大学は学生の学力や学習意欲の低下が問題視されるようになってからそれなりの時間が経過しているが、このように早朝から自ら学ぼうとしている子たちがいる。大変良い。僕のゼミ生も参加していた。えらいえらい。
コメントを求められたので、昔イーロン・マスクがロケット事業のためロシアからミサイルを買おうとしたが高すぎて断念したこと、民間企業が改良を進めている宇宙服の話、月の土地を(勝手に)販売している会社があること、日本の宇宙開発・ロケット開発の父こと糸川英夫さんが少ない予算の中で開発したペンシルロケットの話、彼が60歳を過ぎてバレエを始め工夫しながら体の柔軟性を改善した話、北海道に植松電機という会社があり世界でも珍しい無重力実験装置があること(それまで未経験だった人たちがなんと自前で作ったという)などを長々と話してしまった。無関係な話が長くなるのは大学教員の職業病である。
勉強会が終わって、わざわざコンタクトをとって来た学生もいた。この時代にもこういう熱量のある子たちがいることを知れて、前向きになれた日。