How to Santa
近所にあるドラッグストアがクリスマス風になっている。具体的には中年銀行員のような外見の店員が一名、サンタの帽子をかぶっている。サンタはこの亀井(仮名)さんだけで、あとの人たちは普通の格好だ。
会社の方針で一人だけ、サンタの帽子をかぶって仕事をさせられている亀井(仮名)さん。多分「自分がサンタやります」と立候補していない。なぜならば、全然似合っていないからである。彼はそれを誰よりも自覚している。よく見なくても諦観が漂っているからだ。きっと気持ちが納得していないのだろう。おそらく、クジ引きかジャンケンで決まったか、または軽めの不祥事を起こした処分としてこうなったものと思われる。
でも亀井(仮名)さんは愚痴ひとつこぼさず、帽子なんぞかぶっていないかのように、若干お疲れ気味の表情で黙々と仕事をする。日本の企業人として、きちんとサンタしている。僕はそんな彼を見て、「亀井(仮名)さん大したもんやわ。日本のサンタはこうあるべきやわ」と思う。だから彼に敬意を表したくて、特に買う物もないのに、わざわざその店に赴くのである。
そのサンタ、侍につき。