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幽霊

人には人の「はなまるおばけ」がいるらしい。

私のもとにはまだ「はなまるおばけ」が訪れたことはない。
学業、アルバイト、就職活動・・・・・・
大学生特有のさまざまな場面でさまざまな困難が襲いかかってくるたびに、
こんな時にはなまるおばけがいてくれたらどうなっていただろうか
と思うことが多かった。
「就職活動 満員電車 君を苦しめるすべてを消し去って」くれるような存在が、私にはいなかった。

そんな中、はなまるおばけと写真を撮ることができるイベントが地元で開催されることを知った。そのはなまるおばけは、当然私のはなまるおばけではない。おそらく、知らない誰かの知らないはなまるおばけなのだろう。「まるまる」という名前がつけられている個体らしい。

見つけた途端、応募した。
「はなまるおばけと写真が、ツーショットが撮れるんか!!」と思ったことが、大きな理由だった。応募するために必要になるSanrio+会員のスマイル数が足りていたことも大きかった。

後日、当選の報せが届いた。
難関大に合格したような気分だった。
嬉しさで舞い上がりそうになったが、このままでは本番で死んでしまうのではないかと危惧してしまった。

来たる当日、サンリオショップで引換券を手に入れ、まるまるのいる撮影スペースへと向かった。このときは若干の緊張で「高揚して紅葉したお前のほっぺマジ太陽!!!!」といったような気持ちだった。
到着したときにはまるまるはまだいなかった。写真を撮るであろう場所にはレッドカーペットが敷かれ、「はなまるおばけ」と書かれた看板が掲げられ、全体的に黄色を基調とした装飾が施されていた。

はなまるおばけのまるまるで~す」

明るい声色で、司会のお姉さんが言った。それと同時に、白い大きな入道雲のようなものが二人くらいの人に囲まれてやって来た。
これがはなまるおばけだ。頭にはローマ字で「HANAMARUOBAKE」と書かれたカップケーキが乗せられ、グローバリズムに対応していた。

餅やん!!!!

出てきた瞬間、そう思った。
頭に生えた角のような耳のようなお団子のような器官が鏡餅のようにも見えるし、下のスカートのような部分が求肥のように見えた。和菓子のキャラクターかな?と思ったが、はなまるおばけだ。

はなまるおばけは夜な夜なみんなのもとに現れて、した行動に対して花丸をつけて帰って行く。目の前の彼も、花丸をつけてきた後なのか、この後につけるのかは不明だが、それを日課としているのだ。

そう思っていた中、自分の順番が来ていた。
お姉さんにスマホを預ける。
ついに撮れる・・・!

「じゃ、撮りま~す」

パシャ📸














はなまるおばけ(右)

初めて見たはなまるおばけは、カップケーキ部分を含めると私(183cm)とほぼ同じ大きさだった。デカくてかわいい・・・と、隣でひたすらに思っていた。

「お兄さん背高いから・・・」と言われて撮った一枚

マシュマロやん!!!!!!!!


1~2枚撮影すると聞いていたが、お姉さんはこの後も5~6枚ほど撮ってくれた。非常に満足した。

並んでいた人全員分の撮影が終わり、まるまるはバックヤードに帰って行く。多くの人がついて行き、つられるように自分もついて行った。
まるまるは扉が閉まる最後まで、我々に手を振っていた。サービス精神の塊のようなおばけだった。

撮影会が終わり、帰路で叫びそうになった。





















「初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!」


ボロボロのママチャリにふたり乗り
夕立を飛び越え街に出るのさ
悲しい時には涙をバケツに溜めて飲み干すから
だから全部許してね


この日をもって、私はこれからどんなことを言われたとしても「え?私はなまるおばけと写真撮ったことあるんですけどwww」で済ますことができるようになった。

後日、初めてサンリオピューロランドに行った際、はなまるおばけのぬいぐるみストラップを購入してしまった。
ぬいぐるみという形ではあるが、これからずっとはなまるおばけと一緒になれるということが嬉しかった。

新時代を担うサンリオの未来のスター

はなまるおばけがキャラクターとしてデビューを果たしたのは2023年。
令和よりも4歳年下だ。
新時代を担うサンリオの未来のスターと写真を撮れたというのは、非常に光栄な経験だった。

このnoteを読んでくれた方々のもとにもはなまるおばけが訪れることを願い、一旦やめさせて頂きます。

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