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同じ創作ネタは早い者勝ちか

ある日、かつて見た事の無い斬新な創作ネタを思い付いたとする。
しかしよほどの奇才でもない限り、似たようなと言うか、ほぼ同じネタを思い付いている人は絶対存在すると思う。

実際拙作「にろふぇん」も、後からたまたま見つけたのだが世界設定とある仕掛けが酷似しているインディーズ作品が、既に結末まで分かる状態で無料発表されていた。
幸い、似ているのはそこだけで根本は全く違っていたので良かったが。

意図的ではなく偶然似てしまったのではあるが、先発作を知る人からいつかパクり疑惑を掛けられるかも知れないし、ファンでも無いのにその作品の影響を受けていると思われるかも知れない。
それは個人的に大変非常に、解せぬ。
だから創作ネタは早い者勝ち。例え先にネタを思い付いていても、先に形にして発表した者勝ち。
そんな気がして来てしまう。

平成の頃、人間キャラで「最初ギャグ・途中から闇深」の創作漫画を描き、ジャンプルーキー・comico・マンガボックスインディーズ等に投稿していた。
1話30ページ前後で20話位描いた。執筆期間は3・4年位だったか。
しかしながら人間キャラ描くの疲れた&設定の甘さで矛盾が発生してしまい、途中で放り投げてしまった。
PCも長期間起動しなくなった。

ある日久々にPCを起動してメールチェックした所、ジャンプから1通のメールが届いていた。
当時ジャンプ+のトップページに、ルーキー枠としてプロ作品と一緒に一定期間ルーキー投稿作品が掲載される、と言うものがあったのだが、それに選ばれたとの事だった。
実際載っている現場は見られなかった。
何だか分からないが、ジャンプ的に好感触の作品だったようだ。
そのメールを見た後、あらゆる場所から全削除したが。

先日ふと思い出してタイトルを検索したら、読者の方が作ってくれた動画がYouTubeにまだあった。
そこで浮かんだ。
ジャンプの人に気に入られたと言う事は、内容をきちんと整備すればこのネタ、イケるのでは無いかと。
あれからかなり年月が経っているので、同じような作品が既に世に出てしまっているかも知れないが、将来的に再度出した際パクりとか言われるのは嫌なので、その漫画の内容を思い出せる限り以下に記しておく。
人間キャラ描くのは疲れるので、動物キャラ漫画になるだろうが。

ア●●●●●●ズ

タイトルは、「無意味」を意味する単語が元となっている。
主人公は「(人の)後ろにいる事が趣味」の、他人と関わる事が苦手過ぎる背後霊的少年。ほぼ無言。
そのクセ変な時だけ前に出て来て、ホラーな奇行に走る。
対人交流への苦手意識から、そんな趣味を自称して逃げ続けていたのだが、次第に仲間と打ち解け前に出て来るようになり、同じく対人交流が苦手で熱血脳筋キャラを演じ、周りに馬鹿にされて虚しさを感じていた少年と出会い、親友になる。
物語の舞台は、たった一つの巨大な街。街の外の世界は無い。
主人公と同じ仕事をしている人々は基本リーダー+新人少年少女2名のチームを組み、それぞれ一軒家で共同生活をしている。
街を突き刺す留め針のように巨大な塔が、街の中心部に建造されている。
主人公達はその塔の中で毎回一つの物語を提示され、物語の世界の中へと入り込む。
主人公達が物語の世界の中に入る理由は、トラブルによって物語の進行が止まり、完結できなくなった物語のトラブルを解決し、物語を決められたストーリー通りに完結させる仕事をしている為。
様々な童話風の物語が登場するが、物語の登場人物の中には自分の「役」やストーリー展開に不満がある者がおり、それが無意識にトラブルを誘発させ物語の進行を邪魔する、一つ目に涙を流した姿の影のような不気味な存在を生み出す。
その不気味な存在はトラブルを誘発させるだけで、すぐ姿を消してしまう。
トラブルを解決し物語を完結させないと、主人公達は決して元の街に帰れない。
毎回物語の中に、ここから先の展開の予言的台詞を吐く、正体不明の謎の残念イケメンが現れる。
トラブルの程度によっては、物語の世界の中で原作には無い強敵が出現したり、登場人物から恨みを買ったりして、死亡する事もある。
ハッピーエンドにバッドエンド、鬱エンド等々。
例えばストーリー上死亡する登場人物がそれを拒否しているトラブルの場合、主人公達がすべき事は――。
作中で一番酷い物語は、シリーズもの。
物語の内容は、生意気な少年が毎回不思議な世界に呼び出され冒険をし、元の世界に帰ると言うもの。
少年は早く完結させろよ、と威張り散らして主人公一行を煽って来る。
しかし、シリーズ最終巻の結末は、この生意気少年が元の世界に戻った所、そこはライオンの檻の中で、そのまま食い殺されてしまうと言うもの。
これまで強気だった少年は、主人公に初めて「死にたくない」「完結させないで」と助けを乞う。
主人公チームのリーダーは優しい性格で、主人公達に自分達の仕事の暗部(こう言う事もしなければならない)を必死に隠していた。
昔、仕事をためらって大怪我をし生死の境をさ迷った事があるが、「どMに目覚めてやりすぎた」と言う事にしている。
主人公の親友も反感を持っており仕事をためらってしまい、それを察したチームの冷酷リーダー(実は主人公チームのリーダーの元相棒)に無能とみなされ殺されてしまう。
主人公の追加仲間は、物語の世界から何故か付いてきてしまった作中の登場人物と思わせて、実は物語の世界の中で相棒を殺され、そのトラウマから仕事ができなくなり、物語の登場人物のフリをして匿われていた同業者。主人公達が物語を完結させたので、街に帰れただけ。
相棒への罪悪感をずっと持っており、罪滅ぼしとばかりに主人公達のピンチを救う代わりに、化物に滅多刺しにされて死ぬ。
主人公と同い年の同じチームの少女は、完結の為に大切な人が死んだ恨みから、完結後気が抜けている隙を突かれて矢で射られて死亡。
終盤では、殺された親友が半分異形化して物語のトラブル要因として再登場し、主人公に自分を殺させて物語を完結させる。
親友と仲間を失いつつ様々な物語を完結に導き続けながら、主人公はやがて重大な事に気付く。
それは、自分自身も誰かに創られた物語の登場人物だったと言う事。
その頃の主人公は完全に仕事に嫌気が差しており、最初は仕事をボイコットして抗おうとするが、死んだ親友と仲間を物語を一部書き換える事で復活させる提案を残念イケメン(作者側の存在だった)にされ、物語に従い続け仕事を続ける選択をする。
自分の意思で仕事を解決していたと思ったのに、実は作者によって筋書きが決められていたと言う、無意味。
おしまい。

この主人公達の仕事内容説明が上手く表現できず、「何をしているのか分からない」と言う感想を当時貰った。
もう一度出す時は、ここを分かりやすく簡潔に説明しないとならない。
もしもこの漫画を知っている人がいたら、「あー。こりゃーあれ描いてた人のだわー」と、にろふぇんを見て失笑されそうだ。

ボツ→リサイクル

もし、上記ネタをもう一度分かりやすく再構成して、長編にしたら……と考えたら、「物凄く描くのめんどくさそうだからボツ」と言う結論となった。
そこで、短い読み切りとしてリサイクルし、漫画賞に応募した。
結果、賞を貰えた。わぁい。
そう言えば昔、「リサイクルボックス」と言ういらない子供をリサイクルする施設設定を考えた事があった。

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異草べーた🍀可愛い闇深漫画
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