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ビール醸造工程(麦芽〜麦汁)
色々なサイトを手掛かりに、ビールを作る工程をまとめてみます。
それぞれの奥深さ(こうしたらこうなる、とか材料の違いはこうだ、等)はさておき、まずは工程とそれがビールの味わいのどこに寄与するのかまとめたいと思います。
と言いつつ、製造工程そのものについては、国税庁がまとめた製造工程図をそのまま添付します。
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2022/pdf/009.pdf
工程や原材料ごと詳述しますが、ビールを作るに最低限必要なことで言えば、
大麦を発芽させ、麦芽(モルト)を作る。これにより麦にあるデンプンを分解する成分アミラーゼが麦内に生成される。
麦芽を煮込んで(適正温度でアミラーゼを活性化させて)、麦にあるデンプンを糖分に分解する。
酵母を投入し、糖分をアルコールとガスに分解する。
です。ホップはどちらかというと副原料といってもいいような。。。
製麦・麦芽
麦芽とはモルトです。
下記の通り、麦に含まれるデンプンを分解して糖を作るために必要なアミラーゼを生成するために、麦から麦芽を作ります。
麦芽由来の成分が発酵により炭酸ガスとアルコール、そしてビールの香りや味の成分を形成し、ホップの成分はビールの苦味と香りを生み出すことで、ビール独特の味わいが誕生します。麦芽やホップの種類によってビールの味は大きく変わるので、原料選びはとても大切です。また、それ以外に米やコーン、スターチなどの副原料と呼ばれるものがあり、さまざまな副原料を加えることで、味をすっきりさせたり香味を調整し、ビールの味のバリエーションを拡げています。
サッポロビール おいしいビールの原料
副原料はさておき、ビールの味わいに対しては、特に味に影響するようです。
ビールの味とはビールの甘味とか・・・?
どうも調べてみると、甘みが強めのHazy IPAは小麦を使うこともあるようで
す。
たんぱく質の多い原料とポリフェノールの多い原料をミックスすると、濁りやすくなるとしました。
たんぱく質:小麦やオーツなど多い
ポリフェノール:ホップや穀皮など多い
小麦は穀皮をもたないので、小麦を大量に使用したビールはたんぱく質は多いのですが、ポリフェノールが少ないため逆にあまり濁らなくなります。ならばということで、ホップを大量に投入してやることでポリフェノール量は非常に増加し、結果として濁り成分となります。
そうして作られたのが、 NE IPA です。NE IPA は小麦やオーツを使用していることが多く、大量のドライホップによる香りも特徴の一つです。濁りというのは味わいを求めたうえで、くっついてきた特徴なんです。
【濁り】ヘイジーIPAはどうして濁るのか【解説&考察】
個人的にはHazy IPAのあのベタついた感じや甘いのが苦手なので大麦一択かな。
麦芽を作る工程は大変そうなので割愛します。
自分で作ると言うよりまずは買ってきたほうが早そう。。。
自家製麦芽を作っている人がいるみたいですが。
糖化
はじめに書いた通り、麦芽を適切な温度のお湯に入れることで、麦芽内のアミラーゼを活性化させ、麦芽内の澱粉を糖に分解します。
澱粉だけでなく、麦芽内に残るタンパク質もこの時にアミノ酸に分解するようです。
酵素の働きによって、糊化した麦芽のでんぷんを糖に変え(糖化)、タンパク質をペプチド(アミノ酸が複数つながったもの)とアミノ酸に分解します。分解されたペプチドはビールの泡をかたちづくる上で重要な役割を果たし、アミノ酸はビール醸造において酵母の栄養となり、酵母自体の増殖や香り成分の生成にも寄与します。
サッポロビール 美味しいビールができるまで
Hazy IPAだけかと上では思っていましたが、どうもどのビールにおいてもアミノ酸は重要な役割を果たしていそうです。
下記URLでタンパク質の分解(アミノ酸の生成)と糖化方法について言及していますがまずは概要をつかみたいので詳細は別記事で検討します。
さて、糖化は具体的には下記サブ工程から成ります。
効率的に糖化を進めるために、麦芽を粉砕
麦芽以外の穀物を投入したい場合はここで投入(お米とかとうもろこしとか)
45 deg.Cのお湯に投入に煮込む(糊化)
湯温を63 deg.Cにあげ、煮込む(糖化その1)
湯温を73 deg.Cにあげ、煮込む(糖化その2)
濾過・煮沸・ホップ投入!!!
遂にここまで来ました!
糖化を完了した糖化液をそのまま濾過します。
糖化を完了した糖化液をそのまま濾過し、第一麦汁を得ます。(特に冷やしたりせず)
濾過に使用したフィルタに残った固形物にお湯をかけて第二麦汁を得ます。
第一麦汁と第二麦汁を混合して煮沸釜に投入
煮沸釜にホップ投入!!!
60〜90分煮込む (https://craft-beer.life/dictionary/7381)
ホップを投入したすぎてすぐに書いてしまいましたが、それぞれポイントを拾ってくると、
濾過
エキス分をとるために、強制的なろ過を行うと脂質含量の多い濁りの成分が出てしまい、香味自体やその安定性、ビールの泡持ちなどに影響します。さらに、この後の発酵の進行にも影響を与えるので、出来るだけ透明な麦汁が得られるよう、無理矢理のろ過は避けなければなりません。
サッポロビール 美味しいビールができるまで
とあるので、もしHazyを作りたければ強制的な濾過をすれば良いのか?
そもそも強制的な濾過とは圧力をかけること・・・?
ホップ
ホップだけで記事を書こうと思いますが、まずそもそも苦味を添加するビタリングホップでは加熱されて苦味が抽出されるようです。
ホップには「ビタリングホップ」と「アロマホップ」に分けることが出来るとお話しましたが、煮沸工程ではこれらの使い分けも重要です。ビタリングホップはビールに苦味を付けることが主な目的になりますので、長い時間加熱したほうがより苦味が抽出されます。つまり苦味を「煮出す」わけですね。従ってビタリングホップは煮沸工程の初期段階に投入されます。
ビールについて学ぼう:第十二回 ~ホップの登場:煮沸工程~
ホップは苦味の成分と言われていますが、ホップを加えるだけでは苦味は生まれません。煮沸されることによって初めて苦味を呈していきます。ホップの中に存在するα酸と呼ばれるフムロンという化合物が煮沸されることによりイソフムロンに変換され、苦味を持つようになります。
サッポロビール 美味しいビールができるまで
従って、苦いビールを作りたいならこのタイミングでホップを投入となるようです。
アロマホップは煮沸の後半に入れたり、発酵後半に投入(ドライホッピング)するようです。というのも感覚的にもわかるように、煮込むと香り成分が揮発するからです。
煮沸
煮沸する目的は、先ほどホップから苦味を抽出する以外に
1. 麦汁を殺菌する。
2. 麦汁に残っている酵素を失活させる。
3. 凝固性のタンパク質を加熱により凝固させる。
4. 第二麦汁によって薄まった麦汁を濃縮し、濃度を調整する。
5. 好ましくない香りを揮発させる。
ビールについて学ぼう:第十二回 ~ホップの登場:煮沸工程~
だそうです。
次の記事ではきっとビールが出来上がるはず!!