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ビール醸造工程(発酵、瓶詰め)
前回までで熱々の煮沸された麦汁ができました。
再度国税庁がまとめた製造工程図をそのまま添付します。
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2022/pdf/009.pdf
残った工程は
冷却・酵母投入・主発酵
熟成(後発酵(2次発酵))
瓶詰め!!!(終わり)
です。ドライホッピングをする場合は#2のタイミングでホップを投入します。
例によってざっくりそれぞれが何なのか書いていきます。
主発酵
前の記事では煮沸されたばかりの麦汁ができました。
これを投入する酵母にとって適切な温度までまず冷却します。
酵母の役割は、
(1)麦汁に含まれる糖分を、アルコールと炭酸ガスに分解する
(2)発酵の副産物として「エステル」という揮発性の香り成分を生み出す
飲んでいて心地のいいアルコール感と、しゅわしゅわの炭酸ガスがついているのは、ひとえに酵母のおかげ。そして、ビールの香りを生み出しているのは、実はモルトとホップだけではない!ということですね。
ビールづくりでよく聞く「酵母」って何?
だそうです。
さて、ビールを飲むのが好きな人であれば絶対と言っていいほど知っているラガーとエールという種別があると思います。
これは酵母の種類によって分けられます。すなわち、
ラガー酵母(下面発酵酵母)
5~11℃でよく働きます。発酵期間はやや長め。
すっきり、ドライな味のビールをつくるのが得意です。
エール酵母(上面発酵酵母)
15~25℃でよく働きます。発酵期間は比較的短め。
風味豊か、香り高いビールをつくるのが得意です。
酵母の種類として発酵が進むに従い、麦汁の上面に滞留する性質がある酵母か、沈下する性質がある酵母かの違いです。
またここでは触れられていませんが、野生酵母というのもあるようです。要は空気中にいる酵母を使って発酵させる、というスタイルのようです。
酵母を投入するのだけなので工程としては特に何もないのですが、そもそもどれぐらいの量を入れるのが適切かというと、
これはブルワーによって考え方が結構異なるようです。イーストの量が少なすぎる場合には、発酵までに時間がかかるので汚染のリスクが高くなり、細胞分裂により生じるエステルやダイアセチルなどのオフフレーバーが多く発生したり、場合によっては発酵が止まってしまいます。逆に多すぎる場合には細胞分裂が少ないのでイーストフレーバーが強くなり、フルーティさがないサッパリした味になる傾向があります。
では適正な量はどれくらいなのでしょうか。様々な考え方があるなかで、ホームブルーイングとしておおむね適当と思われる量は、色々な情報を統合すると以下の数値となります。
【未開封の新鮮なイーストを使用する場合】
比重1.055の麦汁1ℓに必要なイースト細胞数=約5b
※(b=billion=10億)
※上記はエールの場合で、ラガーの場合には倍量のイーストが必要
【再利用イーストを使用する場合】
比重1.055の麦汁1ℓに必要なイースト細胞数=約10b
※上記はエールの場合で、ラガーの場合には倍量のイーストが必要
つまり、再利用イーストを使用するときは、未開封の新鮮なイーストを使用するときに比べ、倍量必要となります。また、未開封でも、新鮮なイーストと、使用推奨期限を過ぎたイーストでは必要な細胞数は異なり、再利用イーストでも、イースト洗浄の度合いによって変動します。
上記引用元でも紹介されていますが、下記サイトを使うと良いようです。
酵母投入後、酵母に適した温度で1週間ほど待ちます。
ただキリンビールは下記の通り酵母の様子で管理しているようです。
前発酵(主発酵)時は、発酵性糖分の約85%が発酵した時点で発酵が終了します。そして、出来た若ビールを貯酒(後発酵)タンクに送ります。この作業をビール下しと言います。この時、浮かんでいる酵母と沈んでいる酵母の割合が1対2程度になっているのが望ましく、浮かんでいる酵母が少ないと後発酵(熟成)の進み方に支障をきたし、逆に多いとビールのろ過が渋滞したり、香味に悪影響を及ぼします。
どうやって浮かんでいる酵母と沈んでいる酵母の割合を見極めるのか、そして恐らくこれはラガーのはず(多数酵母が沈んでいる)ですが、エールでも同じなのか?
熟成・後発酵(2次発酵)
一次発酵が完了したのち、別の熟成用の容器に移し替えます。
熟成、というのは麒麟麦酒が使っている用語ですが、人によっては2次発酵ともいうようです。
確かに下記引用(麒麟麦酒より)でも再び旺盛な後発酵を、とあります。
貯酒タンクに若ビールを移すことで、再び旺盛な後発酵を行います。これは発酵が緩慢になった若ビールを移し替えたことにより、沈降していた酵母が再びビール中に広がるためです。その後、0℃以下の低温で数十日間貯蔵します。後発酵をうまく進めるためには、若ビールの中に発酵性のエキスが残っていることと、適量の酵母が残っていることが何よりも必要です。熟成(後発酵)工程では発生する炭酸ガスを溶解させます。ビールの炭酸ガスの適正な含有量はかなり狭い範囲であるため、ガス圧調整器を付けて、過剰になったガスをタンクから逃がし、ガス圧を一定に保つようにしています。炭酸ガスの特性上低温であるほど含有するガスの量が増加してゆきます。炭酸ガスは、ビールに爽快な喉ごしを与えるという品質上の効果だけでなく、発酵工程や後発酵工程において液から泡として浮上し、気相へ出てゆく過程で未熟な臭いを揮散させるというはたらきがあります。
ここでもう一つ重要なのは、炭酸ガスの量を調整するところにあるようです。
実際ホームブルーイングキットを見ているとガスの量を調整できる弁をウリにした商品もあります。
熟成期間としては
上面発酵: 1 - 2週間 (https://craft-beer.life/dictionary/2874)
下面発酵: 1ヶ月 (https://www.sapporobeer.jp/company/quality/detail002.html)
のようです。
これでビールそのものは出来上がり!!!
ちなみにこの2次発酵工程をそもそも瓶内で行うこともあるようです。
確かに自家製造ではそれで経年的な楽しみ方をできるのでしょうが、品質面でどうなんだろう。。。
瓶詰め
酵母がいるので酵母を濾過して瓶詰めします。
酵母が残っているとさらに発酵が進んで味わいがイマイチになるようですが、むしろ酵母自体を楽しむ無濾過ビールがあります。
先にも書きましたが、個人的にはなんというか品質面でどうなんだろうという感じがしますが。。。
ただ個人レベルで楽しむ分には無濾過で良いのかな?と思いました。
瓶詰め工程は、ホームブルーイングキットを見るとペットボトルに突っ込んでるケースが多いのであまり深掘りせずに終わります。
ようやく飲める!!!
今後
本当はさっさとホームブルーイングキットでも買って作りながらまた色々詳細を書いていこうと思っていました。
が、欲しいホームブルーイングキットが$250で、かつ12月ごろに引っ越しすることを考えると今この投資をすべきではないと判断しました。
せっかく時間が空いたのでホームブルーイングキットを買うのではなく、ブルーイングギアーも調べてみようかなと思っています。(やらなさそう)