イーストスターター(培養)の作成方法
リキッドイーストを使用する際に用意する、イーストスターター(500ml)の作成方法です。19ℓの麦汁の発酵に必要なスターターの量は条件にもよりますが、経験上500mlあればほとんど問題ありません。ただし、再利用のイーストを使用する場合には、1Lのスターターを用意しましょう(分量は通常の2倍でOKです)。スターターは、仕込み日の2日前に用意しておきます。用意するものは以下の通り。
三角フラスコ(容量1,000ml程度)又はガラス瓶
手鍋(専用のものを用意したい)
アルミホイル
ドライモルトエクストラクト(DME):ライトタイプ
リキッドイースト(常温にしておきます)
消毒用アルコール、じょうご、キッチン用漂白剤
スターターで注意するのは、やはり汚染を防ぐ為に洗浄と除菌をしっかりすることです。イーストが汚染されてしまうと、ビールづくりが全て台無しになるので、少し神経をつかう作業となります。ただし、ポイントを押さえれば問題ありませんのでご安心を。
1.三角フラスコの洗浄と除菌
(A)適量で薄めたキッチン用漂白剤を満たし、水ですすぐ
(B)水を入れたフラスコを火にかけて煮沸消毒
どちらでも良いのですが、(B)だと突沸する恐れがあり危険ですし、洗浄と消毒が確実にできる(A)がお勧めです。ただし、(A)はしっかりと水ですすいだとしても、水に含まれる雑菌を取り除くことが出来ない為、しっかりと乾燥させてからアルコールなどで消毒するか、一旦沸騰させた水ですすぐ必要があります。
2.ドライモルトエクストラクト(DME)の煮沸
手鍋にDME60g(DMEはホームブルーイング専門店で購入できます)、水450mlを入れ、15分沸騰させます。吹きこぼれやすいので、火加減の調節に注意します。では、上記1のフラスコの消毒と2を一緒にできないのでしょうか。実はできるのですが、フラスコでDME を沸騰させると、どれだけ弱火でも吹きこぼれがひどいのです。このため別々にしているのですが、吹きこぼれを防ぐことができるのであれば、一緒にしてしまって問題ありませんし、効率的です。
3.DMEの冷却
洗浄・消毒したフラスコに、煮沸し終わったDMEを入れます。洗浄・消毒したじょうごを使うと便利です。熱いので火傷には十分注意します。さらに、アルコールなどで消毒したアルミホイルでフラスコの口を塞いだ後、水やアイスバスで常温になるまで冷却します。
4.リキッドイーストの投入
DMEが常温になったら、同じく常温にしておいたリキッドイーストを投入します。リキッドイーストは軽く振って混ぜておくと良いでしょう。リキッドイーストを投入したら、消毒したアルミホイルで口を塞ぎ、フラスコを回転させるように振って、DMEとイーストをよく混ぜます。また、リキッドイーストが入っていた容器の匂いを嗅いでおいてください。この匂いが汚染されていない状態のイーストの匂いです。スターターが成功していれば同じ匂いがしますが、もし汚染されていれば酸味がかった違う匂いがします。
5.常温保存と攪拌
イーストの活動には酸素と温度が重要です。温度は20度前後の温かい場所においておきます。真夏は涼しい倍所に、冬場は温かい部屋、電気マットなどを使用して温度が冷えすぎず、温かくなりすぎないように注意します。あとは、気がついたときには必ずフラスコを振って、よく攪拌してください。そのまま置いておいてもイーストは活動しますが、攪拌することでより培養が進みます。少し高価ですが、余裕があれば攪拌器を利用すると、より効果的です。
6.イーストスターターの状況確認
イーストが活動しているかどうかは、目視で確認できます。スターターを作成してから、12時間~16時間ほどすると、スターターが発酵を初めて泡が確認できるようになります。また、フラスコの口に耳をかざすと、イーストが活動している音も確認できます(シュワシュワ言います)。この時、イーストはDMEをアルコールと炭酸ガスを作り出しながら、増殖していきます。炭酸ガスは、アルミホイルを通して外に排出されますので、完全に封をしないようにしてください。
もし24時間たっても活動が確認できない場合には、使用したリキッドイーストが死滅していることを覚悟しましょう(寒いときにはもう少し発酵までに時間がかかります)。もし問題なくイーストの活動が確認できたら、次は汚染状況の確認です。リキッドイーストをフラスコに投入したときに、イースト容器の汚染されていないイーストの匂いを確認していたと思います。もしスターターの匂いが、汚染されていない状態の匂いと違う、酸味がかったような匂いがすれば、汚染が疑われます。エールイーストなのに、ベルギーイーストのような匂いがする場合には、ほぼ汚染されていると思って間違いありません。匂いでの判断は最初は分かりづらいのですが、何度かつくっているうちに分かるようになりますので、地道に嗅覚を磨いてください。
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