'97W杯予選ウズベキスタン戦の2点目

シンプルにKing Kazu、カズさんのゴールベストの1つが、1997年W杯フランス大会最終予選のウズベキスタン戦の、2ゴール目だ。

何故2ゴール目というかというと、なんとこの日は計4ゴールをあげていて、それぞれが意味のあるゴールだったからだ。

私は、意味合いよりも、「単純に見える2ゴール目」をミスせず決めたことが、ハットトリックにつながり、4点目につながり、強いてはチームの勢いを生んだと思っていてこのゴールがベストゴールの1つである理由だ。

積もり積もってそのことが、日本を初のワールドカップ出場へと導いたのだとさえ思っている。

また、同じみの引用になってしまうが、「サッカー人として」(日経新聞コラム)より 「上を向いて戦おう」 2007年10月19日(金)掲載

ボールのバウンドが少し変化するだけで、得点できるかどうかが変わることがある。「あのとき決めていれば」という一つの失敗が後々になって響き、ほんの少しのズレが大きな結果の違いにつながる。それがサッカー、それが人生だろう。家を出るのが1分遅れるだけで、渋滞に巻き込まれてしまうのと同じ。逆に小さなきっかけから、良い方に転がることもある。

このゴールはまさにそれだ。

左からのセンタリング、かつショートバウンド気味のボールを、
走りながらジャンプして、軸足の力の入らない左足で、
ゴールへ向かって方向とバランスを取り、右足でタイミングよく合わせる。

右足は振り抜くのではなく、タイミングを合わせて、ポールの勢いを受けながら、方向を変えて押し出すようなイメージだ。

こういったシーンでのお手本のようなゴール。

サッカー少年が、コーチから習う典型的な練習でのシュートであり、カズさんにして、何千回と打って来た型であろう。

ただ、だからこそ、ミスが許されないシチュエーションであり、また絶好のチャンスとなり、確実に入ることが求められるのだ。

つまり、裏を返すと、ここで外すと、ドンマイとみんなで声を掛けながら、プロスポーツ選手であれ、一瞬は落ち込み、気が緩み、ということが起きる。よくあるのはこの次のタームで速攻をしかけられ失点するというもの。

カズさんはそんな経験もあってか、コラムの中で書いたのだと思う。

華やかなゴールだけが、スーパーゴールなのではない、決めるべきところで、基本に忠実な、フォームで、ゴールを決める。

チームにもたらす、その後のリズム全てが、当時の日本代表の精神的支柱そのもののプレーだった。



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