秘めたプライド、折れない「こころ」
日の丸支えるプライド ~日経新聞 サッカー人として~
カズさんのコラムは話の展開がいくつも展開され、おもしろい。
特にこの回は秀逸だ。
タイトルから何某かの国の代表戦を想起させる。
冒頭は、ワークルドベースボールクラシックに際してのコメントだが、引き合いがいい。
プロ野球選手からドーハの頃、サッカーは日の丸を背をえてよかったといわれたという。
そして、つい最近まで同じように、いやそれ以上に第一線で活躍していたイチローさんへ向けたコメント。(しかも批判とも取れるが、それは違う。このコメントは、選手の言葉の裏側をつきつつ、表層を切り取ったメディアへの批判だ)
続いて、野球つながりでの原監督との遭遇。そしてその人柄が伝わるほほえましい、いわゆる長嶋さん的エピソードから、その人柄が、日本代表の雰囲気を作った一助だったとつながる。
韓国との熱戦は両国の心の距離を縮めた気がする。スポーツの力の前では、政治的な争いや思惑はくだらなく思える。
誰かが失敗したら誰かが助ける。子どもたちには最高のお手本だ。喜んでいる息子に言ったんだ。「勝つことよりも、あれだけの人たちが一生懸命に力を合わせて頑張った、そっちが大事なんだ。分かるか?」と。いずれ分かる日が来ると信じているよ。
そして、このように続く。現在の韓国との関係もまさに。
もちろん、言うべきことは言うことも対等な関係性の一つではあるが、それに一喜一憂以上に反応してしまっている両国の関係は、望ましいものではない。
こういうときこそ、スポーツの何か日韓(韓日)戦があって、スポーツマンシップに則った戦いと、サポーターの応援の熱戦で、清々しい気持ちににしてほしいものだ。
そして、最後にサッカー日本代表の直近の試合に触れ、そのサポーターにこう賛辞を贈る。
青一色で揺れるスタジアムにサポーターの誇りをみた。「応援で野球に負けない」という無言のメッセージ。今日まで日の丸がたどった悲劇と歓喜を見守り、支えてくれた人たちのプライド。僕はそれを感じた。そして、そうであってほしいと願った。
これは決して野球対サッカーの構図を作りたいわけでは毛頭なく、特に、今日まで日の丸がたどった悲劇と歓喜の部分に、カズさんのファン・サポーターへの思いを感じた。
カズさん自身の折れないこころ(魂)、不屈の精神はきっとこうしたプライドの上に成り立ったっているに違いない。それは自身だけではない、自身を通じて夢を投影していた、日本の多くのサッカーファンのプライドも含めてカズさんは背負っているのだと思う。