浅草橋の”いさり火”
最寄り駅の浅草橋を降り、ふらふらと裏路地に入る。
暗闇に浮かぶ滲んだ提灯たち、
そこは俺のオアシスかと思う。
入りたい店をいくつかピックアップし、
最後は高架下の店に行きついた。
青森の地酒があるそう。サバがマジでうまそう。
サバ食いてえ、たまらん。とりあえずビール!
迷いなく扉を開ける。
ビールが来た。サバの串焼きを頼んだ。
グイっといく。
疲れた体に沁みる喉越し!
一日の疲労を認識するやいなや、
同時に身体の奥から高揚が湧くのも感じる。
新しい会社に入社してわずか2週間。
出社したのは4-5回目。
少しずつオフィスの雰囲気に慣れてきた。
4-5回目で慣れるって、すごくね!
みんないい人。ほんとうにいい人たち。
よき感じで、ドライ。
仕事に一生懸命。
よーわからん社会の生き方とか、よーわからん人間関係とか、
無駄なことに使う頭を持ってない。
この会社に当たり前にあるこの環境が、尊い。
とても楽しい。
毎日ワカコ酒できるな。
ほんとうに、楽しい。
店は締めに入っている。
元気なバイトの雑談が断片的に耳に入る。
最後に、漬けを頼んだ。一緒に日本酒も!
陸奥八仙 いさり火
青森の人と思われるお兄さん。
グラスに溢れるまで注ぎながら、”いさり火”の説明をしてくれる。
ラベルの上面に水平面に並ぶ、大小の明かり。
”漁火”、イカなどの漁の際に魚を呼ぶために点ける明かりたち。
明かりを辿ってここまで来た、今の俺にピッタリだ。
うん、とてもいい。
漬けはとてもうまかった。
ショウガとニンニクが効いている。
青森はニンニクも有名なんかな?
奴にもニンニク入ってた。豆腐と相性良すぎた。酒とも。
店は本格的に締め作業だった。
「青森好きなの?」会計のお兄さん。
「サバに惹かれて来ました」
「日本酒美味しかったでしょう?」
「とても。次は違うの飲みに来ます。」
「是非ね!いっぱい種類あるから!」
とても美しい一日だった。
こんな日が、続くといいな。
一歩ずつ、嚙みしめて、味わって。
おわり
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