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マルエフのラベルに隠された7つの秘密

「おつかれ生です」のCMでおなじみの「通称マルエフ」正式名称は「アサヒ生ビール」。このビールのラベルに、マルエフの歴史が隠されています。その7つの秘密をお話したいと思います。

ビールスタンド重富マスター・麦酒伝道師の重富寛(ゆたか)

ビールスタンド重富は広島に2店舗あるビールスタンド(ビヤバー)です。詳しくは、最後にご紹介させていただきます。


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それでは「マルエフ」のラベルに隠された【7つの秘密】をお話します。

➊アサヒ生ビール


重富がビールスタンド重富(2店舗)で注いでいます「ビールの銘柄」は、
スーパードライではなく「アサヒ生ビール」です。

アサヒ生ビールが誕生したのが…

1900年。熱処理を施さない瓶詰生ビール「アサヒ生ビール」発売。

当時では珍しい熱処理を施さない製法は、高い技術力を示すもので、その味わいは高い評価を得ていました。それまでは、木樽に詰められたビールは「生ビール」瓶詰ビールは「加熱ビール」でした。

戦後のビール事情は、キリンビールが超優勢で、そのメイン商品が「キリンラガービール」これは、加熱ビールでした。(生ビールではない)
そのため、樽のビールが「生ビール」瓶ビールは「加熱ビール」という認識の時代が続きます。

時は流れて1980年台。アサヒビールの販売量が不振で、かなり大変な時期を迎えます。シェアーで言うとキリンが60%、サッポロビールが20%、アサヒビールはなんと10%!これは会社の存続が危ぶまれる状況です。

1985年。アサヒビールは5,000人の嗜好調査を実施します。
「苦くて重いビールから、のどごしのよいすっきりした味わいのビールへ」というお客さまの嗜好の変化を捉えたのです。

苦くて重いビール…とは…当時トップシェア―の「キリンラガー」のことですね…(ほぼ間違いない)

そこで、アサヒビールは起死回生の「3商品」の開発をはじめ「ホップ・ステップ・ジャンプ計画」をたてるのです。

ホップ・ステップ・ジャンプとは三段ロケットです。1段目の商品でV字回復のスタートをきり、2段目の商品で勢いを付け、3段目の商品で他社をぶっちぎる感じです!

➋since1986

1986年リニューアル発売

そのスタートダッシュのロケットの1段目(ホップ)の役を任されたのが…1986年、1900年発売のアサヒ生ビールを「コクがあるのにキレがある」というキャッチフレーズでリニューアル発売。

コクとキレという真逆の味わいを実現したビールです。
当時のテレビCMには「メル・ギブソン」を起用。


そして翌年1987年、ロケット第2段「ステップ」として発売されたのが
アサヒスーパードライ」です。これはものすごい推進力でした

https://youtu.be/Iz4WnPzeiqg?si=JrN1hD8-Y4PTMFW_


最後の総仕上げに「ジャンプ」の商品。4年後の1991年アサヒZ(ゼット)が発売されます。「」は、コマーシャルにビートたけしさんや森高千里さんを起用。森高さんの歌「気分爽快」も使用されています。「飲もう~今日はとことん飲み明かそう~♪」です

上記のCMを見て気が付きましたけど…Zは「上面発酵」だったんですね。
通常のピルスナーは「下面発酵」なんです。

しかし、アサヒスーパードライがあまりにもヒットし絶大な売り上げです。
アサヒZは終売になってしまいます。その後、アサヒ生ビールも終売になりかけた時です…

アサヒ生ビールを絶対に残してほしい」という声が飲食店から上がります。

声をあげたのは、大阪を中心とする飲食店でした。
辛口のスーパードライよりも、味わいコクがある「アサヒ生ビール」を使い続けたいという声が上がります。

と表面上はなっていますが…おそらく…アサヒ生ビールを発売中止にするのなら、キリンビールやサッポロビールに銘柄を変更する! 
という声だったのではないでしょうか??

アサヒ生ビールは終売を免れ、大阪を中心とした「一部地域※」でのみ飲食店で使う「樽生ビール」のみが継続して発売され、名称は「アサヒ樽詰生ビール」として継続となりましたが、缶・瓶ビールは終売となってしまいました。

(※重富が知る限りでは、東京の数店舗、大阪、広島、四国の一部)

2012年。広島にビールスタンド重富が誕生します。
使用している銘柄は「アサヒ樽詰生ビール」。
重富はスーパードライではなくアサヒ樽詰生ビールを注ぎ、伝え続けました。

ありがたいことに全国からお客様がお越しになり、アサヒ樽詰生ビールの存在が広まっていったように思います。重富なりにこのビールを全国の方に知ってもらう活動を進めていました。

そんな時、急にニュースが飛び込んできました!!

アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 平野伸一)は、ビールの新たな需要の創出を目指し、これまで一部地域限定で発売してきた『アサヒ生ビール』の樽生を、2018年3月20日(火)から全国に拡大するとともに、新たに5L入りの樽生商品を5月2日(水)から発売します。また、『アサヒ生ビール』の缶350ml・500mlを2018年5月15日(火)に期間限定で発売します。

「樽生」全国発売/「缶ビール」期間限定発売

晴天のへきれきです! 「えっ!なんだって!!」

重富的には、「終売にする気、満々だったじゃん」とは思いますが…全国での発売をとてもうれしく思いました(苦笑)。

アサヒ生ビール。そしてアサヒ樽詰生ビールとなり、一部地域限定発売から全国発売に。期間限定で缶ビールが発売されたこのビール。

上の画像をみてもらえるとわかりますが…どこにも「マルエフ」という文字は見当たりません。

それは、まだこの時点では「秘密」にされていた事項だったからです。
しかし、我々樽詰生ビールを扱っている酒屋同士ではこのビールを「マルエフ」という愛称で呼んでいました。

今回の全国発売を機に「マルエフ」という名称で売り出せばいいのにと思って、そう提案したのですが…「マルエフ」は表に出さないでくださいと、担当者から釘を刺されてしまいました。

では…このマルエフについてお話ししましょう。

➌復活の生

1980年代初頭。サッポロビールにもシェアーを追い越されたアサヒビールは、起死回生の商品を研究開発します。その開発記号を「フェニックス」となずけました。ビール各社は開発中の商品の情報が他社にわからないように商品名を「開発記号」で呼びます。

フェニックスとは、死んでも蘇ることで永遠の時を生きるといわれる伝説上の鳥です。寿命を迎えると、自ら燃え上がる炎に飛び込んで燃え尽きてしまいますが、その灰の中から再び蘇るとされており、不死鳥、もしくは見た目または伝承から火の鳥ともいわれています。

アサヒビールは、会社の運命をフェニックスのように「よみがえる/復活」という思いを込めて商品開発しました。それが「コクがあるのにキレがある」というキャッチフレーズでリニューアル発売された1986年発売「アサヒ生ビール」です

➍通称マルエフ


何故マルエフと呼ばれるようになったのかと言いますと。フェニックスでは文字数が長いので、便宜上下記の短縮系を使用していました

フェニックスの簡略文字


⇧この文字をあなたはなんと読みますか?  

   マルエフ ですよね

正式名称「アサヒ生ビール」 そして通称「マルエフ」です。

ここで英語の質問です!
フェニックスをアルファベットで書いてみましょう!

まず…ローマ字で書くと

ローマ字表記

英語表記だと・・・


英語表記

        

➎FORTUNE PHOENIX


そうなんです!ローマ字表記だとですが、英語表記だとなのです。
これはまずい!ということでを頭文字とする未来を描ける単語を探し、
幸運や富を意味する「FORTUNE(フォーチュン)」を見つけました。
フェニックスではなく、フォーチュンのFからマルエフです。
とこっそりと…歴史を塗り替えたのだそうです。

と、重富は昔の社員さんからこっそり聞いていますが…これが本当なのか、作り話なのかは… さておき…
 
不死鳥・幸運から命名された開発記号「通称マルエフ」が誕生したのです。

期間限定発売から「通年発売へ」

2018年に期間限定で発売された「アサヒ生ビール缶」。
翌年2019年「通称マルエフ」として定番商品として発売されました。

CMに起用されたのが、新垣結衣さん「おつかれ生です」

CMの中で新垣さんが何度も語っているセリフが 

 ⇩

➏お店(飲食店)で愛され続けた

1900年に発売された「アサヒ生ビール」
1986年にリニューアル発売され…
その後スーパードライの陰に隠れていき…
一部地域で樽のみを残し1993年に缶と瓶は終売。
そして今回「復活」するまでの30年間
地域限定ではありますが、飲食店でこの銘柄を愛し守り注ぎ続けていました。

ビール業界では、このマルエフを愛し、守り、注ぎ続けた飲食店として…

東のビアライゼ98。西のビールスタンド重富。と呼ばれています。

ビアライゼ98さんは、前身の「灘コロンビア」が誕生した昭和24年から。
ビールスタンド重富は、前身の「四斗平」が誕生した昭和10年頃から。

この「アサヒ生ビール」「樽詰め生ビール」を使い続けてきました。

灘コロンビアの新井徳司さんがビールを注ぐ動画(高知にて)


ビールスタンド重富の前身、四斗平(昭和10年頃)


他にも多くの飲食店が30年間愛し続けたのが「マルエフ」です。
アサヒビールさんの飲食店向けの冊子にこの2店舗は数回登場します。

ご繁盛サポートブック
2019年版
2022年版
2023年版

中四国地方での「マルエフ」通年発売時のキャンペーンチラシ

中四国限定発売ちらし

缶ビールの「注ぎ方」動画も、スーパー、量販店の店頭で流れていました。

ここまでくると重富は「マルエフ・アンバサダー」と言っても良いですよね

➐ラベルのマーク

キリンビールさんのマークの中に「キリン」の文字が隠れているのご存知だと思いますが…マルエフのマークにもある文字が隠れているんです。

隠れた文字を探してみましょう

ちょっと…かなり…ずいぶんと難しいとは思いますが…
一番下に、答えを乗せておきますね(笑)

重富の自己紹介

ビールスタンド重富マスターそして麦酒伝道師の重富寛(ゆたか)です
広島で立ち飲みのビールスタンドを2店舗経営しています。

■ビールスタンド重富 銀山町本店  
 ※食べログビール部門【5年連続全国1位】2023年11月現在
 ※2024年12月現在は 第7位 
 ※営業カレンダー 

■ビールスタンド重富 ekie (広島駅新幹線口1階)

 ※食べログビール部門【全国第13位】2024年12月現在
 ※元日以外営業しています(10時~21時)
   ラストオーダーは20:45 12/31のみ20時閉店

スイングカランという90年前に使用されていたビールサーバーと、現在主流で使われているビールサーバー2台を使って【注ぎ方5タイプ】で提供しています。※ミルコの提供は広島駅ekie店のみ

イベント用メニュー

2023年重富の今年のビッグニュースTOP3

No1 G7広島サミットでビールを注ぐ

G7「ID」


No2 NHKあさイチ
 (広島・原爆・平和のビールとして紹介されました)

トリップさんと被爆ビヤホールの壁の前で

No3 サッポロ生ビール黒ラベルTHEBAR開業4周年でビールを注ぐ

開業4年間で、最高売上げを達成した2日間だったそうです

パーフェクト黒ラベルを注ぐ重富

重富が全国どこでもビール100杯注ぎに行く券があたるLINE公式 ⇩

おまけ(番外編)①

缶の上部のデザイン「F」

ラベルの上部に Fのぐるぐる渦巻きがありますよね、
このFの渦巻きにも「意味」があるようです。
この「意味」を知っているのが、ビアライゼ98の松尾マスター。
是非、お店のカウンターで聞いてみてくださいね。

CM出演のガッキーにビールの注ぎ方を指導をしたもの松尾さんです。

おまけ(番外編)②

マークの不死鳥の 頭(顔)の部分は、
重富的には90年前のビールサーバー(スイングカラン)ではないかと…
密かに思っています(笑)。

昭和8年頃に使用されていたスイングカラン

⇧の写真は東京の恵比寿ガーデンプレイスにある「エビスビール記念館※」に展示してある「スイングカラン」です。
このスイングカランを業者さんに目で見て寸法を測ってもらって、真鍮の削り出しで制作してもらったのが、ビールスタンド重富で使用しているスイングカランなのです。 
※2024年現在は展示されていません
※公開を計画中とは聞いています…


銀山町本店
ビールスタンド重富広島駅ekie店

おまけ(番外編)③

マークのフェニックスの羽が渦を巻いているイメージは、
注(つ)がれているビールをイメージしているそうです(笑)。

手入れの行き届いたビールは 笑顔を生み出します。
今日は誰と、どこで乾杯しますか🍺
ビールスタンド重富マスターそして麦酒伝道師の重富寛(ゆたか)でした。



マルエフのマークに隠された文字の回答です


読めましたか??

正解は ビール でした。

マルエフのラベルに隠された7つの秘密