ビールづくりに欠かせない4つの原料をもっと知りたい!
こんにちは!
クラフトビール専門ポータルサイトを運営しているビールの縁側です。
覚えておくと便利かもしれないクラフトビールの豆知識をご紹介するこのシリーズ。
これまで、クラフトビールの違いはどこにあるの?という疑問を解決するべく、「ビアスタイル編」「原料と製造工程編」をお届けしてきました!
お好みのビール選びに少しは役立ちましたでしょうか…??
今回は、ビールづくりには欠かせない4つの原料をさらに深堀り!
原料の違いから生まれる味わいの違いをご紹介します。
ビアバーなどでメニューを見てもよく分からなかったカタカナもこれで解消されるかも!?(笑)
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ビールづくりに欠かせない原料4つ
大手メーカーが販売しているビールも、クラフトビールと呼ばれているビールも、実は主な原材料はたったの4つ。
その4つとは、「麦芽、ホップ、酵母、水」。
こうやって見ると特別変わった材料もなく、すごくシンプルな天然由来の飲み物なんだな~と感じますよね。
ここに、スパイスやハーブ、フルーツなどの副原料を使用したビールもあり、より複雑で個性的な味わいをつくり出しています。
▼ビールに必要な原料や製造方法をおさらいしたい方はこちらの記事から
1.麦芽
麦芽の役割
「麦芽」は「モルト(malt)」とも呼ばれ、文字通り「発芽させた麦」のことを言います。
ビールづくりの最初の工程となる「製麦」では、麦芽をつくることから始まります。
大麦を水に浸して発芽させ、発芽した芽と根を取り除いた後、乾燥・焙煎する「焙燥(ばいそう)」を行います。
でも結局は取り除いてしまうのに、なぜわざわざ麦を発芽させてから使用するのでしょうか?
それはビールがつくられる方法に答えがあります。
麦は発芽することで、「糖」が生まれます。
ビールをつくる工程では、酵母によって「糖」を分解する「発酵」の過程で「アルコール」とシュワシュワの泡となる「炭酸ガス」を生み出します。
もともと大麦の状態では糖の元となる「でんぷん」が含まれていますが、酵母はでんぷんのままだと発酵に利用することが出来ません。
ビールづくりに欠かせない酵母のエサになることができる「糖」は、麦が発芽することではじめて生まれるんです。
ちなみに、焙燥前に芽や根を取り除いてしまうのでは余計な雑味を抑えるためだとか。
麦芽の種類
日本のビールづくりでは、麦芽は海外からの輸入が主流。
いくつかの麦芽を調合し、様々な種類のビールをつくるそうです。
■ベースモルト
その名の通りビールづくりの基本となるモルトで、低温でじっくりと時間をかけて焙燥するので淡色となるのが特徴。
じっくりと焙燥することで麦芽の糖化酵素が大麦の中に残り、最大限に糖化することができます。
大麦には「六条大麦」と「二条大麦」という2種類がありますが、現在使用されているのはほとんどが二条大麦です。
また、大麦以外にもビールの種類によっては小麦やライ麦などを使用する場合もあるそう!
<主なベースモルト>
*ペールモルト
エールはもちろんラガーやスタウトなど多くのビアスタイルで用いられるベースモルト。
*ウィートモルト
ヴァイツェンなどの小麦ビールのベースとして使用。小麦特有のタンパク質により、クリーミーな泡をつくる効果も。
■カラメルモルト
カラメルモルトは、ベースモルトとは反対に高温で焙燥することで糖をカラメル化し、麦芽に褐色のカラーと独特の風味やコクを与えます。
焙燥の時間や温度によって色やカラメルの味わいが変わるため、焙燥度合いの異なるカラメルモルトを調合することで様々なビアスタイルへと変化させます。
<主なカラメルモルト>
*クリスタルモルト
一般的なカラメルモルトの総称で、モルトを焙燥すると表面がクリスタルのように光沢をもつことから名づけられた。
カラメルモルトの総称となるので、色や焙煎度合いは販売されているメーカーによって様々。
*チョコレートモルト
その名の通りチョコレート色のモルト。
ブラウンエールなどの赤茶系ビールや、チョコレートのような甘さやコクを必要とするポーター・スタウトに使用。
よく「チョコレートを焦がしているの!?」とびっくりされることがありますが、チョコレートは使っていません(笑)
*ブラックモルト
チョコレートモルトよりも焦がした真っ黒なモルト。
甘みが少なく、苦みや焦げた香りが特徴で、コーヒーのような味わいを出す場合に使用されることも。
ホップ
ホップの役割
「ホップ」は皆さんもよく耳にしたことがある名前かと思います。
ホップがビールに与える役割は主に「香りや苦みを付けること」。
多年生のつる性植物であるホップは、松ぼっくりのような形をした「毬花(まりはな・きゅうか)」という実をつけます。
この「毬花」の種類や使用する量によって、ビールの苦みや香りを調整し、多くのビアスタイルを生み出しています。
ホップの種類
ホップは品種改良が繰り返され、現在では100種類以上あるそう!
海外産、国内産でたくさんあるホップですが、ここではその一部をご紹介します。
■海外産
*シムコー(産地:アメリカ)
グレープフルーツやパッションフルーツのような香りと、草や大地を思わせる香り。
*シトラ(産地:アメリカ)
グレープフルーツやライムのような柑橘系の香りと、パッションフルーツやベリーのようなフルーティさ。
*モザイク(産地:アメリカ)
パッションフルーツを思わせる香りや、柑橘、ハーブ、土などの香りが複雑に絡み合い、まるでモザイク画のようであることが名前の由来です。
*マグナム(産地:ドイツ)
ビタリングホップと呼ばれる苦みに特徴を持つホップの代表的な品種。ホップの爽やかな香りを邪魔しないクリーンな苦味で世界中で使用されています。
*ギャラクシー(産地:オーストラリア)
グレープフルーツやレモンなどの柑橘系やパッションフルーツなどの南国系の香り。華やかさが強調されることが多いですが、草や大地のような香りとなることもある、その名の通り壮大で不思議なホップです。
■国内産
*ソラチエース(産地:北海道空知郡)
1984年にサッポロビールが開発したホップの品種。
レモン、ハーブ、針葉樹など、他のホップにはない個性的な香り。
*IBUKI(産地:岩手県遠野市)
現在、国産ホップの96%が東北地方で栽培されているといわれていますが、その中でも代表的な品種がこの『IBUKI』。
フローラルで華やかな香りと柑橘のような爽やかなアロマを合わせ持っています。
*MURAKAMI SEVEN(産地:岩手県遠野市)
キリンビールの技術者である村上敦司さんが育種した国産ホップ。
いちじくやミカンのような香り。
▼「フレッシュホップ」って何…?
ホップの正体をもっと知りたい方はこちらもおすすめ!
酵母
酵母の役割
これまでの原料は植物でしたが、この酵母は「微生物」!
ビールつくりでは、実は生き物を扱っているんです!
酵母の役割は、麦芽の製造工程でもご紹介した「糖を分解してアルコールと炭酸ガスをつくること」。
原料となる麦芽やホップを使うだけではアルコールも炭酸も無い、ただの麦の味がするジュースである「麦汁」。
(麦茶みたいなものですね…(笑))
生き物である酵母が糖を食べ、アルコールや炭酸をつくる活動をすることではじめて「ビール」の基本となります。
酵母の種類
ビールづくりに使われる酵母は大きく2つに分類されます。
それはビールの発酵方法の違いによる2種類で、「ラガー酵母(下面発酵酵母)」と「エール酵母(上面発酵酵母)」。
酵母の種類によって元気に活動できる温度が違い、低温・高温の発酵方法によって使用する酵母も分けています。
<主な酵母の種類>
*アメリカンエールイースト
ペールエールやIPAなど幅広いビアスタイルに使用される。
*イングリッシュエールイースト
クリアな味わいが好まれるイングリッシュペールエールなどに使用。
*ウィートイースト
ベルギー由来の酵母でホワイト系のウィートエールに使用。
水
水の役割
ビールは飲料、つまり液体です。
言わずもがな、その成分のほとんどは「水」で出来ています。
あまり目立つことはありませんが、色や香り、旨味や苦みなどの味わい、それらをコントロールするために一番重要で基本となるのが、この「水」です。
衛生的でクリーンな状態であるのはもちろんですが、「pH(ペーハー、水素イオン指数)」「硬度」「ミネラル含有量」など、使用する水のわずかな違いによっても醸造過程に影響します。
すべてのベースとなる水の状態をキープすることも、重要なビールづくりの一つになるんですね!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「ビールづくりに欠かせない4つの原料」の種類や味わいの違いをご紹介しました!
勉強になったなぁ!と思っていただいた方や、普段のビール選びにいつも迷ってしまう…という方は、ぜひこれまでのクラフトビール豆知識シリーズも読んでみてくださいね!
▼クラフトビールの違いって何?~ビアスタイル編~
▼クラフトビールの違いって何?~原料と製造工程の違い編~
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