【クラフトビール巡り】Tap & Growler
ゴーワタナベ(GW)、始まりましたね。僕のGWは、渋谷のタワレコのaikoコーナー巡りから始まりました。ねがう夜はAmazonに配送してもらったけど、それでも渋谷のタワレコまで行って、スタッフさんの愛があふれた売り場を見るのはとてもいいものです。
空は雨模様だったけど、せっかく渋谷まで来たので、下北沢にも足を延ばすことにした。先日「明け方の若者たち」の記事を書いたばかりだったので、何となく井の頭線に乗るのも悪くないな、と思ったからだ。
下北沢に来たのは何年ぶりだろうか。たしか、小田急線の駅が地下化されたすぐ後に興味本位で行ったような気がする。あちこち工事現場のフェンスだらけだったことだけが、かすかに記憶に残っている。
今ではフェンスもだいぶ少なくなって、小田急線の線路があった場所は何ともがらんとしていた。でも、それは後ろ向きな欠落ではなくて、希望に満ちた余白なのかなと、下北沢的な情緒に浸りながら元線路だった道を歩いていき、Tap & Growlerに着いた。
その日は、ちょうど海外の限定ビールの抜栓イベントがあったせいか店内は混んでいて、僕は店の入り口の小さなテーブルのところで立ち飲みをすることになった。せっかくの抜栓イベントだから、その中から選ぶ。一杯目は、Hudson Valley Brewery の confettiというサワーIPAにする。柑橘系の華やかなサワーらしいサワー。まさに、confetti(紙吹雪)というネーミングがぴったりだ。
店の外に目をやると、しとしとと雨が降り続けている。まさに「4月の雨」だった。僕がシモキタによく来ていたのはもう10年以上も前の話で、駅前の様子は様変わりしてしまった。だけど、よく行った駅北側のカルディもモスバーガーも健在だった。古着屋の名前は憶えていないけど、何となく記憶に残っている店構えのところも多い。
二杯目は、Tired hands brewing の prayer group というラガーにした。ラガーとはいってもwheatが入っていて、しかも店員さんが言っていたようにセゾンに近い味わいになっていた。どんな貯蔵の仕方をしたんだろうか、と不思議にはなるけど、僕好みの味だった(店員さんも他のお客さんに熱烈に進めていた)。
僕はちょっと手持ち無沙汰になってしまったので、たまたまカバンに入っていた村上春樹の「ノルウェイの森」の下巻を読みながらビールをちびちびと飲み続けていた。そのうちに、さっきまではしとしとと降っていたはずの雨が本降りの雨に変わっていた。本の中では、ワタナベ君と小林緑が土砂降りの中、傘もささずに抱き合っていた。
そして最後に、Burley Oak Brewing が Other Half Brewing とコラボして作った、The Murder Bee を飲んだ。殺人バチ。ドライホップの DIPAだけど New Englandスタイルでhazyだったので、ハチの一刺しというよりは、じわじわと毒が回る感じだった。 何も食べずに飲み続けていたので、外で降っている雨が若干にじんで見えてくる。
店を出たころには、傘をさしていたとしても肩回りやズボンの裾が濡れるようなひどい雨が降っていた。だから、雨踏む僕のジーンズの裾は、雨降る夕方の道路でゆっくりと冷たくなっていった。せっかくなのでAmazon musicで「夏服」を探して「雨踏むオーバーオール」を聴きながら、新しくなった下北沢の駅へと向かう。
どうなんだろう。下北沢によく来ていた学生の頃とは違って、大人になってしまった僕は、世の中にはフリーランチなんてものはほとんど存在しないことを知ってしまった。それでも、ビールに酔っぱらったときは厚かましく思う。誰かビールをおごってくれないかな、見返りなしに。
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