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続・メロンソーダのこと

noteを始めて数週間が経って、他の人たちのnoteの記事もよく読むようになった。そして、僕はとても単純で至極まっとうな事実に気が付いた。多くの人は、最初の記事で自己紹介や、noteを始めた理由について書いているということに。

一方の僕はと言えば、何の自己紹介もなく、友達がくれたドラマのDVDを観てaikoのメロンソーダを思い出したことを書いた。

唐突だ。唐突すぎて、2つ目の記事から読んでしまったのかと、読者を少し焦らせたのではないか。そう、今さら心配になった。だから、今日はnoteを始めた理由を書いていこうと思う。

上田啓太さんの真顔日記との出会い

上田啓太さんは、言わずと知れたaikoブログ界(?)のレジェンドだ。というか、ご本人も書かれている通り、上田啓太さんはほぼaikoだといっても過言ではない。

上田啓太さんの記事の一部は、今はnoteの有料マガジンに移管されているけど、僕は真顔日記ブログ時代に一通り記事を読ませていただいていた。中でも「aikoの歌詞の怖さについて」は衝撃的だった。あまりにも衝撃的だったから、読んだ当時(2017年のことだ)、Facebookで言及していた。「aikoの歌詞以上に、この人の分析のほうが怖いと思う。」と。

それと同時に、ちょっと悔しさを感じた。こんなにまでaikoを愛し、それを言語化できる人がこの世に存在することに。そんな訳で僕は、上田啓太さんの足元に及ばないとしても、いつかaikoについての文章を書いてみたい、と思うようになった。結局その時は、日常の忙しさを言い訳にそれっきりになってしまったけど。

aikoの結婚

そして僕は、この2021年最大のニュースの日を迎えた。12月14日の夜10時過ぎ、仕事帰りのけだるい電車の中、いつも通りスマホでだらだらとTwitterを見ていた僕の目に「aiko結婚」の文字が飛び込んできた。

仕事の疲れは一瞬でどこかに吹き飛び、電車の中なのに「えっ」という声をあげてしまった。周りの人に不審に思われないかと焦ったけど、電車の中は人もまばらで、誰も僕の声に気づかなかったようだ。でも、仮に気づかれたとしても、正直に「aikoが!結婚!した!らしいんです!」と言えば、大抵の日本人であれば、一緒に驚きと喜びを共有してくれたと思う。

事実、Twitterのタイムラインは、KingGnuの井口さんの「うおおお!!!」という雄たけびや、aikoファンたちのお祝いの声で埋め尽くされていった。

そんなツイートに混じって、上田啓太さんがaikoの結婚を祝して、noteに移管した有料記事を期間限定で無料公開したことを知らせるツイートがあった。その人は「お祝いの仕方が独特」とつぶやいていて、それは僕も同感だった。いずれにせよ、僕はaikoの結婚という人生を揺さぶる大きな出来事の真っただ中で上田啓太さんの記事と再会し、aikoについて何か書きたいという思いが復活することとなった。

どうしたって伝えられないから

そうは思ったものの、なかなか踏ん切りがつかないまま、年が明け、気が付けば僕の真横を冬が通り抜け、鼻先をくすぐる春がやってきてしまった。

僕の家から歩いて少ししたところに、ちょっとした桜の名所がある。桜が満開になったある平日の夜、僕は仕事帰りに、直接家に帰らずに夜桜を見に行った。耳にはAirPods、「どうしたって伝えられないから」をシャッフル再生しながら。

「触れてはいけない手を 重ねてはいけない唇を」。うん、青空だ、今は夜だけど。「昔に戻ったみたいなのか 今さら恥ずかしくなったのか」。しらふの夢だね。お酒はかなり飲むけど、少なくとも今はしらふだ。片想いのイントロのピアノの絶妙な不協和音、夜桜を見るときのBGMにあっている。そんな感じで、ぼんやり桜を眺めている間にも曲は流れ続ける。

今年の桜は誰と見たの
最近はおとなしく家に帰っているよ

ハニーメモリー

多分、この瞬間だったんだと思う。おとなしく直接家に帰らないで、一人で夜桜を見ていたその瞬間、「もう先延ばしにはできないな」と思った。

なぜ、その時そんな風に思ったのかは僕にもよくわからない。けれども、文章を書き始めるきっかけなんて、案外そんなものなのかもしれない。村上春樹が小説を書こうと思い立ったのだって、神宮球場でのヤクルトの開幕戦で、デイブ・ヒルトンが二塁打を打った時のことだったらしいし。

そうして、僕は洗面所にすら電気が付いていない真っ暗な家に帰り、明かりを灯し、パソコンを立ち上げてnoteのアカウントを作った。

最初の記事は何について書こうか。そう考えいていたときに僕は気づく。本当に灯されたのは家の明かりではなくて、aikoへの想いなんだ、と。そして、僕は夜桜からの帰り道でAirPodsから流れてきていたメロンソーダのことを思い出す。

繰り返す日々にもらったプレゼントは君だ
ある日突然心に灯る想い

メロンソーダ

そうだ。最初の記事はメロンソーダのことについてでなければならないのだ。

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