地元の小麦香るアメリカン・ウィート。横浜ビール「瀬谷の小麦ビール2016」プレス発表会レビュー
「今年も瀬谷の小麦を使ったビールができましたよ!」
そんな一報を受け、8月の照りつける太陽の元、横浜ビール・驛の食卓で行われた生産量限定「瀬谷の小麦ビール」の発表プレスイベントにお邪魔してきました。
そもそも「瀬谷」とは、横浜市瀬谷区のこと。
神奈川への土地勘の疎く、東北の田畑に囲まれて育ったボクとしては、「横浜に畑があるんだ?」という感覚だったりしますが、プレス発表で拝見した写真を拝見すると、見渡す限りの立派な畑が広がっていました。
距離にして100mの長さとも表現されていたこの畑を管理されているのが、今回のラベルにもなっている岩崎農園の岩崎良一さん。
(写真左:岩崎良一さん。右:横浜ビール醸造長 五條芳範さん。)
横浜ビールさんといえば、綱島の桃を使用した「綱島桃エール」や、小机のドラゴンフルーツを使用した「紅龍(べにたつ)」など、地域の食材を使ったビールでも有名。
この話を聞くと「地産地消」という単語が浮かぶが、横浜ビールの太田久士社長は、そう呼ばれるのには違和感があるらしい。
地元の食材を使用するだけであれば、食材を扱っている会社に連絡して「届けてね」と言えば手に入る。ある意味、それだけで地産地消を自称することも可能だ。しかし、今回の瀬谷の小麦は、種まきの段階から社長、醸造長を筆頭として横浜ビールとしても参加して来たというのだ。
(写真右:横浜ビール 太田久士社長 )
もちろん、農家に弟子入りといった形での関わりではないが、少なくともボクの目には岩崎さんと横浜ビールとの関係性はより深いものとなっているように写った。
さて、肝心の味について語ろう。
「小麦のビール」と聞くと、ベルジャンホワイトのような爽やかさや、ヴァイツェンのような甘さ際立つ味わいを想像される方もいらっしゃるかもしれない。
しかし、「瀬谷の小麦ビール」は、ホップの香り・苦みを楽しむタイプのアメリカン・ウィートエール。小麦の苦みや香ばしさはボディとしてしっかり残っているが、甘さが前面に押し出されている訳ではない。主力として使用しているホップは、ドイツ産のマンダリン・バーヴァリア(Mandarina Bavaria)。
このホップの印象も強く、全体的にドライな印象になっており、横浜ビールの醸造長・五條さんにとっても「スッキリして飲み応えのあるアメリカン・ウィートエール」は狙った路線だという。
神奈川県内の小麦の生産量は、300坪あたり例年平均380kgらしいが、今年は450kgと豊作だったらしく、原材料の面からもその味わいに自信を感じられた。
この日初めて今回のバッヂを飲んだという岩崎さんは「収穫して袋詰めした小麦を乾燥機に移す時に、改めて袋を開けた時に立ち上る、少し青臭い、水分を含んだムッとする香りがハッキリと感じられる」と小麦生産者ならではの感想を笑顔で語ってくれた。
さらに会の中では「瀬谷の小麦ビール2017」の生産・醸造の約束も取り交わされ、横浜ビールとの蜜月を示した。
来年はどんな関わりの中でどんなビールになるのか……、そんな視点からも「瀬谷の小麦ビール」のストーリーを楽しむことができる。
【お問い合わせ先】横浜ビール
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