「こ」でもない「き」でもない、ただの春
2023.23.1(水曜日) Spring is just around the corner!
春を待ち焦がれる人もいれば、春は憂鬱になる人もいるという話。
春になるとよく聞く『木の芽時』という言葉がある。
喜びの人にとっては「このめどき」
憂鬱な人にとっては「きのめどき」
たった一文字の違いで意味あいが天と地のごとく変わってくる。
私の場合は「こ」でも「き」でもない。ただの春である。
私の父は神経質な性格で、常に自律神経がうまく働かなくて季節の変わり目はいつも憂鬱そうであったが、特に冬から春に移行する季節になるとその症状は顕著に現れるようで、うまく睡眠が取れない、なんとなく体が体がだるい、頭が重い、やる気なくなる…などという病名のつかない不定愁訴のようなことを訴えていた。
春が過ぎて初夏に差し掛かるとスッとその症状もとれて普通に戻るから
いつも「春だけの辛抱だ」と言って耐えていた。
今ならそういう不定愁訴を相談できるクリニックがたくさんあるけど、あの当時は気軽に相談できるところがなかったから本人にしてみればけっこう大変だったんじゃないのかなと思う。
友人の中にもそういう人がいて、その人は「春になると意味もなく気分が落ち込む」と言っていた。
いろいろあるんだなぁと思いながら、今日3月がやってきた。
さっき私は「こ」でも「き」でもないと書いたが、春は違う意味であまり好きではない。理由はうまく説明できないのが歯痒い(下手に説明すると誤解を招くだろうから)のであるが、あの三島由紀夫さんが「旅の墓碑銘」の中でうまいこと表現なさっている。
もう10年以上も前になるが、この一説を読んだとき「私の気持ちはこれだ」と確信した次第だ。
そうだ、春は『かまってちゃん』なのだ。
春は褒めておだててやらないと機嫌を損ねそうな感じがするのだ。
春が待ち遠しい方には申し訳ないが、そういうところが苦手なんだと思う。
余談だが…
私は春以上に夏も苦手なのでこれからはお先真っ暗闇だ。
*
スーパーで同じマンションの方に会う。
「あたたかくなりましたねぇ」と声をかけられて、
「4月並みの気温だそうですよ」
「こうあたたかいと嬉しくなりますねぇ」
「そうですねぇ」
という会話をする。
この方は「こ」のタイプなんだなぁ〜と思って話を合わせる大人の私。