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すべてはこの夏のせいにして

2023.8.28 (月) the lingering summer heat


「うちのアジアンタムがねぇ〜元気がないのよ」

まるで息子の心配をする母親のような書き出しになってしまった。
息子でも娘でも孫でもないが、半年ほど前からうちに居るアジアンタムという植物が枯れかかっている。
完全に枯れたのは切ってやったのだけど、枯れるかな、いや、持ち直すかな…という微妙なラインのがたくさんあって悩んでいる。他の植物も元気ではないが、まだ枯れるまでは行かずに頑張っている。
「アジアンタムは他のに比べてひ弱だから」と、また母親口調。
でも枯れたがっているのなら枯らせてやるのが親切なのかもと思う。
「もうこんな暑い中で頑張るの嫌だよ」と、声なき声で訴えてるのかもしれない。
人間だってそう。「もう頑張るの嫌」と思っている人に「頑張れ頑張れ」と無責任に励ますのは傲慢というものだ。
このアジアンタムに関しては、セオリー通りに世話をしてそれでも枯れるというのならそのまま葬ってやろうかと思う。
『暑い夏に逝くアジアンタム』
映画同好会が作る16ミリ映画のタイトルになりそうじゃないか。

さて、気を取り直して。
お昼は蕎麦を食べに行く。
私の場合、気を取り直したいときに食べるのは蕎麦が多い。
パスタでもハンバーグでも焼肉でも美味しいものならなんでも良いではないかと思うが私の場合やっぱり蕎麦だ。

自分で自分の機嫌を取る方法

蕎麦屋を選ぶのは、ちょいと一杯の日本酒が飲めるからだ。
蕎麦をアテに飲む日本酒は旨い。安酒でもサマになるからいい。
もう、女ひとりで蕎麦食べて日本酒飲んでても誰も好奇な目で見ない時代になったのが嬉しい。
知らないおっちゃんとおばちゃんが、持病の自慢話をしながら飲んでらっしゃる。なかなかおふたりともハイカラな服装で、それがまた哀愁こもごもでいいなぁと思う。

気が取り直せたところで店を出る。
外は体ごと溶けてしまいそうな勢いのある暑さで、さっき飲んだお酒なんて数秒で蒸発してしまう。
あぁ、これじゃ飲んでないのと同じではないか…と、笑う。
めでたい私である。

いつまで暑いんだ、コンチクショウ






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イトカズ
読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。