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次に来る漫画を知りたい人が少年サンデーを読むべき理由



長い前置き

名探偵コナンが好きで長らく購読しているのだが、ここ数年、世間ではサンデーはコナン以外になにをやっているのかわからないなどと言われていた。分からないこともない。ジャンプがまた勢いづいているところパッとしない、というのが確かなところ。

しかし丁寧な作品が発表されてきたと思っていた。週刊少年サンデーが良い漫画雑誌だと思う理由に、漫画が上手い人が多いことにある。
ジャンプが才能を信じて、新人がそのまま手入れされず発表するのを何度も見てきたが、圧倒的に持ち込み数が少ないだろうサンデーに特大ヒットを生む稀有な才能が来ることは、さらに稀有なことだ。
だからこそなのか、サンデーは新人をそのまま放出するよりも育てることに意識を向けていたように感じる。
改革宣言も影響があったのか?
新人でも「読みにくい」と感じる漫画は少ない。絵だけではなくコマ割りなどが読みやすいのだ。


漫画がめちゃくちゃ上手い漫画家として、高橋留美子があげられることがある。伝説にして現役サンデー作家だ。
彼女に関しては「タイミングで生きている(描いている)」などと評した某島本氏などがいるが、注目はコマ割りだ。経歴にもしっかりとした下支えがあることや、読みやす仕組みが施されていることなどが議論されている。

※詳しくは「高橋留美子 コマ割り」とかでググってもらえると助かります。

コナン好きでもあるので、青山剛昌もなかなか計算的に漫画を描いていることも触れたい。漫画のコマ割りの特徴だけでなく、例えば単行本にする話数を考えて、必ず「次の巻に続く」で終わることを意識していたり、指で隠れる部分には絵を描かないため単行本を並べたら真ん中が白くなっていたり、細かい技がふんだんにあるのだ。

こういうプロの意識というものを、新人作家に与えてきたのではないかと思う、クオリティの高い作品が近年どんどん出てきた。
前置きが長くなったが、最近のサンデーの盛り上がりを象徴するような、そして2021年~2022年にかけて確実に注目される作品たちを簡単に紹介する。内容は実際に見て確かめてほしい。

まずはすでにアニメ化した作品。

「魔王城でおやすみ」熊之股鍵次

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絵が…かわいいよね…。
クオリティの高い絵と、きちんと起承転結する毎回のエピソード。アニメ化も成功と言っていいと思うが、権利関係で相当カットされた印象。キレキレのギャグに溢れる本作。令和の魔法陣グルグルといったところ。ぜひ漫画で読んでみてほしい。いつもカラーが美麗で驚かされている。

次はこちら。

「舞妓さんちのまかないさん」小山愛子

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舞妓さんになろうと上京してきたら、舞妓さんのまかないを作る人になった話。
丁寧に生活が描かれており、癒し要素たっぷりの作品。少年誌で連載するには落ち着きすぎている感もある丁寧な描写力が、設定にととてもマッチしている。繊細な心理描写も見どころ。
アニメ放送はすでにNHKワールドしているのだが、日本地上波放送が2021年秋ということなので、今から知っておいて損はないはず。

次は、サンデーうぇぶりで連載中の作品。(たまに本誌出張)

「死神坊ちゃんと黒メイド」イノウエ

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サンデーうぇぶりと週刊少年サンデーはほぼ一体のようなもの(勝手に言ってる)で、前述の魔王城もうぇぶりから人気が出たと認識している筆者です。
触れたもの全てを死なす坊ちゃんと、そこにセクハラをしかけるメイドと文字で書くと妙な感じなので是非実際に読んでほしい。わりとシリアスな設定とギャグのバランスを、ポップなキャラクターデザインで魅せていて注目。夏にアニメ化も決定なので見なきゃ損。

次はこれ。

「古見さんはコミュ症です。」オダトモヒト

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ジャンプで悪い編集に当たったのでサンデーに来た作者。
容姿端麗だがコミュ症。周りとなかなか関われない古見硝子と、普通の人・只野仁人が協力して友達を作ろうとしていく青春と甘酸っぱさのコメディ。
画像のように色々なクラスメイトが出てきて古見さんたちとかかわっていく。それぞれの成長もみどころ。
待望のアニメ化。10月までに原作もチェックしてほしい。

そして絶対アニメ化するだろう作品。

「葬送のフリーレン」山田鐘人 ・ アベツカサ 

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もはやレビューがネットに溢れているだろう…。
この作品こそがサンデーの勢いを表していると実感する。
これまで紹介してきた漫画の共通点として「魔法」「日常」がテーマとされてきている。葬送も確実にこの流れに乗っていて、それが素晴らしい画力と物語の構成力で表現されたのだから、評価は当然。静かな物語だが、胸がつまるような作品だ。

サンデーは日常作品を多く扱っている。
「名探偵コナン ゼロの日常」などもそうだ。原作者が直接監修修正などもしているので、コナンファンは要チェックである。
この特徴は明らかに「ジャンプ」とは差別化をとっている部分だろう。
バトルでイケメンがたくさん出てきてガンガン戦う漫画は、人々は燃えやすく面白いと感じる人も多いだろうが、「ほっこりしたい」とか「心情をもっと知りたい」とか「ラブコメが見たい」という層にサンデーが刺さるのだ。
日常を描くスキルが確実にサンデーで育っていっていることが、昨今注目される機会が増えた所以だと思うし、これからのサンデーにも期待したいところだ。

その他

さて、ほかにも紹介したい作品がある。
「よふかしのうた」
「あおざくら 防衛大学校物語」
「天野めぐみはスキだらけ」
「双亡亭壊すべし」
アニメ終わったあとに衝撃新章に入った「トニカクカワイイ」
これを入れなきゃ怒られる気がする「保安官エヴァンスの嘘 」
実録サンデー漫画「十勝ひとりぼっち農園」
そしてそして確実にアニメ化されるもうひと作品。
高橋留美子が新時代モテ男を描く「MAO」。紹介がおかしいが読めばわかる。

とにもかくにも読んでみてほしい。
サンデー、変化の年だ。

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