Jazz :Mostly: - ソロの順番とバースの長さ
ジャズセッションには定番の流れがあります。ソロの順番も大まかに決まっています。
まずジャズセッション全体の流れを確認しておきましょう。
ソロ回しの流れ
ジャズセッションは❶テーマメロディで始まり、各楽器のソロを挟んで、❺テーマメロディで終わります。テーマメロディは同じ人が演奏するのが一般的です。
ソロの順番については主催者によって様々な考え方があると思いますが、テーマメロディを演奏した人が最初にソロをとり、管楽器が優先されてその後にリズム隊(ピアノ、ギター)、続いてベースソロを挟んでドラムソロの流れが定番です。
ドラムソロはバースになることがほとんどです。バースとはソロ楽器とドラムソロの掛け合いで、4小節ずつ演奏しあうものをフォーバース(4Bars、つまり4小節の意味)、8小節ずつ演奏するものをエイトバースと呼びます。
また、バラードのようなテンポが遅い曲ではドラムソロが省かれ、モードジャズではバースが省かれます(モードジャズではベースソロ後にドラムのみのソロになることが多い)。
ソロの長さ
ソリストがどのくらいソロを続けるかは基本的に自由です。ですがセッションの場では時間が限られているので、次のような常識的な長さを知っておくと役に立つでしょう。
①最初のソリストと同じ長さ
テーマメロディ後のソロをとった人が仮に2周のソロをとって次の人に渡したなら、次の人も同じく2周のソロを演奏すると曲全体がまとまります。
ただしこれは必ずしも正解にならない場合があります。最初のソリストが変則的な周回(7周や5周)だった場合、次のソリストが偶数周(8周や4周)に整える場合があります。偶数周回でソロを回した方がロスト事故が少ないからです。
なので、最初のソリストの周回数は”参考”程度に、大体の長さとして聴くのといいでしょう。
②テンポと曲の長さから周回数を考える
テンポが早く短い曲は必然的にソロの周回数が増えます。また偶数回数で次にパスすることが多いです。早い曲の場合は特に2周、4周、6周、8周〜という風に、偶数回数でソロをとるようにすればロスト事故はぐっと減ります。
逆にゆっくりで長い曲の場合は1周だけで次のソリストにパスすることが多いです。あるいはもっとスローな曲の場合、セクションごとで次にパスすることもあります。
③バラードの場合は変則的に
スローなバラードの場合は前半・後半で分けてソロ回しをすることがあります。
たとえばMISTYの場合、前半の16小節と後半の16小節に分けてソロ回しができる形です。ソロは1周以上という考えはスローバラードでは通用しない場合が多いので気をつけましょう。
またバックメロディが後半から始まってそのままエンディングを迎えることが多々あります。セッションにおいては、始める前にソロ回しの順番や、テーマメロディへの戻り方をディスカッションしておくといいでしょう。
バースの基本
バースはベースソロ後、ソロを演奏した順番でソロを回していきます。つまり、テーマメロディを演奏した人がバースソロをスタートさせることになります。また何小節のバースになるかも最初のバースソロで決まります。バースの長さは基本的に変わりませんが、エイトバースがフォーバースになったり、フォーバースがツーバース(2Bars)になるなど、短く変化することがあります。
バースの長さはテンポ、ソリストの数、曲のスタイル(ビバップ、モード、フュージョンなど)などにより決まっていきます。
フォーバース(4小節)
曲やテンポに関わらず、ほとんどのセッションではフォーバースになる。
エイトバース(8小節)
テンポが早くフォーバースでソロが短くなりすぎる場合はエイトバースが選択肢になる。
ツーバース(2小節)
ドラムソロをフィーチャーする意味合いが強い。エキサイティングな掛け合いになる。1小節でやり合うワンバースもあるが特殊。
フルバース(曲の最初から最後まで)
曲が短くテンポが早いときに選択されやすい。あるいは12小節のブルースのようにフォーバースで割り切れない場合もフルバースになることがある。
曲の最後で小節数が合わなくなったときは、ドラムソロの長さを調節して曲の頭で次のソリストが演奏を始めるようにします。
問題が発生しそうな時は事前に話し合いを
ソロの順番やバースなど、問題が発生しそうなときは事前に話し合う方が無難です。曲を確認してバースに問題が発生しそうだったり、楽譜に問題があることもしばしばです。
またセッションでは立ち位置の順でソロ回しをすることがあります。右回り、左回り、ホストが最初にやる等々、ローカルルールを確認しておくとトラブルを回避できます。
あるいは、特に管楽器奏者がテーマメロディー後、スタミナ的に少し休みたいケースもあるでしょう。自信がある曲だったら「最後に自分のソロで持っていきたい!」というモチベーションもあっていいと思います。
お互いに快適なセッションを進めるために、ちゃんと言葉でコミュニケーションをとるよう心がけましょう。