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【ロック/メタル】知っておきたいギターソロ10選

ロックやメタルは好みがはっきり分かれるジャンルですから、ここでオススメするギタリストが好みじゃなくても全然OKだし、逆に紹介されないギタリストが軽視されるということでもありません。
選抜基準は『ロック/メタル史上で重要な分岐点となっている』『新しいテクニックやアイデアを導入した』かどうかを意識しました。順番は筆者の思いついた順なので他意はありません。
ギターテクニックと影響を受けているギタリストなどを解説・紹介していきます。参考にしていただけたら。



Crossroads / CREAM (Eric Clapton)

ロックの系譜で絶対に外せないエリック・クラプトンのギターソロです。クラプトンが画期的だったのはブルースのギターソロにおいてマイナーペンタトニックとメジャーペンタトニックを行ったり来たりしている点です。この曲はAのブルースなのですが、この曲以前のロックギタリストでこういったモーダルインターチェンジを活用したギターソロはあまり見受けられません。ブルースはメジャーとマイナーが曖昧であることからジャズでもよく演奏されるのですが、発想自体はジャズのそれです。当時クラプトンはあまりの高速プレイで逆に手がスローに見えることから『スローハンド』の二つ名で呼ばれていたそうです。

彼から影響を受けていないギタリストはいないと思いますが、Stevie Ray Vaughan、John Mayer、最近ではChristone "Kingfish" Ingramなんかは直系の印象です。



Eruption / Van Halen (Eddie Van Halen)

ロックギターに新しい奏法を沢山取り入れた革新的ギタリスト、エディ・ヴァンヘイレン。ライトハンド奏法や高速トレモロ奏法(ハミングバードピッキング)、ディレイやフェイザーを駆使したエレキギターならではのサウンドは、その後のロックギタリストに大きな影響を残しました。
高速プレイを可能にするボックスフィンガリングというスケールアイデアも彼以前のロックギターではあまり見られません。シンプルながら画期的なフィンガリングで高速駆け上がりフレーズが容易になりました。
彼はインタビューで「アラン・ホールスワース(ジャズフュージョンギタリスト)のレコードを聴いてライトハンド奏法を思いついた」と言っており、幅広い音楽を聴いてアイデアを形にしていったことが分かります。自宅では朝から晩までギターを弾くため、家の中のドアを全部取っ払ったというエピソードもあります。キュートですね。

エディはロックギターの万能選手なので、彼の影響を受けている人は数えきれませんが、Paul Gilbert先生、高崎晃さんなんかは彼の後継者といって過言ではないと思います。



Far Beyond The Sun / Yngwie Malmsteen

メタルの系譜で大きなターニングポイントになったイングヴェイ・マルムスティーン。彼以後、ネオクラシカルというジャンルがメタルの大部分を締めるまでに広がりました。ハーモニックマイナーをベースにバロック音楽の要素をメタルに持ち込んだ功績は偉大。
また、当時から現在にかけて速弾き界のトッププレイヤーであることも重要です。「彼はギターソロの世界をF1に変えた」と言われるほどです。速く弾くテクニックもさることながら、彼はそのメロディセンスやビブラートも素晴らしく、誰も真似できないということで”王者”と呼ばれています。

彼のフォロワーはとても多いのですが、Chris Impellitteri、Michael Romeo、日本だとKelly SIMONZさんなんかを聴くと系譜が読み取れるのではないでしょうか。



For the Love of God / Steve Vai

様々なテクニックと独特の作曲センスで唯一無二のサウンドを繰り出すスティーブ・ヴァイ。彼の奏法テクニックで特筆すべき点はアーミングとビブラート、7弦ギターにあると思うのですが、それ以上にスケールのチョイスやフレージングのアイデアがとてもユニークです。
フランク・ザッパの信奉者で、実際に彼のバンドで演奏するなどをしていることから、その影響は多大です。ですが彼はザッパの音楽を真似ているのではなく、音楽理論的なアイデアをロックギターに持ち込んだといった方が正しいように思います。ギターを始めた頃にジョー・サトリアーニに師事、バークリー音楽院中退といった経歴、その後の作品郡を聴くと、彼こそが音楽理論を形にして成功したギタリストだと言えるでしょう。

スティーブ・ヴァイの流れのギタリストといえばTosin Abasi、Brian Welchなど多弦ギタリスト界隈と、John Petrucciなどプログレ界隈に多いような気がします。(筆者もかなり影響を受けています)



Cause We've Ended as Lovers / Jeff Beck

ジェフ・ベックはエリック・クラプトンと同世代くらい、ロックギターインストの先駆者です。ジャズとロックを融合させたフュージョンという音楽が1970年代に流行したのですが、その中でもロック寄りな音楽を作っていたのが彼です。
彼の最大の特徴はピッキングのニュアンスとベントビブラート(チョーキング)にあります。ロックギターでは基本のテクニックなのですが、それが個性として他に比べる人がいないのがジェフ・ベックのすごいところ。刀一本でどんな戦場にでも行くようなロマンがあります。

彼に近いギタリストは・・・・・と考えて、彼のようなギタリストは他にいない。それがジェフ・ベックの凄さ。



Stairway to Heaven / Led Zeppelin (Jimmy Page)

最も有名なギターイントロ、それが「天国への階段」。ギターソロまで長いのですが、みんなが知っているギターソロとして押さえておきたい1曲です。ジミー・ペイジはギタリストとしてより、作曲家として偉大さが伝わりやすいのかなぁと思います。同年代のリッチー・ブラックモアと比較されやすいのですが、そもそも音楽の方向性が違っているので「どっちが上手い?」という議論は意味がないものです。あとライブで演奏する姿がめっちゃかっこいいです。

個人的にはPage/Plantでのギタープレイが好きで、特に最後に収録されているKashmirは何回聴いても感激するほどかっこいい。




In the Dead of Night / U.K. (Allan Holdsworth)

エディ・ヴァンヘイレンが影響を受けたギタリストとして挙げるアラン・ホールスワース。彼はジャズの人なのですが、ロックフュージョンの分野で誰も演奏できないような技巧で演奏することから『孤高のギタリスト』と呼ばれたりします。
なぜ誰も弾けないのか?というと(もちろん現代では弾ける人は沢山いると思うのですが)、彼の演奏している内容は演奏自体が高速である以上に難しいスケールをものすごい速さで切り替えながらつなげていくからです。これはジャズ奏法とメタル奏法の両立が必要で、ただ練習を必死でやっても届かないのですね。音楽理論やコードチェンジに対する理解がないと無理。そもそもロックしかやらない人からしたら理解も届かないようなハイレベルな即興演奏なのです。

彼の意思を継いでいるスーパーギタリストは、Greg Howeなどのハイテクフュージョンギタリストや、ジャズではJonathan Kreisberg、ロックではJoe Satorianiのレガート奏法もホールスワースっぽさがある気がします。



Cliffs of Dover / Eric Johnson

冒頭のよくわからない高速アルペジオで挫折するし、その後のリフもフィンガーピッキングを併用するもので「どうやって弾いてるの?」となる珠玉の1曲。
彼のプレイはフルピッキングに特徴があって、ペンタトニックを高速で弾くときの粒揃いが素晴らしく、ちょっとやそっとの技術ではありません。
またソロで多用されるトライアドのフレーズも流麗な弦飛びピッキングをサラッとやってしまうので、一聴すると難しさが分からないがやってみるとはちゃめちゃに難易度が高い。

彼も未だ現役で、彼のようなギタリストは他に知りません。ただ、フレージングやピッキングの技術は多くのギタリストが参考にしており、ミュージシャンズミュージシャンとの呼び名が高い一人です。



Bohemian Rhapsody / Queen (Brian May)

楽曲の中にどのようなギターソロを入れるか?というのはロックギターにとって永遠の課題です。長いと退屈してしまうし、無いのも寂しいような。ボヘミアン・ラプソディにおけるブライアン・メイのギターソロは、短いけど効果的で耳に残る逸品と言えるでしょう。
曲自体が有名というのもありますが、ギタリストにとってシンプルで効果的なギターソロのお手本としてチェックしておきたい。テクニックがどうこうではなく、こういう「音楽やってる」というのも、ロックでは高い価値を見出せる好例だと思います。



Get the Funk Out / Extreme (Nuno Bettencourt)

ヌーノ・ベッテンコートによるGet the Funk Outのギターソロは、そのサウンドもさることながらストレッチ弦飛びタッピングアルペジオという必殺技みたいなテクニックが使われています。実はそれほど難しくはないです。
ですがこういった複合的なテクニックが必要なギターソロを構築するヌーノの音楽的な能力には息を呑みます。この曲に限らず、彼のギターソロはどれもメロディアスでアイデアに溢れているのです。曲自体もかっこいい。

タッピングアルペジオという意味では高崎晃さんやKiko Loureiroなどが有名ですが、今やハイテクギターの奏法としては一般化しています。



【コラム】僕自身がどうのようにギターソロを習得したか

ここから僕自身がギターソロにどう惹かれて、どのように技術を習得していったかを手短に。
まず僕はそもそもイングウェイ・マルムスティーンが大好きでロックやメタルを掘り下げていきました。90年代だったのでネオクラシカルちょっとダサいんじゃね?みたいな風潮があり、そうかもなぁと流されてたどり着いたのがMR.BIGのポール・ギルバート先生。ポールの教則ビデオを買って何度も見て、タブ譜を端から端まで弾いてるうちに「ギターソロっぽくなってきた!」という実感が出てきました。それまでは真似事でピロピロやるだけでしたが、もっとクリエイティブにギターソロに向き合うことができるようになったのは、ポール先生のビデオのお陰です。本当にありがとうございました。

(たっか!!笑)

高校生の頃は毎月ヤングギターを買って、その中で弾けるものと興味あるものを練習するのが日課でした。ギターマガジンも買っていましたが、そちらは大人向けで少し肌に合わず、基本はヤングギターで練習するという生活をしていました。思えば朝練して、学校から帰ってきてご飯いくまで練習して、1日3時間は弾いてたと思います。休みの日はもうちょっと弾いてたかも。

という感じです。ギターソロ、素晴らしいよね!もっと紹介したいギターソロもあるので、また書いてみますね。

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牛心。
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