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体験レッスンで伝えていること3点セット

楽器をはじめよう、音楽を作ってみたい、歌が上手くなりたいなどなど、音楽教室の扉を叩く人はみんな不安と希望に満ちています。
不安、それは「やってみても上手くいかないかもしれない」「続けられるか分からない」というもの。希望は大きく「もしかしたら素敵な世界が広がっているかもしれない」「自分に才能があるかもしれない」という感じです。

当方、主にギターの体験レッスンを請け負っており、最近はDTMや他の楽器、あるいはジャズ即興のレッスンも担当しています。
そしてみなさんに、同じことを伝えるようにしています。


①「自分がやらなきゃ上手くならない」

音楽は不思議なもので「すごい曲を聴いていると自分もすごいと感じてしまう」という効果がありますから、かっこいいアーティストのファンであることで自分もそのかっこいいの鱗片を持っていると勘違いしている人がいます。
不思議ですね、けど本当にあるんです。すごい人の知り合いだと自分もすごい人になった気分になるアレに近いです。

なので最初に「自分がやらなきゃ上手くならない」「まず手を動かして上手くなる」「触れる時間が多いほど上達は早い」「魔法の杖みたいなものはない、合理的な練習法は教えられる」というお話をします。自分が楽器を触る、DAWを操作する、曲を作ってみる、全部自分でやらなきゃいけないよ、と。
釘を刺すと言ったほうがいいかもしれません、脱初心者できる人は実際はとても少ないのです。



②練習時間は”生活環境”に左右される

楽器をやったことがある人なら分かると思いますが、練習というものは自分の下手を見つけて解決していくものです。なので練習している姿は基本「下手な自分」です。
家族と暮らしている場合、その下手っぷりを見せたくない気持ちが練習の邪魔になっているケースがとても多い。なので体験レッスンで「家族と暮らしていますか?」とか「自室はありますか?」というプライベートな質問をします。経験上、自宅のプライバシーが確保されていない人は練習時間を取りたくなくなる傾向にあります。

管楽器の場合、元々家では練習できないので大した問題になりませんが、ギターやベース、あるいはアコースティックギターにとって、周りに聞かれていることがプレッシャーになるのです。

あるいは仕事がシフト制で不定期だったり、労働時間が長すぎる場合も、音楽をやる障害になるケースも少なくありません。
理由は様々ですが、生活環境により大きな差が出ているのは事実です。



③セルフジャッジしない

じゃあどうすれば音楽は上達できるのか。シンプルに「とにかく手を動かす」しかないのですが、大事なのは習慣化することです。なんかありきたりな回答ですが、ちょっと僕の考え方はいわゆる習慣化の法則とはちょっと違う気がします。

まず「大きな目標は忘れてしまう」こと。たとえば、いちから楽器を始める初心者が、将来はシンガーソングライターになりたいという場合、大きな目標はシンガーソングライターになることです。ですが一旦それは忘れて、とりあえず楽器を上手くなりましょうと指導します。

これはエレファントシステム(象の肉は一度に全部は食べられないが細分化して日をおけばいずれ全て食べられるという話)の延長なのですが、大きな目標を達成するには、それを細分化して解決していくべし、というメソッドです。
楽器がある程度上手くなれば、コードのことやメロディのことを学ぶ下地は完成します。理論から勉強してもきっと頭に入らない。楽器をやってから音楽理論の話をしたほうが順序として楽なのですね。

ここで大事なのは「セルフジャッジをしない」ことです。いま下手なのはわかってる、初心者ならなおさらそれは分かっているはずです。ですが、いまダメダメだからといって1ヶ月後、1年後の自分も同じかどうかは分かりません。
なんなら大きな目標も変わってしまうかもしれません。楽器が楽しいから楽器弾きになりたいと、目標が変わるかもしれません。全然OKですよね。

淡々と続けること。それは言うは易しですが、とても難しいことです。淡々と続けることを邪魔しているのは、実は自尊心だったりします。自分はもっとできるはずなのにという自尊心が、今の自分ができないことに傷つくのです。そして立ち止まってしまう。音楽教室の良いところは、ずっと音楽をやっている人の視点でジャッジしてもらえることですから、せっかくなのでその機能を使ってくださいね、ということです。

もっと言うなら、「いまの自分が未来の自分を決めつけないでください」までいいます。けどこれって大事なことです、音楽に限らず。



”時間”を味方につけよう

練習効率

ここからは自論です。

なにかを上達するには一定の時間が必要です。だけど時間は限られています。それは程度の差はあれ誰しも時間は限られているのです。

なので、単位時間あたりの練習効率を高めることで上達は早まります。1分の練習の効率が1なのか3なのか、それで3倍の練習負荷が変わる。あくまでイメージですが、理屈としてはこの通りです。

冒頭にあるとおり、自分で手を動かさなきゃ楽器や音楽は上手くなりません。最近はYouTube動画をみて「やっぱり分からないので来ました」というレッスン生がとても多い状況です。2次元では伝わらないこと、力加減など、リアルレッスンの必要性を改めて痛感する次第です。

最後に、基本的に音楽は独学でやるものだと僕は考えています。その上でなお、レッスンを受けることやメンターに教えを乞うことは経験値ブーストのバフ効果みたいなものですから、やって損はないと思います。音楽は一生続けるものですから、早めにブーストバフを獲得した方がいいかもね。

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牛心。
サポートなんて恐れ多い!ありがたき幸せ!!