【音楽】セルフイメージを再構築するために生活を変える
ギターの体験レッスンに来られる方の多くは「アコースティックギターを弾きたい」と言ってやってくる。時々エレキギターの方もいるけど、8割がアコギの体験になる。
まったく何も知らずに何となくドアを叩いてやってくる人の大多数が「エレキとアコギ、どう違うんですか?」と質問していただく。
この質問について、その違いを説明するのは簡単だけど、大事なのはそこではない。
質問している当人はこれから「ギターをやってみたい」と思っているが、エレキとアコギの違いについて質問してくる人はアコギを体験しにきていながら「エレキでもいいかも」と、ちょっとだけ感じている。
「エレキの方が簡単ですよ」と言うとちょっと揺らぐ。それくらいの軽さで体験レッスンに来てくれるのは、むしろありがたい事だ。
そういった方には「どちらも似合うと思いますよ」と問いかけるようにする。すると「弾き語りをしてみたい」「アコギはアコギだけ買えばできる」などと、自分がアコギを弾いているセルフイメージを語ってくれる。とても素敵な時間だ。
セルフイメージが浮かんできたから、楽器を始めようと思い立つこと。個人差はあれ、みんなそういう経験をへて音楽の道に進む。人前で演奏している、歌っている、作曲して映画を盛り上げる、ゲーム音楽の作家になるなど、「こうなりたい!」という憧れがあるからこそ、音楽を志すものだと思う。僕もそうだった。
これらの”憧れ”を一旦、『遠くの目標』として置いておく。
視線を手元に戻すと、楽器や音楽を始めたての時間はとても地味で、挫折や焦燥感ばかりだ。できないことが多い、なにができていないのかも分からないような状態を、何ヶ月も何年も続けていかなれば上手くならない。
楽器に限らず、作曲だって(作詞だって)、最初はダメダメのメタメタだ。
その地味で地道な作業が「面白い」と感じたならよし。「しんどい」と感じたなら辞めても構わない。
ただ、最初に抱いたセルフイメージが脳裏の残っているなら続けられる。それまで思っていなかった自分像。自分からは逃げられないから、自分自身を良くしていくしいかない運命。そういう想いは、原動力になる。
一旦置いておいた『遠くの目標』を思い出して頑張ろう、ではない。
その方向に歩いていかなきゃ目的地に辿り着かないことを知ることが、もっと重要だ。自分で歩かなきゃいけない。もちろん誰かと一緒に歩いてもいいが、自分の足で歩くことには変わりない。
じゃあどうやって歩くか。練習するか。
もしそれまで音楽をやったことがない人であれば、生活を改造しなければならないと気が付くはず。
時間がないなら「作る」しかない。早起きするとか遊ぶスケジュールを潰すとか。
場所がないなら「作る」しかない。部屋を掃除するとか、リハスタに通うとか、レッスンに通うとか。
実際のところ、生活を改造し始めた時点でセルフイメージの再構築は始まっているし、ほぼ完了している。その一歩目が踏み出せない人がほとんどなんだろうと思う。
『遠くの目標』へのアドバイスは「早寝早起きと部屋の掃除だ」と答えるようにしてる。
具体的なアクションを『やってみた人』と、思ってるだけで『やってない人』の違いが、そこにあるだけなんだろう。