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牛乃ジャズ探訪(11) Cory Henry

高知の音楽家・ギタリストの牛心。です、ファンクとかソウルとかに興味があるという方も「王道過ぎるのはちょっと小っ恥ずかしい・・・・」みたいな、そういう気持ちってありますよね。
ちょっと他の人が知らなさそうなかっこいいミュージシャンを紹介していく、そんな連載です。今回はファンキーなジャズです。

コリー・ヘンリー(Key)

Cory Henryは1987年ニューヨーク生まれのキーボード奏者です。このアルバムはオルガントリオですね。オルガントリオってあれですよ、ベースはオルガン奏者が弾いてるやつです。

いや、けどコリー・ヘンリーを語るべきはこんなジャズらしいやつじゃダメなんだ。こっちをどうぞ。

このCory Henry and The Funk Apostlesっていうバンドがとにかくかっこいい。バンドとしてめっちゃいい。
ここ数年、アナログシンセの音色が見直されていますが、コリー・ヘンリーのプレイングや音色は教科書です。

ジャズでシンセといえばフュージョンという印象はありますが、ファンク・ミュージックやブラック・ミュージックにも沢山登場します。

こういうファンキーな広がりを持つジャズ界隈は、なんだかワクワクしますよね。
様式美もあるし、ルールもあるジャズが、もっと自由になっていいと思える瞬間です。

この動画が手元も見えていいですね。ベースがMichael Leagueじゃないか。なるほど。



Snarky Puppyの重要人物

Snarky Puppyについては追々別記事で書いていきたいのですが、コリー・ヘンリーを知ったのがSnarky Puppyという人も少なくないはずです。この動画の再生数は760万です、グラミー賞ベストパフォーマンス賞なだけある。いや、そういう名誉がどうとかを突破した凄い演奏です。

コリー・ヘンリーはこのバンドではアンサンブルの屋台骨として渋い仕事に徹していますが、オルガンサウンドをこれほどオシャレに響かせるのは並大抵の技術ではありません。
彼はマルチ・キーボーディストとして、アナログシンセやFMシンセ、オルガン、ピアノなど何でも扱います。
ピアノ以外は音色を調整する能力が要求されます。いっぱいあるツマミやコントローラーを扱って好みの音色にするのですが、楽曲の雰囲気や場面のみならず、会場の雰囲気や広さなども考慮して調整します。

特にライブの場合、会場の広さは重要な判断材料です。
例えばオルガンの場合、ピアノのように音が段々小さくなる「減衰」がないので、定在波が発生しやすくなります。定在波、つまり部屋の唸りみたいな音が多くなるとサウンドが濁ってしまい良くありません。
低域をカットすればいいのですが、カットし過ぎるとチープな音色になってしまう。絶妙な匙加減が要求されるのですね。

シンセも同じで、音色を作るにあたって音響技術の知識が不可欠になります。
特にコリー・ヘンリーはシンセベースも得意なので、シンセの低音域についてとてもシビアな音作りをしているなぁと僕は感じます。

Snarky Puppyはベーシストがリーダーのバンドなので、そのあたりのコミュニケーションがしっかり取れているからこそ複雑なアンサンブルをアッサリと聴かせられるんだと思うのです。
Snarky Puppyでのコリー・ヘンリーは弾かない時間を大切にしています。そのあたりを意識して動画を見てみると面白いですよ。

ベーシストがトラブったこのライブで・・・・

(注:元動画が削除されていました。トラブル動画だったので仕方ない・・・・)

この動画は公式で上がってるんですが、ベーシストが機材トラブルでしばらく音がでません。ああ、彼の心中察するに胸が苦しくなる・・・・のですが、解決を待たずにコリーは曲を始めちゃいます。
3:00くらいからアナログシンセとドラムでのデュオになるのですが、これこそがコリー・ヘンリーらしいプレイです、アナログ・シンセをグリスする感じ!
ソロに入ってからベースが復活するまでの流れが最高です。

最初にオルガン・トリオのアルバムを紹介したのは、彼の魅力の1つはこういったシンセによるベースラインにあると思うからです。
キーボードやピアノの長所は音域の広さですが、その音域をシステマティックにジャズに取り入れたのはジミー・スミスを代表とするオルガン・プレイヤーでした。
右手と左手に別々の機能を持たせることでサウンドの幅を持たせることに成功したんですね。
その進化系が、コリー・ヘンリーなんだと思います。

それにしてもこのライブ動画、かっこいいな・・・・・ベーシストさんには申し訳ないけど(笑)


牛心。
高知在住の音楽家・ギタリスト。音源製作、レッスン等で食いつなぐ。音源製作はもっぱらキーボード中心、使っているDAWはStudioOne3。ちなみに最初に手にした音楽製作環境はMSX2+。


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