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ニコニコの利用状況データの推移をまとめた2024

今年もまとめました。


ニコニコ動画の運営会社の社名について

2014年9月までは株式会社ドワンゴ、2014年10月に株式会社KADOKAWA・DWANGO、2015年10月にカドカワ株式会社、2019年7月に株式会社KADOKAWAへと社名が変わります。基本「ドワンゴ」で表記します。
参考:ニコニコ動画とは(ニコニコ大百科 wikipedia ピクシブ百科事典)

データ参照元

基本的にKADOKAWAの決算資料ページを元に作成。データはgoogleスプレッドシートに手打ち。
決算説明資料|IR情報|KADOKAWAグループ ポータルサイト
ドワンゴの決算説明資料(IR資料)のリンクまとめ(2014年以前)

会員数

決算発表資料の推移で計算方法が変わっています
表中の登録会員数(ブルー)とID発行数(オレンジ):おそらく違いはない
有効会員数(グレー):ID発行数から退会者数・不正ID数を除いた会員数
モバイル会員数(イエロー):ガラケー版ニコニコ動画(docomo、au)
有効会員数が1億人を突破しました。ちなみに、ニコニコ動画PC上で確認できるID発行数(退会者数・不正ID含む)は今日(2025年2月6日)時点で1億3600万アカウントくらいです。
重箱の隅を突くんですが、2013年第2四半期の時点で、計算上日本の20代人口よりもドワンゴ発表の20代ユーザー数のほうが上回ります。詳しくは過去記事参照。
会員数から現在のニコニコの実体を推し量ることは難しいです。
2024年6月8日に発生した大規模サイバー攻撃の影響で、2025年3月期第1四半期決算のデータはありません。

会員数の推移

会員数(ニコニコユーザー数)を推計してみる

これの日本の人口推移と、これの"主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率"表(2014年調査開始)からニコニコユーザー数を推計します。
青線が「13歳~69歳までのニコニコ利用率を参考に、日本の総人口あたりのニコニコユーザー数へ、拡張して計算」したもの。赤線が「13歳~69歳までのニコニコ利用率を参考に、日本の10代~60代までのニコニコユーザー数を計算」を計算したものです。実際の会員数は青線と赤線のあいだだと思われます。日本の人口は前年比99.52%へ減少したのに対し、ニコニコユーザーは前年比91.5%(青線)、90.96%(赤線)へ減少しています。

ニコニコユーザー数(推計)

プレミアム会員数

2016年頃にピーク(256万人)を迎え、その後は減少が続いています
2023年12月4日にプレミアム会員費の値上げがweb告知され、2024年3月1日よりプレミアム会員料金の改定が実施されています。
プレミアム会員は2023年が108万人、2024年が107万人と若干の横ばい傾向です。大規模サイバー攻撃の影響で、2025年3月期第1四半期決算のデータはありません。

プレミアム会員数の推移

アクティブユーザー数

DAU(デイリーアクティブユーザー)

1日平均訪問者数、DAU(新ロジック)、ログインUU DAU、ログイン+非ログイン視聴UU(DAU)、Google AnalyticsによるUU DAUが公開されています。
新ロジックについては『従来の集計ツールでは新サービス/デバイスへの対応が不十分だったため、今回の開示より、新ツールでの集計を開始し、精度を改善』とのこと。2018年2月28日以降はPCでの動画視聴がログイン不要になりました。Google AnalyticによるUU数がカドカワ発表のログイン+非ログインUUの倍くらいあります。全体としてDAUは減少傾向です。
大規模サイバー攻撃に端を発し、システム障害の影響によりデータの算出が困難であったため、2025年3月期第1四半期決算以来、3期分のデータは開示されていません

Daily Active Usersの推移

MAU(マンスリーアクティブユーザー)

MAU(旧ロジック)、MAU(新ロジック)、ログインUU MAU、ログイン+非ログインUU MAU、Google AnalyticsによるUU MAU数が公開されていました。2025年3月期第1四半期決算以来、3期分のデータは開示されていません。

Monthly Active Usersの推移

10代MAU(マンスリーアクティブユーザー)

直接データがあるわけではなく、計算して算出しました。A="MAU(旧ロジック)"または"MAU(新ロジック)"、"ログインUU MAU"、"ログイン・非ログイン含むMAU" として、10代MAU=A×10代シェアで計算しています。10代のログイン・非ログインMAUが50万人を切りました。
2025年3月期第1四半期決算以来、3期分のデータは開示されていません。

0代MAUの推移

各世代ごとMAU(マンスリーアクティブユーザー)

A="MAU(旧ロジック)"または"MAU(新ロジック)"、"ログイン・非ログイン含むMAU"のいずれか最大値 として、各世代MAU=A×各世代シェアで計算が1枚目。B="MAU(旧ロジック)"または"MAU(新ロジック)"、"ログインUU MAU"のいずれか最小値 として、各世代MAU=B×各世代シェアで計算が2枚目。20代MAUの落ち込みが激しいです。2枚目の"ログインUU"プロットについては、2021年通期を最後に公開されていませんでしたが、2024年第1四半期より再び公開されました。
2025年3月期第1四半期決算以来、3期分のデータは開示されていません。

各世代MAUの推移(MAU(旧)、MAU(新)、ログイン・非ログインUU MAUを合体)
各世代MAUの推移(MAU(旧)、MAU(新)、ログインUU MAUを合体)

年代別シェア

ドワンゴ発表版と総務省発表版があります。
ドワンゴ発表版:ニコニコユーザーの中での、各世代の内訳(数値を全部足すと100%)
総務省発表版:日本国民の中での、各世代ごとのニコニコ動画の利用状況。訪問留置調査。(情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査より)

年代別シェア(ドワンゴ発表版)

ニコニコユーザーの中での、各世代の内訳(数値を全部足すと100%)になります。1枚目と2枚目はグラフ表示形式が違うだけで、データは同じです。
(参考:大百科(ニコニコ動画)ページにも同じデータがあります)
20代ユーザーの割合がサイバー攻撃以降、ガクンと落ちています。また、10代シェアが2.7%と、3%を切っています。
大規模サイバー攻撃の影響で、2025年3月期第1四半期決算のデータはありません。

年代別シェア(積み上げ縦棒グラフ)
年代別シェア(折れ線グラフ)

年代別シェア(総務省発表版)

グラフは、日本国民の中での、各世代ごとのニコニコ動画の利用状況です。10代の項目は厳密には13~19歳とのこと。下記の集計時期は調査年のことで、発表は翌年の夏頃。
全体的に微減の気配があります。

ニコニコ動画の世代別利用率

なお、現在最新資料(令和5年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査)の調査結果報告書(pdf77p)では10代利用率が23.6%となっています。(pdf85pとの数値の違いについては現在わかってません)

主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(総務省発表)
主な動画共有・配信サービス等の利用率(総務省発表)

ドワンゴ発表版と総務省発表版の差異については、スマホアプリ版のゲストログインでの利用が多いため、ドワンゴが生年月日の情報を取得できていないことが、理由の一つとして予想されます。
私の体感では総務省版の発表のほうがtwitterでの反応や動画内のコメントの雰囲気を見て、しっくりきています。

男女比

男女比は平成20年中間期(2008年)~2020年通期まで公開されていました。ほぼ男:女=68:32くらいで推移しています。

男女比の推移

ニコニコチャンネル

全チャンネル数、月額有料チャンネル数、月額有料会員数が公開されています。月額有料会員数は2023年12月31日時点がピークで、その後減少傾向です。直近の四半期で6万人月額有料会員数が減少しています。プレミアム会員費の収入減少をチャンネル収入がカバーしています。
大規模サイバー攻撃の影響で、2025年3月期第1四半期決算のデータはありません。

ニコニコチャンネルのチャンネル数・有効会員数の推移

年別動画投稿数と年別再生数

ニコチャートの総合カウント(http://www.nicochart.jp/total/)よりデータを拝借しました。年別の動画投稿数は2011年がピークの後、現在はほぼ横ばい。年別の再生数は2016年がピーク、その後再生は落ち続け、2024年は2007年を下回ってしまいました。ただ、この数字は大規模サイバー攻撃によりおよそ2か月ニコニコ動画が閲覧できなかったためであり、来年は再生数の上昇が見込まれます。
なお、平均滞在時間は2007年8月で約3時間14分、2008年9月で2時間38分、2010年8月で36.6分、2011年2月で39.2分というところまでわかってますので、いつか滞在時間のグラフも書いてみたいですね。

ニコチャートhttp://www.nicochart.jp/total/  より作成

まとめ

2024年は大規模サイバー攻撃によるニコニコ動画の停止により、復旧後の現在もまだ数字が元通りには回復していません。機能的にはニコレポ・ニコニコミュニティが終了等、痛手を負いましたが、新動画プレイヤーやフォロー新着機能の提供、ニコる機能の一般開放、また現時点では連続再生機能の復旧までできています。KADOKAWAはソニーとの資本業務提携により協業深化・資金調達・グローバル市場での成長が見込まれます。また、ブックウォーカー社とKADOKAWA Connected社を吸収合併、エンジニアの集約・再配置・業務効率化によりニコニコ動画の機能開発や改善のスピードが加速される見込みです。

2025年3月期 第3四半期 決算説明資料より(16p)
2025年3月期 第3四半期 決算説明資料より(12p)

しかし、2025年1月18日には(2024年10月の規約改定を受けて)のべ5.4万個、9億再生ぶんの動画が削除されました。主に削除されたのは例のソレ(旧R-18)ジャンルではありますが、少なくないショックがネットを駆け巡りました。
10代利用率や10代MAUについては、いまだ減少傾向が続いているため改善のためには大きなテコ入れが必要な状況です。また、サイバー攻撃による停止分を加味しても全体再生数の減少は顕著であり、今日現在も各媒体(私の観測範囲ではyoutubeの動画広告やソシャゲ内の動画広告)で、ニコニコ動画の宣伝がさかんに行われています。個人的には、宣伝の内容について、投稿者がニコニコ動画で活動するメリットは提示されてますが、視聴者に対してのメリットが提示されていないため、全体再生数への寄与は充分になされないだろうと感じています。
私の予想では、年別再生数は今後上向くと思いますがニコニコユーザーが増えるかどうかについては正直なんともいえません。アプリ版ニコニコ動画のUI・UXは惜しいところまで行っていますが、PC版にあるようなニコニコ独自の機能・魅力(タグ、コモンズ素材、コモンズツリー)は感じにくく、またアプリでの収益向上を見据えた改善は難度の高さが伺えます。また近年はニコニコ動画が機能的にyoutubeに擦り寄り(トップページの動画サジェスト、タグの位置が深化、ニコレポ廃止に代わりフォロー新着、コミュニティ廃止)、youtubeもまたニコニコ動画に機能が近づく状況(動画広告の短時間化、Youtube Premium(≒ニコニコプレミアム)推し、メンバーシップ制度(≒ニコニコチャンネル、クリエイターサポート))なのでライト層にとっては「youtubeで充分」という印象がぬぐえない状態です。ニコニコユーザーの拡大は、今後の開発や改善いかんによって決まると思います。

過去まとめ記事リンク

・2023年のデータまとめ
ニコニコの利用状況データの推移をまとめた2023
・2022年のデータまとめ

ニコニコの利用状況データの推移をまとめた2022
・2021年5月時点のデータまとめ
ニコニコの利用状況データの推移をまとめた - 駄(ておりあ(@_theoria))
(↑インスパイア元です)


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