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東慶寺×BEW 「大地の再生」スタディツアーレポート
ビーエコフレンズの皆さま
寒中御見舞申し上げます。
スタッフHHです。
新年気分もさすがにもう終わり、という時期ですが、皆さまはどう過ごされましたか?
去年(2022年)12月のことですが、インスタグラムやメルマガでもお知らせしていた「東慶寺×BEW 大地の再生ツアー」を開催し、無事終えることができました。
開催日から少し時間が経ってしまいましたが、今回はその時の様子を書かせてもらいたいと思います。
まずは書院にて座談会
2022年12月11日(日)、北鎌倉の東慶寺は快晴、〈大地の再生〉様子を見学するには最適な日和でした。
(BEWと大地の再生の繋がりや、この企画の経緯などは前回のメルマガ記事をご覧ください:前編はこちら/後編はこちら)
大まかなスケジュールは以下のように予定していました:
・和尚さんから、大地の再生を実施することになった経緯
・映画〈杜人〉未公開シーン上映
・矢野さんと長年活動されており、東慶寺での活動を支える飯島さんからのお話
・飯島さんの案内で境内散策
・お茶とお菓子をいただきながら感想共有
駆け足で2時間半の予定です。
まず、私からビーエコラップの紹介や今回の企画を開催した経緯など簡単にお話させてもらい、和尚さんにバトンタッチ。
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大地の再生をすることになったきっかけなどの内容と共に印象に残ったのは
公共性と公益性
のお話。
今までは、東慶寺の環境改善を目的に活動していたのですが、現在は「人類の人類による人類のための大地の再生」を目指すことを第一に考えている、行政などに頼るのではなく人と人を最大限に繋げてくことで活動を拡げていきたい、という想いを共有いただきました。
続いては映画〈杜人〉の未公開シーンの上映です。
実は今回、映画を製作された前田せつ子監督にも「スペシャルゲスト」としてお越しいただいていました。
東慶寺での大地の再生の様子も撮影されていて、更に矢野さんが最初現場に入って状況を把握する「見立て」の場面も含んだ貴重なシーンとのことで、特別に上映させてもらいました。
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前田さんの参加は事前にお伝えしてなかったため、ご紹介したときには「おー」と、どよめきが。
上映時間の関係で泣く泣く東慶寺のシーンをカットすることになったことや、矢野さんのお人柄などを話していただきました。
映画上映中、「うんうん」と頷いたりメモをとったりする方が本当に多く、やはり矢野さんの言葉に共感させられるのだと改めて感じました。
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上映後は飯島さんからのお話。
3年ほど前に都内から拠点を移した後、矢野さんの活動現場にも多く携わり東慶寺での定期的なお手入れは彼女が担っているとのこと。
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活動を始めた当初、飯島さんは矢野さんが何を言ってるのかさっぱりわからなかったと言います(笑)
しかし作業を共にしていくうちに
「自分がやったことは1ではない。その時は1だったとしてもいずれ10になる」という、点が線になることを実感したと言います。
実際、朝手入れした木が夜には元気になってるのを目の当たりにし、風を入れることによって自然と活気が戻っていること、そして自分自身も元気になっていることに気がついたそうです。
現場でのエピソードや矢野さんとの会話は一緒に活動してるからこそのもので、わかりやすく大変興味深いものでした。
飯島さんのお話の後、参加者皆さまの自己紹介をしていただきました。
各方面からお越しいただき、それぞれ想いがあり参加いただいているようでした。
いよいよ境内ツアーに出発
まずは境内から…と思いきや最初に向かったのは正面入り口。
入り口に生えている植木の状態から教えてくださいました。
手入れをした後、カチコチだった土が柔らかくなったところを確認したり、花壇の組み方などのお話をしてもらいましたが、さっそく目からウロコな内容で皆さん興味津々。
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元気の無かった金木犀が今では実をつけるまでになったというから驚きです。
入り口に立って右手にある別のお宅の玄関前に移動します。ここは山の麓に位置するため「雨のたびに玄関前が水溜りになり水捌けもかなり悪い」場所だったそうですが、作業後の今は改善されたそう。
ここで話題に出たのが〈有機アスファルト〉。
「コンクリートは悪ではない。ちゃんと点穴(てんあな)を通して空気・風・水の流れを作れば問題ない」という矢野さんの教えの元、コンクリートに有機物を混ぜたもので改善させたとのこと。
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有機アスファルト。そんなものが売ってるんだ〜と思っていたら、矢野さんの調合で2つの材料を混ぜたお手性のものとのことでした!
何をするにも囲ってあるとこは植木鉢になってる状態のためカチカチの土になってしまう。花壇の組み方にも共通することですが「空気や風、水が逃げられる道=通り道を作ってあげれば大地は呼吸ができる」と飯島さんは言います。
色んな地形や石や枝が重っている状態を人間が作ればあとは自然がやってくれる。
その証拠として、「最近はモグラが穴を掘ってくれるようになったんです」と和尚さんの奥さん。
確かに穴がある… こんな人の近くにモグラっているものなんですね。
モグラのお陰で土がほぐされているのだそう。
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1つの光
境内に戻り、今度は中庭へ。
ここは私が2022年5月末に見学に訪れた場所です。その時はこの場所がまさに大改善の真っ只中でした。
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この中庭は難所だったようで、かなり水捌けが悪かったところです。
ちょうどここを作業をしてる際、矢野さんは「蛍は水の匂いに敏感な生き物」という話をしていたそうです。
改善が完了したまさにその日の夜、なんと一匹の蛍の光が通ったそう!現場の皆で喜んだと言います。
そんな瞬間は鳥肌が立つことだろう、と想像できました。
倒木オブジェ
次は中庭から少し裏山に向かった蔵の後ろに回ります。
ここにはぜひ見てもらいたいものが。
矢野さんが見立てに入るというその朝に倒れた木が、巨大オブジェのように立っているところです。
(前回の見学で写真取り忘れるという失態をしたので今回こそは!ということで撮ってきました)
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見立ての際に伐採したほうが良いか検討している、と矢野さんに伝えたところ
「それは自然に対する宣戦布告だよ」
と諭されたそうです。
見た目は危ないように見えても、実は私たちが守られている、支えられていることがある。そのエピソードとして、近くのお寺で国宝を守るために危なそうな木を切ってしまったことがあったそう。その結果土砂崩れがおき、初代住職のお墓が埋まったという惨事があったとのことでした。
この木は倒れながらにしてなお、生きている、役目がある。そして人間の都合で排除した結果がどうなるのかが実感できます。
手入れする、とは
蔵を背に裏山を上がります。
実際の再生作業は山の上から下流に向かって行われるので、この辺りは既に作業が終わっています。
途中、木の上に物影を感じ、よく見ると野生のリスが!
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そういえばツアーを始めてから時折「チッチッ」という声がしていたので鳥かと思っていたら正体はリスのようでした。
動物がいるのを見るとここは住みやすい環境なんだな、と感じることができます。
裏山を上り、少し開けたところに巨大な銀杏がありました。
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紅葉した葉っぱをつけていて、足元は黄色く染まっています。
この落ち葉も以前は「お参りに来る人が滑って危ないから」と全て掃いていたそう。
そのせいで水が溜まり洪水を起こしていると教えられたため、現在は撤去するのをやめ全部自然に任せているそうです。
自然の力は凄いとは言いますが、まさにその力に身を委ねた改善方法です。そのバランスを取り戻してもらうために人間が少し、プラスαで手入れしていけば良いとのことです。
空気の流れを作る。
水の道筋を作る。
けど決して乾かすことがないように。
そう何度も言いながら、飯島さんは手に持った鍬で土を切るように説明してくれます。
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循環させることで枯れてしまう木もあったり、「今から花が咲くのに…」という草木を刈ってしまうこともあるそう。
しかしそれは〈個体のみを考えるのではなく環境全体を考える〉と仕方ないこと、と今は理解していると飯島さんと奥さんはいいます。
ツアーもそろそろ終盤
かなり駆け足で境内を周りましたがそろそろ講座をした書院に戻る時間になりました。
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手入れをするだけで景色が〈見える〉ようになる。風が通ると自然が生き生きし茂るけど立体感と奥行きが出るので景色が広く感じるというお話の中、一行は書院へ。
書院で待っていたのはお茶とお菓子。
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紅茶は東慶寺オリジナルブレンド。パッケージには東慶寺に咲く四季の植物のイラストがあり東慶寺とも縁あるアーティストさんが描いたものだそう。
東慶寺オリジナルブレンド紅茶
お供にお出ししたのは東慶寺の近くにあるPOM PON CAKESさんの林檎タルト。
ほとんどお任せでオーダーしていたので、私たちも当日どんなお菓子が出てくるかわからなかったのですが、これは見た目にも華やかでかわいい!
お茶とも相性がよく、好評いただけました。
(店舗で受け取ったスタッフ曰く、お店がめちゃくちゃ素敵らしいです。機会があればぜひ伺ってみてください)
その間、皆さんの感想や想いを共有してもらました。
その一例をご紹介します:
・自分たちでもやってるプロジェクトがあり、とても勉強になった
・東慶寺が、好き。迎え入れられてる、と感じた
・自然のエネルギーは強い、それとどう共存するかをさらに考えさせられた
・コンクリートでも色々できることがあると知れた
・自分の庭でも大地の再生をやってもらっている。やっていることがあってるのか、再確認できた。この活動を広めたい
・自分が生活してる環境のことを何も知らないと気づいた。矢野さんのことを知り、こんな方法もあったのかと思った。切ろうと検討していた木があるが、思い直してこちらの気持ちを変えていこうと思った
・東慶寺の覚悟があってこその大地の再生だと感じた
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ごくごく一部ですが、新たに知ったこと、発見したこと、改めて考えたことなど、が所々にあったようです。
また、それぞれの自身の環境に置き換えて「自分の周りはどうなっているか?何ができるか?この活動を広めたい」などの考えにも繋がっていると感じました。
そして多くの方が口にしていたのは
「飯島さんの説明がわかりやすかった!」
「ファンになりました」
ということ。
短い間にも関わらず、ここは知ってもらいたいという箇所を丁寧にご説明いただき作業をしていなくとも経過やその意図がわかる。
〈大地の再生〉とは実際どんな活動なの?という疑問の答えになるようなツアーでした。
飯島さんはこう仰いました:
やることはとってもシンプル、だけど複雑です。
東慶寺という点穴があり、そこからひび割れして皆が(大地の再生を)拡げていけたら嬉しいと思います。
さて、最後は和尚さんから。
「少し長くなりますよ?」という前置きもありながら(笑)
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冒頭で仰られた〈公共性と公益性〉を深く考えるようになったきっかけは大地の再生に関して改めて考えたときだと言います。
土をいじったり草木を手入れしたり、ずっと目に見えることをやっているけれど、本当は目に見えない〈命〉のことをずっと考えている。
個として考えるのではなく、取り巻く環境や生命、地球全体を考えること。
それが大地の再生だと仰っていました。
これからは東慶寺を知っている人だけに伝えるのではなく、もっと外に発信していきたい。
そう考えていた時に本当に良いタイミングで今回のイベントの提案があったことはありがたいとも言っていただきました。
ツアーを終えて
今回印象的だったのが、参加者の皆さまが色々な場面で頷き、新しい発見をして驚きの声が上がったり、様々な質問が出たりと、終始活発なツアーになったことでした。
自分事として置き換えて、今回見聞きしたことを周りにも伝えたい、という皆さまの想いも感じ取りました。
ツアー後にお答えいただいたアンケートにも、「とても有意義なイベントでした」「ためになる素晴らしい会でした」など私たちの励みになるようなポジティブな言葉もたくさんいただき、「手当て箇所の変化をまた違った季節にみたい」「実際に作業もしたい」「子どもも参加できるような土中環境のツアー企画もしてほしい」など、次に繋ぐような貴重なご意見もいただきました。
話きれない内容もまだまだたくさんありますが、何より参加された皆さま、講師の皆さまが笑顔で帰っていかれたことが一番嬉しく感じたイベントとなりました。
今後もビーエコと大地の再生やその他の活動が繋がるようなイベントを企画していけたらと思います。
なお、参加費の一部を東慶寺と大地の再生活動団体の双方に寄付する予定でしたが、全て東慶寺へ寄付することとなりました。
【詳細はこちらをご覧ください。リンク】
最後になりますが、今回何から何まで本当に快く承諾&ご提案いただいた東慶寺の皆さま、案内を完全にお任せして引き受けてくれた飯島さん、貴重な映像をお貸し出しいただいた前田さん、そして参加くださった皆さまには感謝の言葉しかありません。
イベントが開催できたのも皆さまの協力なしではできないことでした・
ご参加いただいた皆さまが今回の体験を周りの人達にも伝えてくれていたら嬉しいです。
小さいことからでもいい、〈大地の再生〉に繋がる行動をそれぞれが行い、それがいずれ大きな活動へと拡がることに期待をしています。
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