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人数詐欺、不当なクレーム、ノーショー…民泊事業者を悩ませるゲストの「不正」を阻止する方法

民泊の運営事業者を悩ませる頭の痛い問題が、ゲストによる「不正」や「問題行動」。場合によっては一時休業を余儀なくされることもあります。安定した民泊運営を実現するためにも、「不正が起きにくい」施設のつくり方を知っておきましょう。


不正や問題行動を起こすゲストは一定数…いる

民泊を運営する以上、ゲストによる不正や問題行動は、一定数は必ず起こると思っておいたほうがよいでしょう。特に日本は他国と比べて性善説が強く、防犯意識やセキュリティ意識も低いことも知られています。

ホテルにも迷惑客というのはいますが、ホテルや旅館よりも価格が低く、目も行き届きづらい民泊は、よりその確率が高いとも言えます。

民泊業界で多発しているゲストによる不正には
・人数詐欺
・窃盗
・不当な返金要求
・ノーショー

などがあります。

「不正のトライアングル」を理解する

不正行為をするゲストが一定数いるとはいえ、実は宿側の工夫次第で防げるものもたくさんあります。

そこでぜひ意識してほしいのが「不正のトライアングル」です。これは1950年代にアメリカの犯罪学者であるドナルド・R・クレッシー氏が提唱した理論です。

この理論では、不正行為は
①機会
②動機
③正当化

の3つの要素が揃った時に発生すると考えられます。

<機会>
不正行為ができてしまう場や環境があること
例)現金や物がなくなってもバレない、監視されていない 等

<動機>
不正行為を行ってしまう、主観的な事情や圧力があること
例)金銭的な問題を抱えている、ストレスに苦しんでいる 等

<正当化>
不正行為を合理化させ、自分を納得できるだけの理由があること
例)皆やっているから、説明されなかったから 等

この3つの要素が揃ったときに不正が起こるということは、どこかを切り崩すことで不正を防げるということです。

不正のトライアングルを切り崩す~民泊編

実際に民泊で発生しているトラブルを「不正のトライアングルを切り崩す」という視点で対策するとしたらどのようなアイデアがあるか考えてみましょう。

① 人数詐欺

人数に応じた追加料金を支払いたくないゲストが、予約した人数より多い人数で宿泊をするケースです。特にセルフチェックインができる宿や、大人数で貸切ができる一軒家で多く発生しています。

<対策法>
・入口に監視カメラを設置する、スタッフが巡回するなどして人数が予約時と一致しているかを確認する → 機会を奪う
・一室料金にし、人数による価格変動をなくす → 動機をつくらない
・人数不正が発覚した場合のペナルティや、予約者以外は入室禁止のルールをつくり明示する → 正当化させない

② 窃盗

文字通り、宿に置いてある備品を盗んでいくケースです。高価な品や家電だけでなく、トイレットペーパーなどの消耗品を持ち帰ることもあります。また過去のゲストが合鍵で侵入することもあります。

<対策法>
・部屋のカギはこまめに変更し過去のゲストが入室できないようにする → 機会を奪う
・そもそも高価なものや貴重品を施設に置かない → 動機をつくらない
・持ち帰りOKなものとNGなものを事前に説明する → 正当化させない

③不当な返金要求

実際にはないクレーム(例:部屋が汚れていた)などで返金を要求し、ホストが拒否すると☆1など極端に低い評価をつけます。理不尽なクレームであっても一度つけられたレビューを覆すのは簡単ではありません。

<対策法>
・チェックイン時の部屋の様子をゲストと一緒に確認・記録して客観的な証拠を残しておく → 機会を奪う
・予約をリクエスト制にして、不当なクレームをつけそうなゲストは受け入れない → 動機を持つ人を排除する
・施設のルールや返金ポリシーを明確に説明する → 正当化させない

④ノーショー(ドタキャン)
予約をしたゲストが当日現れないケースです。Beds24の創業チームが昔運営していた宿では、年間200万円ものドタキャン被害がありました。

実は民泊ではすでにノーショーがほぼ撲滅されました。それは予約時にクレジットカード情報を収集するようになったから。これが不正のトライアングルの「機会」を奪うことになり、結果的にノーショーが激減しました。

(現地精算を受け付けている宿では、今もノーショーが深刻な問題です)

***

今回ご紹介したアイデアはあくまでも一例です。もし、今ご自身の施設で抱えているトラブルがあるのであれば、「不正のトライアングルを切り崩す」という視点で考えてみましょう。新しいアイデアが見つかるかもしれません。

ホストにとってもゲストにとっても気持ちの良い民泊運営(利用)ができるように、ぜひ工夫をされてみてください。

(文:伹馬 薫)

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